第13話 策略
深い霧が立ち込める森の中、森の中にたたずむ一際巨大な門の中で一人の男が一人で『踊って』いた。
『はっはっは!!! もっと踊ってくれたまえよ冒険家くん!!!』
広場には声だけが響く、冒険家と呼ばれた男は愛剣で『何か』からの攻撃を受けていた。
もちろん攻撃しているのは偏在し、精霊開放状態の秋水である。
それに合わせてネーベルヴェヒター、もとい霧の守護者がセリフを合わせている。
??「ちっ! どうなってんだ! なんのために俺を襲う!」
『なんのためだって? 言ったじゃないか! 軽い余興だよ! 殺しはしないから安心してくれ。』
余興と言ってもとりあえずこいつの実力を見たいという事で、その後適当に話を合わせて逆に利用出来ないかという秋水の案である。
もしこの冒険家を秋水との1対1に持ち込めば作戦成功といった具合である。
??「なにが余興だふざけやがって! 姿も見せねえで四方八方から同時に仕掛けてきやがって卑怯ものがぁ!」
『卑怯? 得物も出さずに僕の攻撃を全部防いどいてよく言うよ! あー傷つくなぁ。』
??「全部防いてる? どこから来るかわからない、何箇所同時に来るかわからないってのに全部防いでるように見えるってのかよ! くそっ!!」
話している間にも四方八方から斬撃と思われる攻撃が自分目掛けて繰り出される。
使い慣れた『気』で受け流してはいるものの、防ぎきっているわけではない。
事実、体中に浅い切り傷を受けて大怪我をしているかのような血みどろ状態だ。
『あらほんとうだぁ、よく見たら真っ赤じゃん! そうだ、一つ提案があるんだけどさぁ・・・・。』
『君の得物を出してくれたら、こっちも姿を現して1対1で戦ってあげるよ、どうだい? まさか君ほどの使い手が『気』だけでここまでの気配を出しているとは思えないんだよね。』
??「なんだと? そりゃあマジかい? それならば本気で相手をしてやってもいいだろう。」
冒険家はまんまと策に乗ってきた、ここで守護者が1対1が可能になった場合のセリフを嬉々として吐く。
『いい性格してるぜ、じゃあ早速始めようか。』
するとどこからともなく、見慣れない格好の少年が一人で現れた。
??「なんだ? こいつが相手か?」
『侮らないほうがいいぞ、この小僧は門に迷い込んできたので霧の精霊に始末するよう命令したら精霊のほうを手懐けてしまうほどの実力者。』
『無論、我が領域に踏み込んだ罰としていまは私の人形に過ぎぬが、実力は以前のままだ。』
もちろん、そういう設定である。
??「ほう、霧の精霊を手懐けるねぇ・・・・そりゃあ俺も一筋縄ではいかねぇな。」
そう言って男がどこから出したのかとツッコミたくなるような巨大な薙刀を取り出した。
??「ここからはやっと1対1の決闘てわけだ! 相手である貴様が操られている身ってのがなんとも惜しいが、礼をもってお相手仕ろう。」
??「我はアルモニア=プロドティス、堕天使第伍柱、審判の薙刀、いざ尋常に、勝負!!!」
そろそろ秋が近づいて来ましたね、ちょっと気が早いですが皆さんHappy Halloween!
また寒い時期が来ますがみんな体壊さないように気をつけて下さい!