第10話 集会所
GSMGとやらに入るとそこには満員電車のように所狭しと人が集まっていた。
扉の近くにいた騎士と思しき中年の男から、「おぅ、スカウトも雇ってんのか、始まるぞ、扉を閉めろ。」と、言われ、とにかくなにかが始まるようだったので扉を閉めた。
それと同時に前方にいるここのお偉いさんと思しき男性が何かを話し始めた。
『ようこそ、GSMGクルス支部へ、各地方の優秀な騎士団、スキルマスター、及びその他個人、団体のこの度の作戦へのご協力に厚く御礼申し上げる。』
どうやら彼がこのGSMGクルス支部とやらの指揮官のようだ。
秋水からその男性までの間には軽く100人を超える人でひしめき合っているのにも関わらず、その声はまるで耳元で聞こえるようにクリアで少し驚く。
『ありゃあ拡声のスキルだ、スキルマスターなら誰でも使える初歩の初歩だぜ。』
『そうなのか、ネブラに話しかけられるのとはちょいと違うな、ネブラのは頭の中にダイレクトに来るけど、ありゃあまるでイヤホン付けてるみたいな感じだ。』
『イヤホン?』
『いや、俺の元いた世界のその、拡声みたいなもんだよ、自分にしか聴こえない用だけど。』
『へぇー、面白いもんがあるんだなぁ。』
『ってか、なんか大事な話っぽいぞ?? 俺聞いちゃって大丈夫かな…。』
『なぁに、面白そうじゃねぇか!
この任務でちゃっかり手柄をあげたらこの先情報も仕事も集めやすくなるかも知れねぇぜ?』
『確かに。こりゃいわゆる初期のストーリーイベントみたいなもんだな、いやぁ、世の中上手いこと出来てる、よし聞こう。』
もはやゲーム感覚の秋水である。
そんなこんなをしていると、今回の作戦へ集まった各団体の名前を順に読み上げていた指揮官が最後の団体を読み上げた。
『そして、栄えある王都のGSMG総支部より第八階級、アークエンジェルス、伝説の2属石を操るスキルマスター達である!』
会場はドッと盛り上がるわけでもなく、ほぅ、と意味ありげな表情を浮かべ、そこかしこではヒソヒソ話が行われている。
『へぇー、2属石たぁこれまた懐かしいな。』
『2属石ってなんだ?』
『スキルマスターってのは王都の総支部が年に一回スキルマスターの素質を秘めた者を召喚して契約するもんなんだよ。』
『スキルマスターはこの世界にちらばる各門の守護者に選ばれ、属性石を与えられる。』
『そしてその属性石の秘める世界の様々な自然の力を操る力を、門の守護者から与えられてスキルマスターとなるんだ。』
『そうなのか、なんか難しいな、とりあえずスキルマスターになればいいのな?』
『まぁ、スキルマスターになるのはそう簡単じゃねぇ、でもスキルマスターじゃなくたってお前は世界の理ごと歪める力を持っちまってるから大丈夫だぜ。』
『そうなのか、なにが違うのかよーわからんがとりあえず作戦内容とやらを聞こうか。』
前方では一連の挨拶を終えた指揮官が口を開いた。
『それではこの地方で現在起こっている異変と、作戦の概要をお伝えする。』