3話目
前回のあらすじ
「俺は美少女に選ばれたというわけだ‼︎」→扉の先には幼馴染達
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「なんで… みんながいるんだ…?」
そう言って硬直していると、潤が近くによって来た。
「ドッキリ大成「言わせねぇよ!」」
潤の言葉を途中で遮る。こうしないと、いづれ話のネタにされかねないからな…
「お久しぶりですね。二人とも。」
「ああ… えっと、その喋り方はサトシだよな?」
「はい! お元気そうでなにより!」
そう言って、智はニコッと微笑んだ。
「じゃあじゃあ、私の事分かるかニャ?」
「その口調は忘れられないな。愛梨だろ?」
「えへっ、せーかーい!」
「今の所、サトシ君とアイちゃんとジュン君とヒメの4人が分かってるけど、後の3人は分かる?」
「流石に分かるよ楓。」
「あら、よく分かりましたね。」
「当然、そして、大吾に忍だろ。」
「おう!」
「うむ」
俺は皆を見ながら古い記憶を思い出す。
東条伊織、運動も勉強も出来る優等生のイメージが強い女の子。異能は「急冷」であり、話し方や振る舞いから、『姫』と呼ばれていた。
狩野智、珍しい「テレポート」の異能の持ち主であり、美少年とも言える容姿の男子。おそらく、この中で1番の常識人だと思う人物だ。
鈴森愛梨、語尾にニャを付ける変な話し方をする女の子。小柄な見た目からは考えられない、「怪力」の異能の持ち主だ。
相沢楓、このメンバーでお姉さんポジションにいた「テレパシー」の異能の使い手。
片桐大吾、1番やんちゃだったイメージが強い「硬化」の使い手。確か運動が得意だった気がする。
音垣忍、自称忍者を昔名乗っていた痛い人物。「音に乗る」という特殊な異能を使う。
大まかな俺の記憶がこんな感じだ。けどそれは8歳の頃の事であって、それ以降の事は何もわからない。俺が皆に会うのは8年ぶりだからだ。
「で、どうしてみんなが此処にいるんだ?」
取り敢えず目の前に座っていた姫に聞いて見る。すると少し物思いに更けた後、話してくれた。
「…え〜と、皆さんこの学校を受験し、偶々、第7校に配属された事がこの学年の姫である私の所に届いたので、ならば一回集まろうと思って呼びました。」
「そう言うことか…」
これで早くから、学校に向かっていた理由が分かった。とういうことは…
「じゃあ、俺たちは同じチームで三年間、学園戦争をするのか。」
「まあ、そういうことだニャ」と愛梨が
「三年間よろしくな」と大吾が
「・・・スミマセン、学園戦争てなんですか?」と姫が答え…
「「「「「「「・・・・・えっ?」」」」」」」
伊織以外の時間が一瞬止まった。
「って、伊織知らないのか⁉︎」
「姫、知らないの?」
潤と楓が口を揃えて伊織に問い詰める。すると、少し困惑しながらも答える。
「
「いや、知ってますよ! 何を言うんですか! えっと…他の学園に行って、勝負して勝った方の学校がその学校を得て、負けた方の学校は青空教室行き…で目指せ全国制覇…みたいな感じですかね?…」
言った直後、伊織の顔が急激に赤くなる。
やばい、なんかデジャブを感じる。
隣を見ると潤の顔も、同じ事を考えているような感じだ。
そのまま全員が何も言えずに、伊織を見つめる。見つめ続ける。
「いや、あの、その… えっと…」
明らかに動揺しているのが、言葉から分かる。しかたなく、俺が落ち着かせるとしよう。
まずは…
「…えっと…その…だから」
「・・・・・姫」
「えっ、は、はい」
「落ち着い聞いてくれ」
「は、はい」
これでこっちに注目が向いた。この次に、安心させる事を言えば…
「何も心配する事は無い。だって、知らない奴は他にもいるから。」
「えっ? 本当ですか?」
「ホントホント!」
よし殆ど成功だ。姫の動揺がなくなってきた。皆がよくやったと視線で訴えかけてくれる。
「そうなんですか… じゃあ誰が知らなかったのか、教えてくれます?」
少し考えた後、答える。
「俺」
そう答えた瞬間、部屋の温度が下がった気がした。主に姫を中心に…
その上、いつの間にか全員が音も無く、部屋の外に逃げていた。
「ねえ、コウ君? それってどういう意味かな?」
何故だろう?姫の笑顔が凄く怖い…姫の声が少し低くなって、明らかに怒っているのが分かる。
「いや、俺も知らなかったし、一人じゃないよっていう、励ましのつもりなんですけど…」
取り敢えず、弁明しておく。
「何故に過去形ですか? それでは、今は知っているみたいじゃ無いですか?それにコウ君が知らないという事は、周知の事実なので励ましではありませんよ。」
姫の右手が冷気の渦に包まれる。
「ちょっとその考え酷くない⁉︎ 俺が知っててもおかしくないだろ⁉︎ 実際に今は知ってるんだし!」
「それじゃあ、結局知らないの私だけではありませんか⁉︎ そんな私を見下して励ましていたんでしょ⁉︎ コウ君のバカーーーーーーー‼︎」
姫の怒りが爆発するのと同時に、その手に集まった冷気が俺の目の前で弾け飛び、爆風を生み出す。
「ゲフォ‼︎」
俺は無様な声を上げ、宙を舞う。そして一つの事を思い出す。
(…そういや、姫の欠点は動揺するとマイナス思考になる事だった…)
それを最後に、俺は気を失った…