6、またしても秘密
訓練が終えた後、私たちはお風呂に入り、夕食を食べ、部屋に戻った。
今回は誰も絡んでは来なかった。
部屋では先に戻っていった南が真剣な顔で待っていた。
「どうしたの南?そんな顔して」
「実は夏樹ちゃんに打ち明けたいことがあるの」
「いいわよ。どんなことも受け止めてあげる」
「ありがと。・・・まず私は実は転生者なの」
「へ~。私と同じなのね」
「少し違うよ。私は自分の意志で転生したの。わたしは前世では魔女だったの」
「魔女?なるほど。だから魔力の使い方が分かったのか」
「そういうこと」
「でもそれがどうしたの?別に打ち明けなくても問題なさそうだけど」
「まぁ理由は初めてできた仲間だからかな。魔女時代私は一人で魔法の研究をしていたの何百年も。私は魔法に関しては天才的だった。非道なこと外道なこと・・・いろいろなことをしてきた。そうしたら一人になっちゃって・・・それで前世ですることがなくなって転生魔法を十年かけて開発してあの世界に転生したわけ。結構平和でいい世界だったけど」
確かに平和だった。
あの血泥みた世界とは違う素晴らしい世界だった。
「本当は私よりも相当年上だったわけだ。それにそんなこと言ってるけど私もあまり変わらないわよ。拷問とかしてきたしね。こうして召喚されてみればあの世界での生活は休暇だと思えてしまうわ」
「そうだね」
まさか南が同じ転生者だったなんて。正確には違うけど。
あんな簡単に魔法が使えて、魔力の扱いがうまいのも合点がいった。
それに早く言ってほしかった。
得意げに説明していた私がばかみたいじゃない。
「夏樹ちゃん」
「何?」
「妾の友となってくれんか」
「ブフッ」
「ちょっ、なんで吹くの」
「いやだって変わりすぎでしょ」
「これが昔のあたしなの。もう、夏樹ちゃんは。もう一回やるよ」
「いいわよ」
「ん、妾の友となってくれんか」
「喜んで」
「うむ。これから幾久しくよろしく頼む」
南が手を差し出してきた。
握手しようってことかしら
私は南の手を握り私たちは握手を交わした。
「熱っ」
手が熱くなったので手の甲を見てみると何かの紋章が刻まれていた。
「なにこれ」
「それは妾が危険になったとき教えてくれたり、其方が危険になると妾に教えてくれる魔法で刻まれる紋様だ」
「便利そうな魔法ね」
「お互いが許しあってなかったら手が爆発していたかもしれんが」
「そういうのは早く言いなさい」
「すまぬ」
「はぁ。さあ、もう寝ましょう」
今日はいろんなことがあって疲れたわ。
「一緒に寝ようよ夏樹ちゃん」
「ブフッ」
「なんで吹くの」
「いきなりそっちに戻るからよ」
「普段はこれで通すから。いきなり変わっても次からは吹かないでよね」
「努力するわ」
正直言って自信がない。
「さっ、寝よ」
「分かったわよ」
そうして私たちは一緒に寝た。