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怪奇解決株式会社  作者: カエル
一章
3/82

訪問

 珈琲とオムライスの代金を支払い、喫茶店を後にした僕は家に帰ると「怪奇解決株式会社」について検索してみた。変な名前の会社なのでヒットするかと思ったが結果はゼロだった。

 次に近所にあるハローワークに行ってみる。あの【川鳥】という女性は社員を募集しているといっていた。ならば、ハローワークで求人しているのではないかと思ったのだ。

 ハローワークのパソコンで検索してみる。なんと一件ヒットした。正直ダメ元だったが、なんでもやってみるものだ。さっそく求人票を見てみる。


 職種……怪奇現象解決業務

 仕事の内容……怪奇現象にお困りの方をお助けする仕事です。

 雇用形態……正社員以外

 雇用期間……なし

 学歴……不問

 必要な経験等……不問、経験者優遇

 必要な免許・資格……不問

 年齢……不問

 賃金……400,000円~450,000円

 通勤手当……なし

 昇給……なし

 加入保険……雇用、健康、厚生、退職金制度なし

 就業時間……9:00~18:00 状況により残業の可能性あり

 休日……週休二日制 シフトによる

 従業員数……企業全体6人、就業場所5人、うち女性2人、不明1人

 事業内容……怪奇現象の解決

 会社の特徴……アットホームな職場です

 定年制……なし

 育児休業、介護休業、看護休業、取得実績……なし

 年間休日数……記載なし

 就業規則……あり

 採用人数……1人

 選考方法……面接

 応募書類……必要なし

 選考結果……面接終了後通知

 備考……事前連絡をしてください、面接の日時をお知らせします


 ものすごく怪しい。仕事の内容は具体的ではないし、明らかに危険を伴う可能性が高そうなのに労災もない。賃金は一見高そうに見えるが、彼女が力と呼んでいるものを受け取るのに一回三十万円かかる。

 もし、その分給料から引かれるとすれば、手元に残るのは十~十五万円ほどだ。従業員の中に不明が一人いるのも気になる。応募書類が必要ないなら何を見て判断するのだろうか?他にもいろいろ気になるところはある。

 しかし、僕には他に自分の命を延ばす方法が思いつかない。思いついたとしても時間は足りないだろう。ともかく、一度この会社を訪ねなければいけない。僕は名刺に書いてある番号に電話をかけえた。電話に出たのはあの【川鳥】という女性だった。

 彼女はさっそく明日、面接にきてほしいと言ってきた。驚いたが、ちょうど明日は用事が何もない。僕は了承し、電話を切った。


「怪奇解決株式会社」は「イカイ」という五階建てのビルの中にあった。

 古いビルで、壁は汚れておりヒビも入っている。会社は三階にオフィスを構えていた。他の階には「異空文禄株式会社」や「蓬莱牡牛株式会社」など何をしているのかさっぱりわからない会社が入っていた。

 僕はエレベーターに乗ると三階のボタンを押した。五階建てのビルなのになぜか七階までボタンがあったが、今は無視する。エレベーターが三階で止ったので降りると、目の前に扉があった。表札には「怪奇解決株式会社」と書いてある。僕は扉の前に立つと二回ノックした。

「どうぞ~」

「失礼します」

 扉を開け、僕は中に入る。これから何度もこの扉をくぐることになる。これがその記念すべき一回目だった。

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