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2話目

前回のあらすじ

猿≒神崎光輝

_________________________________


港から30分ぐらい歩いただろうか、目の前には巨大な建造物があった。白い壁と強化ガラスによって覆われた学校、異能高校第7校舎だ。俺は潤について行く形で、その中に足を踏み入れた。


「今の内に聞いておきたいことは無いか?」

唐突に潤が効いてきた。なので、一旦『神崎(以下略)』から目を外し考える。聞いておきたいこと… そう言われると正直言って、一つや二つでは収まらない。なので今、最も気になることを聞いてみる。

「じゃあ、さっきうやむやになってしまったけど、なんでこんなに早く学校にいるんだ。」

「ああ…入学式の前に顔合わせをしたいと姫が言ったからだ。本来なら書類に書いてあったんだがな…」


そう言って、こっちを睨んでくる潤の冷たい視線を、冷や汗と苦笑いで回避する。


「にしても、早すぎない? まだ7時頃だよ」

「まあ、色々話したいことがあるようだから… 他には無いか?」

「うん、今のところはこれだけでいいよ… 今のところはな」

大切な事なので、二回言いました。

「そうか… コウ、この部屋だ。」


前を歩いていた潤が止まった先には、校長室のような立派な扉のついた『本部』と表札のついた部屋があった。


「この中に、俺たちの姫と数人の精鋭達がいる。」

「姫と… 精鋭達…」

その言葉を聞いた瞬間、頭の中で一つのパズルが完成する。まず姫。姫といえば、美しく可憐な容姿と振る舞いを持ち合わせた、いわゆる美少女のイメージがある。その姫に精鋭達は呼ばれた… 俺と潤も呼ばれたからここにいる。つまり…


「俺は、美少女に選ばれた精鋭であるということか‼︎」

「・・・・・はぁ?」

潤の口から変な声が出たが、今は気にしてられない。いち早く美少女に会いたい!

「それじゃあ、入ろうか!」

そう言って、元気よく扉を開けようとした時、中の声が微かに聞こえた。


『ねえ姫、そろそろ二人とも来るかしら?』と少し甘ったるい感じの声が、


『はい、先程ジュン君から連絡がありました。もう敷地内にはいますよ。』と如何にもお嬢様的な話し方が、


『じゃあ、もう目と鼻の先にいるかもな。』と太い声が、


『楽しみですね!早く会いたいです!』と少し高い男子の声が、


『いや、もう扉の前に気配があるぞ。何故か片一方が動かないが…』と今度は少し低めの女子の声が、


『なんで入ってこニャいのかニャ? 鍵ニャら開いてるよ〜!』と親切に教えてくれる、変な猫言葉が、


一通りの言葉を聞き、潤の方を見ると、


「…フフッ………フッ…………フッ…」


笑いを押し殺そうと頑張っていた。


その光景を見て、さっきまでの元気は何処かに行ってしまい、代わりに俺の古い記憶が蘇る。 無邪気に遊び、笑い合った、幼い時の記憶が…


俺は真相を確かめるべく、急いで扉を開ける。その瞬間、全員の目がこっちを向いた。


室内を見渡すと、真ん中に机と大きなソファーが置いており、奥には、よく偉い人が使っている机と椅子があり、まるで会議室のようだった。そして、それぞれが思い思いの場所に座ったり立ったりしている。部屋全体を見回しながら、俺は懐かしさを感じた。容姿は少し変わっているが、誰が誰であるかはハッキリ分かる。


「久しぶりですね、コウ君にジュン君。いや、ジュン君はこの前連絡をしたので、違いますね。」


そう言って、クスクスと笑いながら、一番奥の椅子に座ったり人物が声を発した。さっきのお嬢様的な話し方だ。


「それじゃあ、改めまして、今年度の『姫』を任されました、東条伊織です。」

既に知っている自己紹介を聞きながら、ポツリと呟く。


「なんで…みんながいるんだ…?」


俺は、この場にいる幼馴染達に向かってそう言った。





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