第4話 濃霧と暗闇の闘争
守武は夜遅くに目が覚めた。
特に何かが眠りを妨げたということはない、部屋は個室であり、クルスの夜はとても静かだった。
しかし何かを感じ取った。
『おい、オプス、精霊開放だ。』
『おう、相棒起きたか、俺もなんだか妙な気配を感じた所だ。』
『とりあえず気配のするほうへ、どの辺りだ?』
『この感じは、夕方他の奴等と飯を食った飯屋通りの辺りじゃねえか? 飛ぶぜ。』
移動した、そう感じたときには夕刻に立ち寄った飯屋通りにいた。
辺りは濃い霧につつまれていた。
『霧だ~? 気にいらねえなぁ。』
『なんでだ?』
『俺の大嫌いな精霊の属性だ。』
『ふぅん、色々あるのな。』
そんなことを頭の中で交わしながら歩いていると不意に殺気を感じ、一足飛びに後ろへ飛んだ。
??「ふぅん、俺の一刀をかわすとは中々の身のこなしだな。」
守武「なっなにもんだ!?」
答えは斬激だった。
守武を襲う斬激は右から左から、後ろかと思えば上から、変幻自在に狙ってくる。
『守武! こりゃあ精霊開放だ! 一旦離れるぞ!』
その瞬間守武も闇となった、変幻自在の斬激が闇を斬るがその斬激はもう守武へは届かない。
??「その技・・・・やはりお前もなのか!!!」
そこからはまったく別次元の戦いだった。
辺りに拡散する霧と闇、戦っている本人達には非常に激しい打ち合いでもはや何がどうなっているかわからない、本当に気と気のぶつかりあいだ。
しかしクルスの飯屋通りは辺りに比べて一層暗い闇と深い霧に包まれているものの、静寂を保っていた。
一刻ほど切り結んだ後、激闘は唐突に止んだ。
それは二人の体力が限界だったからというわけではない、自分達のぶつかり合いを遥かに超える気を感じ取ったからだ。
それが飯屋通りの近くから発せられた瞬間、濃霧と漆黒の闇は距離を一気に取り、飯屋通りは明るさを取り戻した。
『ちっ! いまの化け物じみた気はなんだ!?』
『わからない、でもとりあえず疲れた、あの戦いにあんな巨大な気の持ち主が加わったら確実に負けてたよ。』
『いや、それは相手も同じだろ、気を感じた瞬間向こうもすげえ勢いで離れた、お互いに野生の勘が働いたんだろうよ。』
『そうか・・・・でももう始めに感じた違和感は消えたみたいだし、帰って寝るか。』
そういうとすぐに守武は宿まで戻っていた。
『ほんと便利だなこれ。』
『精霊様を見くびるんじゃねよ!』
『さ、寝よう。』
『おう、相棒!』
~同時刻、秋水&ネブラ~
『ものすごい気だった。』
『ああ、霧の門で会ったスザクにも劣らないレベルの巨大な気だった。』
なぜその場を離れたのかはわからない、しかし本能が危険と感じたのだろう、そしてそれは相手も同じだった。
つまりあの気は戦闘を外から見ていた第三者によるものということになる。
『でも気自体には特になにも感じなかった、ただあまりに一度に来る波の量が多すぎて焦ったって感じに近い気がする。』
『確かに、使い手によっては殺気を纏わせたりも出来るからな。』
『なんだかひどく疲れた・・・。 今日は休もう。』
『ああ、そうだな。』
そして闇と霧が交差したクルスの夜は明けてゆく・・・・。
お久しぶりです。
更新します!
台風ですね、みんな頑張りましょう!
また書ける時にどんどん書いて行きます!