第1章-1ー弱い自分ー
___愛乃ってさ…うちらに対して冷たくない?」
「それな!話しかけてもすぐどっか行くしw」
「だよねー。人見知りっていうかさ、うちらのこと嫌いなんじゃない?」
「わかるーwしかもさ、あんまり喋んないしうざくない?w」
「それなー。皆も言ってたー。ねぇー、アタシいい事と思い付いたんだケド…
愛乃の事無視しない?w」
「いいねーwそれさんせーい!www」
「じゃあ決まりね___
彼女達の声は、曲がり角と共に消えていった。
私は心の底から悲しんだ。
そして、自分の弱さを恨んだ。
私は人見知りなせいで相手に誤解される事が多くあったが、
いじめられた事はまだ1度もなかった。
だけど、あの子達はこれから私を無視するらしい。
いじめも段々と酷くなるだろう。
「学校…行きたくないな…」
私は自分の体を泣きべそをかきながら強く抱きしめた。
それと同時に自分の弱さを強く呪った。
学校の帰り道に、ふと不思議な人と目が合った。
不思議なことに私は目が合う相手に嫌な感情は生まれなかった。
それよりもっと、やっと来てくれたの…と心が呟くほどに、安心する相手だった…。
私はその人に引き付けられるように、信号が点滅している横断歩道を渡る。
その時彼は…安心したように私に向かってこういった気がした。
信号機が、赤に変わる。
____おはよう、やっと目覚めるんだね。
その時私は体に強い衝撃が走り、体の機能が停止していくことを心で感じながら、
深く…ゆっくりと目を閉じた。
*
___そうだ…私はあの時…
あの信号の先に居た人物に近づこうと思った時に、車に衝突してしまったのだ。
「私は…死んだの?」
ここは死後の世界なのか…
_あの、妙に安心感のあったあの目を持った人物は一体誰だったんだろう?
見たこともない顔だった。
だけど、何処か懐かしさを感じる顔だった。
ハッキリとした顔立ちだった事は覚えている。が、
それ以外の事はよく覚えていない。
だが、この世界とあの人物は繋がっているかもしれないという疑問をこの状況に置かれている私はすぐに信じる事が出来た。
その理由はあの懐かしさと、あの言葉にあった。
彼は、私に向かって ”おはよう” と言った。
私はその時、その言葉に疑問を感じなかった。しかも私はそれに対し大きな安心感があったのだ。
それも凄く不思議なことなのだがそれ以上に、
私が車とぶつかった時、悪夢から目が覚めるような…
闇から一筋の光が自分に向かって照らされているように感じたのだ。
とても、分かりにくい事だが単純な事でもあった。
彼が言った文字通り、私はここで目が覚めたのだ。
とても単純で分かりにくい理由なのだが、私からすると大きくて受け止めやすい理由でもあった。
それに、あの現実から逃げ出せたなら、私はここがどこでも良かった。
あんな世界で生涯を過ごさないといけないなんて、生き地獄も良いところだったのだから。
私はそんな心の奥にある闇を落ち着かせる。
「ここで起こる前のことを考えるより、これからどうするかを考えなきゃ…
それにしてもここは、何処なんだろう…
やっぱり異世界召喚…?
いやいや、それはないでしょう!!アニメや漫画の見すぎよ!愛乃!!
きっと夢!夢なんだよ!愛乃っ!!
ふぅ…落ち着け〜私…
それにしても…不思議なところ。」
ここに居るととても安心する。まるでずっとここで育ってきたかのような気持ちになるのだ。
__ずっとここにいたい。
そんな気持ちが頭を横切った。
駄目だ。
何故かそれを否定するかのように自然と体を横に振った。
そんな時、ドアの向こうで誰かの足音が聞こえてきた。
私は自然と自分で体を抱きしめ、またも自分の弱さを呪った。
まるで、殺人鬼から逃げ隠れるホラーゲームの主人公のような表情で、ゆっくりと息を飲み込む。
誰…誰なの…
もしかして、これは誰かに監禁されていて、スイートルームに閉じ込められてて、
その犯人が、この部屋に近ずいてきているとか!?…
「_大丈夫…大丈夫…
怖くないわ…。貴女は強い子なんだから…
どんな殺人鬼にも、負けない…
今まで、何人もヘッドショットで倒してでしょう…?愛乃…!!」
私は目を覚ました時に体に羽織られていた掛け布団を体に巻き付け、
体を小刻みに震わせながら、足音がする方に耳を向ける。
段々とその足音がこちらに近づいて来る気がした…
足音が近づく度にに体の震えが大きくなっていく。
足音が近づく度に心拍数が上がっていく。
足音が近づく度に毛穴から大量の汗が溢れ出てくる。
そして、その足音は自分がいる部屋のドアの前でぴたっと止まった。
私は体を包んでいた掛け布団を強く握り、何度も何度も自分を励ます。
大丈夫…大丈夫…!!
武器はなくとも、ここは多分夢の中!!
魔法でもなんでも、使えるはず…!!(多分…)
その足音は私の部屋に入ろうとしたと同時にある声が聞こえた。
私はその声を聞いた瞬間、不思議と力んでいた体がふっと軽くなった事を感じた。
「 ”アイノ”様…? 」
彼の声が恐れで冷えきった心に染み渡る…
まるで、この声を聞きながら、育ってきた気が、した。
この人は…この安心する声の持ち主は
この幸せを感じさせてくれる優しい声の持ち主は
この人は…
_____誰?
これから沢山のキャラクターが出てくるけど、
頑張って覚えてくれたら!!と思います(*´∀`*)
次回も見に来てくれたら嬉しいです(❁´ω`❁)