暗い部屋で
すごく短いです。
チリチリと燃える蝋燭がぼんやりと灯る暗い部屋。
明かりの届かない暗がりでボソボソと話す声。
「……三人?四人じゃなかったか?」
「男がいなくなった」
男が二人。野太い声と嗄れた声。
「入ってきた奴等でまちがいないな?」
「ああ、確認した」
「……ギルドの認定は、『A』か。本当に人間か?」
「魔物が化けているかもしれないから警戒はしている」
コポコポとワインをグラスに注ぐ。
真っ赤なワインは蝋燭に照らされキラキラと輝く。
「……厄介な事になる前に、始末するか?」
「どうやって?『A』判定だぞ?」
「だが、子供なんだろ?」
「子供だから理屈が通じないかもしれない。癇癪を起こされたら面倒だ」
「なら、引き入れるか?」
グラスが闇に引き込まれて、喉を鳴らす音がする。
「反対だな。不確定要素が多すぎる。不干渉でいた方がいいだろう」
「……ふむ」
しばし沈黙。
「それで?判定を貰ってどうしたんだ?」
「年齢もあるからそこは伏せてあるみたいだ。最初の依頼をこなして会員になった後は、多種多様な依頼を受けている。金に困ってはいないようだ。服屋で一式揃えてたしな。ギルドの宿に連泊しているが、根付く気はないらしい。ある程度したら出ていくだろう」
「なら、やはり静観するか」
「それがいい」
「『雷王』は?」
「相変わらずだ。身内にならない亜人には興味無さそうで助かる」
「集まったのか?」
「それなりにな。あとは最終通告をして、身柄を確保した順に送ればいい」
「見目のいいのはちゃんと保存しておけよ?下の奴等に散々遊ばれたヤツは壊れかけてて売れない」
「…ああ、まぁ、注意はしてるんだがな」
「なあ?この3人、上玉だな?連れてこれないか?」
「は?『A』だぞ?」
「だから、こうして……こう……。どうだ?」
「……確実性がない。一応、仕掛けておくが期待はするな」
「もちろんだ。魔物の時は諦めるしな」
カチンと空のグラスが置かれた。
「では、またな。『例え四肢が崩れても』、」
「『啜る悪意は最後まで』……また」
ふつりと灯りが掻き消えて、部屋は静寂に包まれた。
彼らが誰か分かりますよね?
分からなかったら……スミマセン……。




