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一話目

俺は船に乗りながら思う。


少し暖かくなり春になったのは、つい最近のこと… 風も涼しく、夜に船のデッキの上で揺られながら、地平線を見つめるのもまた趣きがあると思う…。


「そう、確かに趣きはあると思う…が、それは夜限定のことだ。俺たちは現在、船には乗ってるが…潤、今何時だと思う?」

「さあ? 夜の29時ぐらいじゃないか?」

「それを世間一般では朝の4時て言うんだよ!」

「まてコウ、今なんて言った?」

「だから、29時の事を4時って言うんだよ!」

「まて、脊髄で考えずに脳で考えろ!29時は朝の5時だ!」

「………なん……だ…と⁉︎ ていうか、分かってるんなら、普通に言ってくれよ!」

「俺たちは昨日から一睡もしていない。よって、そう応えるのが妥当と考えた。そもそも普通は間違えないだろ。」


そう言って苦笑いをしたのは、結城潤—小学校の頃からの悪友と言うべき人物だ。背の高さやルックスなどの外見だけでなく、頭の良さなどの内心面にも、とにかくモテる要素をつぎ込んだかのようなヤツだ。


但し、捻くれた性格に難あり…


「おい、今お前凄く失礼な事を考えなかったか?」

「はっ!何故バレた⁉︎」

「よし、ちょっと船長に言って引き返して貰ってくる。」

「ど、どうしたのかな潤君…忘れ物かな?」

「いや、学校の裏山に穴を掘りに行くんだよ」

「・・・・・いや、よした方が良いと思う。そんな事をしたらいけない!」

主に自分の身を案じて…

「なんだ、命乞いか? 安心しろ、何も殺すわけじゃない。お前も一度は、土の中を経験しておいた方が良いと思うだけだ。」

「それは経験ですまない気がするんだけど⁉︎」

_________________________________

俺たちは今日、異能第7学園に入学する為、本島から遥々、朝早くから船で揺られて…


AM6:30


そんなこんなで、色々とあった船旅を経て、俺たちは浮島に着いた。

浮島は一見ただの、円形の巨大な人工島だ。だがその実態は、7隻の巨大な船に橋を架け、七芒星状の人工島と組み合わせることで出来た、円形の島、別名『学園島』だ。

俺たちは今、その島の中でも7つ目の船の場所に当たる、第7地区に降りていた。


「それにしても…俺たちは何故、こんな朝早くに登校してるんだ?」

まだ薄暗い中を歩きながら、ふと思ったことを聞いてみる。正直、理由については全く見当がつかない。

「あれ? お前書類見てなかったのか?」

「いや、見るだけ見たよ。けど、なんか『騎士』とか『姫』とか、意味不な事ばかり書いてたから途中でやめたけど。」

「・・・・・」


なんだろう、この空気は…すごく重たい。一つ分かることは、潤の顔から「呆れた」と読める気がすることだ。


「おいコウ、ここの特色を3つ言ってみろ。」

なんか目が怖い…

「え、なんでいきなり?」

「いいから、一つ目。」

「…分かったよ。えっと…新学校であること。」

「二つ目は?」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・テヘッ☆」

「キモい!それに、何故一つしか言えない⁉︎ 何故、『学園戦争』が出てこない‼︎」

「キモいとか酷い!それに一つしか思い出せなくて何が悪い!」

「今の「テヘッ☆」に他の感想とか、「爆ぜろ」ぐらいしかねえよ!・・・て言うか、一つ質問。学園戦争て分かるか?」

「・・・な、何を言ってるのかな〜潤君。そんな事、し、知ってるに決まってるじゃないか!」

「じゃあ言ってみろ。」

「え…?」


正直に言おう。「ガクエンセンソウ?何それ美味しいの?」てレベルだ。普通知らないだろう!え、普通じゃないだろうだって? 俺が知らないから普通は知らないんだよ!

…まあ、前置きは置いといて、どうする? 変な啖呵を切ってしまったから、今更逃げ出せないしな…


「えっと…他の学園に行って、勝負して勝った方の学校がその学校を得て、負けた方の学校は青空教室行き…で目指せ全国制覇みたいな…」


だめだ! 自分で言ってて悲しくなるレベルのバカさだ!


「正直に言え…」

「スミマセン、実際は全く知らなかったです」

早々に謝罪を述べる。

「はあ…どうしてお前は…まあ仕方ないか、後で説明するから、これ読んでおけ」


そう言って潤は『神崎光輝にも分かる!学園戦争概要!』を渡してきた。

やっっっったーー‼︎これがあれば全部分かる〜!…


「って!何だよこれ⁉︎ 何が『神崎光輝にも分かる!』だよ! それって本来『猿でも〜』て言うやつだろ⁉︎」

なんて物をつくるヤツだ!

「いや、お前用に作ったんだからそうなるだろ。それに【猿】て書いて【神崎光輝】て読むだろう?」

「読まねえよ!」

しかも悪びれもせずに…

「まあ、怒るな。校舎までそれでも読んどけ」


多少の不満が残るが、背に腹は代えられぬ。何も知らぬままよりはマシでいたい。渋々ページをめくりながら、俺は学校へ足を向けた。











「おい、そっちは中等部の校舎だぞ」

「・・・・・」




_______________________________________________________________


『神崎光輝にも分かる!学園戦争概要!』


①学園戦争とは?

学園戦争は、浮島にある第1〜第7までの学校内で行われる、模擬戦闘の事である。ルールは簡単!制限時間内に、先に相手の「王」または「姫」を倒すか、ポイントを多く稼いだ方の勝ち!


②姫や王、騎士、司令官って?

王と姫とは、その学校の各学年で、学年トップの人の事を指します。

逆に騎士とは、その反対、つまり落ちこぼれの事を指します。司令官はその名の通り、全体に指示を出す人です。


③戦い方は?

基本的に二つの学校が戦います。

自分の異能をフルに使って多くの敵を倒して下さい。


______________________________________________________________


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