第5話 夜が明けて。
深夜遅く、クルスの飲み屋通りを飲み歩いていたジンは近くの通りから異常な力のぶつかり合いを感じた。
はじめは酔ったスキルマスター同士のいざこざかとも思ったが、その割にぶつかり合う度に放たれるおぞましい程の気の量に少し驚かされる。
しかし、それが繰り広げられているのは街のど真ん中で、今は目に見えて実害はないが、このままヒートアップしてしまえば平気で街が半壊するレベルの力である。
ジンの立場上これを見逃すわけにも行かず、自分が担当した案件で街が半壊等もってのほかだ。
ということで小手調べにちょっとだけ『気』を激闘が起きている方向に放ってみた。
するとまるで野生の勘が働いたかのように二つの力はお互いに瞬時に距離を取り、そのまま二方向へと分散していった。
その移動速度、反応速度も並のスキルマスターではありえないレベルではあったが・・・・。
ジン「なぁあんだぃ、ち~~~っと気を放っただけで芋りやがって、これだから最近の若いマスターはなってねぇんだなぁ・・・・。」
この男、世界に流れる気の流れの頂点に立つ男、『大拳聖』である。
そしてクルスの夜は明けてゆく・・・・。
~翌朝・GSMGクルス支部~
守武を除く6人は食堂で朝食を取っていた、地方に来たらもうちょっとマシなビジュアルの料理があるかも、と期待していた一行だがその期待は昨晩早々と崩れている。
尚矢「ところで、守武はまだ起きてけえへんのかい?」
ちょっと真癒起こしてと言いかけた尚矢は飛んできた神速の水の矢を間一髪避ける。
真癒「尚矢、早く起こしてきたら?」
その愛嬌のある笑顔の裏に憎悪を感じた尚矢は飛んで守武の部屋へと向かっていった。
夜雲「・・・・真癒の闇に磨きがかかっている。」
剣徒「女の嫉妬は恐ろしいですね・・・・。」
真癒「剣徒、あんたも死にたいの?」
剣徒「いえ、なんでもございません。」
そういってまた気まずそうに朝食をばくばく食べ始める。
そのころ、守武の部屋に着いた尚矢は起こすのに奮闘していた。
尚矢「守武~~! 起きんかいな! もうええ時間やで!」
出張先だと言うのにいつにも増して深く眠っているようだ。
すると守武の身体が不意に起き上がり、目は瞑って寝たままの状態で口だけが動く。
『ああ、尚矢わりいがこいつたぶん今日は起きねえと思うぜ?』
尚矢「その話し方はオプスはんかいな! どーいうこっちゃ?」
『それがなあ、昨夜遅くに喧嘩ふっかけられて派手にぶつかり合ったのよ!』
『相手も中々やり手で開放状態での戦闘は初めてだったから相当体力的にキテやがるし、開放は着装の倍以上に負担が大きいからな!』
尚矢「なんてこったい!! 今日から任務に就くってのに戦闘の主力が丸一日使えんとは・・・・。」
尚矢「しかも守武が本気でやりあう相手なんてどこのどいつやねん! まぁ起きへんもんは仕方ない、とりあえず今日は6人で動くことにするわ!」
『いやほんと悪いねえ、昨夜の敵はよくわからねえが、少なくとも守武クラスの化け物がもう一人と、その化け物二人を凌駕する大化け物が一人はこのクルスにいるのは確かだ。 荒れるぜぇ~?』
それだけを言い残し俺も疲れたと言ってまたベッドに倒れこむ守武の身体であった。
尚矢「はぁ・・・・なんてこったい、先が思いやられるわ・・・・。」
そう言ってとぼとぼ5人の待つ食堂へと戻っていった。
大変お久しぶりです皆様、剣狐です。
更新が滞っている間私は日々激務に励んでおりました、いろいろあったんです。
責任が重くなり、契約がまた変わりと・・・・まぁ詳しくはいいませんが、とりあえず更新ですw
大変お待たせいたしました。
この長い期間にいなくなってしまった読者様もいらっしゃるかと思いますが、書き始めた頃からずっと言っておりますとおり、書き始めたからには何十年かかってでも完結させるつもりです。
そこは信じて待っていただけると非常に幸いです。
更新頻度はまた不定期にはなりますが、これからもよろしくお願いします。