4、秘密
部屋に入った私たちは、すぐに部屋にあったお風呂に入った。
まさかあるとは思わずつい声をあげてしまったのは恥ずかしい。
さっぱりした後、ついに私の秘密を南に話す時が来た。
「夏樹ちゃん教えて。どうしてあんな動きができるの?武道を習っててもあんな動きできないよ」
「それはね南・・・。私が転生者だからよ」
「転生?」
「そう。つまり私には以前の人生、つまり前世の記憶を持って生まれてきたの」
「つまり前世であの動きを習ったの?」
「習ったんじゃなくて身に着けたの。私の前世の仕事は暗殺。私は暗殺者だったわけ。しかもも解いた世界とは違うこの世界とも違う別の世界の・・・」
「だから偽名を使おうなんて言ったの?」
「そうよ。私が生きた世界はそういうこともざらにあったから」
そのあと私は自分がどんなことをしてきたか南に話した。
「話してくれてありがとう夏樹ちゃん」
私の話が終わると南は笑顔でそう言ってきた。
目の前に元とはいえ暗殺者がいるのに怖くないのだろうか。
自分で言うのもなんだが私は一流だと自負している。
どんな依頼もこなしてきた。
たくさんの人を殺した。
そんな犯罪者が目の前にいて怖くはないのだろうか。
「何を思っているかなんとなくわかるよ。でも夏樹ちゃんは私たちの世界で人を殺したの?殺していないでしょ?生きるためには仕方なかったことなんでしょ?殺した人の供養もしてたんでしょ?普通ならこんなことしないよ。それだけ夏樹ちゃんは人を殺すことが何を意味しているか分かってるってことでしょ。そんな夏樹ちゃんを怖がるだなんて・・・むしろ尊敬するよ。それに私のことを救ってくれたし」
南は私の不安をすぐ見抜き励ましてくれた。
こんな人がこの世にいただなんて思いもしなかった。
南が死なないために心を鬼にして言う。
「南。この世界を生き抜くには様々な知識が必要よ。それに訓練。能力だけじゃ生きていけない世界なの。だから明日から南を鍛えることにする。許してくれる?」
「よろしくお願いします夏樹ちゃん。生き抜く力を私に教えて」
「分かったわ。一緒に生き抜けましょう。この世界を」
「うん」
そのあと私たちは眠った。
翌朝
「おはよう夏樹ちゃん」
「おはよう南」
朝私が起きて顔を洗い、寝室に戻ってくると南がちょうど起きたところだった。
「顔を洗って早く朝食に行きましょう」
「うん」
南が顔を洗い終わった後、食堂に向かった。