プロローグ
【異能第七学園】
誰もが知っていて、皆入学を切望する新学校のことである。
「より良い人材にはより良い異能を、そして、multitaskな才能を」を校訓としており(なんで英語なんだろう?)、校舎は7隻の巨大な船と様々なパーツを組み合わせた「浮島」にある。
んで、俺はその学園の高校入試を受ける為に、死に物狂いで中学の3年間勉強し、何とか入試の許可を学校から頂いたのだが…
「それでは、受験番号と名前を言って下さい。」
「え〜と…受験番号2701、神崎光輝です。…あ、本日は宜しくお願いします…」
先に言っておこう、俺は美人先生との一対一の面接なんて聞いていない!よって、どう進むのかも何を答えるのかも、全てノープランだ!
取り敢えず考えるんだ!今なら俺の書類を読んでいる間に何とかなる。
おそらく、「あなたの志望理由を聞かせて下さい。」とか「将来の夢」とか「特技」とかの甘々で簡単な質問は来ないだろう。
例えば、「弊校に入学してからの、3年間のプランを具体的に話して下さい」とかの固いヤツが来るはずだ。
そうだな… まず入学してから勉学に励み… よし、完璧だ。
「それでは、最初の質問に移らせてもらいます。
「はい」
「あなたの志望理由を、聞かせて下さい。」
「・・・・・・・・」
「ん? どうしました?」
「いや、予想外だったものでつい…え〜と、そうですね〜…」
非常にヤバい‼︎ 何故ここでその質問がくる! 「弊校に(以下略)」がくるんじゃねえのかよ!ちくしょう…
何か無いのか…!
そう言えば、誰かが言っていたな…俺が此処を受けるって言った時に。
それをそのまま言えば行ける!
思い出せ!確かあれは二組の山本君が…
「そうですね〜…、貴校を受験した理由は…周りの女子にモテそうだからです!・・・・・あれ?」
「…そうですか、じゃあ次に移らせてもらいます。」
山本君は後日埋めることにしよう。ていうか、俺は何を言ってるんだ!今のは変態と名高い、山本君の欲望そのものじゃないか!先生のあの目…見覚えがある。確かあれはゴミを見る目だ…
「あなたの特技を教えて下さい。」
「え、あ、はい… え〜と、特技ですか?」
「はい」
再びピンチ到来だと…!何故こうも外れる…⁉︎ こうなればまた思い出せ!次は山本君以外で!
確かあれは杉本君と遊んでいる時に「やっぱ神崎は強いな〜 一回も勝てねぇよ、 ならな。」て言われたんだが、ここの空白は何だっけ?確かあれは…
「特技は… ジャンケンですね!」
「・・・・・」
なんで…!なんでジャンケンが特技なんだよ!あれは確率と運の問題だろ!先生も呆れてしまって、何も言えなくなっているだろ!…いや、あれは呆れている顔じゃない!たしか、どうやって早く終わらせようか考えている顔だ…
「じゃあ、まだ二つしかしてないけどこれで面接を終わりにします〜 お疲れ様でした〜 いい結果を期待して下さ〜い」
「待って下さい!弁明の許可を!」
「どうぞ〜 早くお帰り下さい… 幼稚園にな」
「無視する上になんて酷い事を!そもそも今の状況では、いい結果なんてあるはずがない! すみません、今のは違うんです!いや、今のだけではないけど!もう一度答えさせて下さい!」
「イヤ、イイデス。モウ、ダイタイノコトハワカッタノデ。」
「じゃあ、なんでそんな話し方なんですか⁉︎ そこを何とか!」
拝み倒すこと数分…
「…失礼しました。それではもう一問だけ質問します」
「ありがとうございます(シクシク)」
まさか面接で泣きながら土下座をするとは思わなかった…
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「それではこれで面接を終わりにします」
「ヒッ… グスッ… ありがとう…ございました」
「お疲れ様でした。」
少年—神崎光輝は泣きながら教室から出て行った。
結局、私は最後まで質問をして採点する事になったが、最初の2問以外は、全てハッキリと明確な答えを(涙と一緒に)出していた。
この分だと、彼のこれまでの成績と異能を持ってすればギリギリ合格するかもしれない。
「それにしても…何故【問⑩ 弊校を受験する上の明確な目標について聞かせて下さい】だけは、あんなにスラスラと、その上、五分間も話し続けれたのか?」
些細な疑問がある生徒だったが、なかなか面白い生徒だった。貰った資料にも『特徴的な生徒』と沢山書かれていたし…
「ん?」
資料に目を通していた私はある事に気付いた。
「確かこの小学校、昨日の面接の生徒に二人ぐらい同じ子がいたはず…」
探したら直ぐにでてきたし、それによく覚えている生徒だった。
1人はいかにもリーダー格ぽい男の子、もう一人は、長い黒髪が特徴的な、現時点で入試三位の実力の可愛い女の子だった。
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後日、私のところに届いた資料には、こう書いてあった。
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第七校 名簿
担任 九条麗華
特殊生徒
姫役 東条伊織 騎士役 神崎光輝
指揮官 結城潤
一般生徒
相沢奏
音垣忍
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以上、80名を
今年の異能学園第七校の生徒とする
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「よりによって、底辺の第七校とか……」
その呟きは誰の耳にも入らなかった…
初投稿です
初心者なのでお手柔らかにお願いします
不定期で順次掲載していきます