表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ある朝の話

作者: 夏冬

 ある寒い朝のことでした。私はいつものように部活動の朝練習へ行こうと、準備をしていました。私の部屋がある二階から降りれば、いつものように母が台所で朝食の仕度をしています。今日は目玉焼きでしょうか、目玉が三つ、フライパンの中にありました。

「おはよう」

 キャベツを黙々と刻む母にそう投げ掛けても、返事はありません。きっといつものように長い髪にはイヤホンが隠れており、朝のラジオを聴いているのでしょう。

 居間へ足を運ぶと、いつものように父がコーヒーを飲みながら胡座をかき、新聞を読んでいます。

「おはよう」

 返事はありません。きっといつものように新聞に夢中で私の声が届いていないのでしょう。興味のないはずの競馬のページを眺める父の眉間は、いつも以上に険しく見えました。

 更に私は庭先に出て、愛犬のポチに会いに行きました。

「おはよう」

 ポチは私を見ると、急に唸りだし、更には吠え始めました。私はポチを宥めようと手を近づけましたが、尻尾を巻いて小屋の中へ駆け込んでしまいます。 いつもはこんなことなかったのに、どうしたと言うのでしょう。

 しばらくして、妹も寝ぼけ眼で居間へ降りてきました。目が赤く腫れており、少し心配です。

「おはよう」

 妹はいつものようにふにゃふにゃと返事をしました。しかし次の瞬間、妹はみるみる内に青ざめて、終には泣き出してしまいました。どうしたと言うのでしょう。

 そして私は気付いたのです。

 居間の向こうにある和室、そこで私がとても明るい笑顔でいることに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] すごいキレイなオチ。意味怖好きな自分としてははなまるあげたい
2016/07/12 14:12 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ