8、休息
キリエと共に城を脱出して城下町を抜けた私たちはキリエが用意していた馬に乗って草原を走っていた。
キリエはこの世界で有名な傭兵団の一員らしく、目的地は傭兵団の本拠地だ。
「気持ちいいね~」
「南、馬に乗れたのね」
「乙女の嗜みだよ」
・・・この子は少しずれていると思う
まあそんな事はさておき私たちは城から南西の方向へ向かって傭兵団が治めている領地へ行くらしい。
傭兵団が領地をもっているのは大変珍しい。
まぁ正確には縄張りと言うべきなのか。
「馬で二日走って道中にある町で一日休んでまた二日走ったらカルト地方につく」
「へぇ。ここの地域は何て名前なのかしら」
「ここはラベクト地方。北がフウカ、西がベルト、東がソルクト、南がテルクト、北西にギラン地方だよ」
「この地域にはあの国しかないんですか?」
「いやあと二つあるよ。でもその二つは君たちがいたマルベーク王国の属国だけどね」
私たちは雑談をしながら少しづつ目的地に進んでいった。
たまに馬を休ませ、二日たち町へ昼頃に着くことで来た。
町は活気にあふれていて平和そのものだった。
「休む宿は予約してあるから,まずそこに行こう」
キリエについていき、宿に向かった。
宿はこの町の中でそこそこの人気のある宿らしい。
「私が後のことをしておくから君たちは町を見てくるといいよ。君たちが見たことのないものがあるかもしれないよ」
そういわれ私たちは町に出かけた。
「初めて見る食べ物があるよ」
「キリエからお金をもらっているから食べてみましょうか。店主、二本くださらない?」
「二本で二十ベルだ」
ちなみにこの世界の通貨単位はベルという。
千ベルから銅貨一枚、一万ベルが銀貨一枚、十万ベルから金貨一枚だ。
「はい」
「まいど」
お金を払い、日本で言うと焼き鳥のようだが焼き鳥ではない見た目のものを食べてみた。
食べると肉汁が広がり、とてもおいしいものだった。
「おいしいね夏樹ちゃん」
「そうね。なかなかいけるわね」
探索しているうちに夕方となったので宿へ向かった。
「おかえり。どうだった?」
「初めて見るものがたくさんありました」
「とても平和なひと時だったわ」
「お揃いのアクセサリーを買ったの?」
「ああ、これは南がどうしても欲しいと言うから・・・」
「夏樹ちゃんだってかわいいわねって言ってたじゃん」
少し恥ずかしげに私が南のせいにすると、南が文句を言ってきた。
まぁ確かにかわいいけれども、ほしいといったのは南である。
「確かにかわいいネックレスだ。それに綺麗」
「あなたにもらったお金全部使ったからね」
「あと何に使ったの?」
「焼き鳥二本だけよ」
「ヤキトリ?」
「ええっと確かヨムルって言っていたかしら」
「ああ。あれね」
「夏樹ちゃん。買ったネックレスに後で刻印しておくから貸してね」
「分かったわ」
そうこう話しているうちに夜となり寝ることとなった。
「明日は早いからね」
「はい」
「ええ」
次の日
「出発するよ」
「南、いい加減起きなさい」
「眠い・・・」
南は朝にとても弱いので、出発に少し時間がかかったが、町から出発した。
そうしてまた二日馬で走るとついに目的地に到着した。