最期
手の内を伝わって落ちる液体が、
絨毯の上に染みを作っていく。
「ああ、こんなはずじゃなかった」
そう悔いても、もう消えることのない傷と痛み
薄れゆく意識の中見た夢の中
君と何度も交わしたキスを思い出す。
君の手が私の肌を滑るたびに、
反応する体。
口から漏れ出す喘ぎ声に、
激しくなる動き。
幸せだったころを思い出した
何でこんな事をしてしまったのか
絨毯の染みが大きくなっていく
薄れゆく意識の中
無意識に手が伸びた先には携帯があった
もう慣れた動作で君の番号に電話してしまう
君の声が聞こえる
君の怒っているような声が聞こえる
しかし私は、ただの一言しか発することが出来なかった
床に転がった携帯から聞こえる君の焦っているような声
私は目を閉じる
目の裏に映ったのは君の笑顔だった
私は再度繰り返しつぶやき、
意識を手放した。
「愛してる」と。