第6話 霧の守護者
門へ入ると中には広い廊下が一本続いており、その左右にはたいまつが置かれていて、視界には困らなかった。
秋水はゆっくりと長い廊下を歩き始めた。
秋水「ここは一体なんだ? ただひたすら先の見えない廊下が続いてるだけ・・・・ってかどんだけ広いんだ?」
廊下の左右にはこれといって目立つ物もなく、本当に同じ景色が永遠と続いているように思えた。
しばらく歩くととてつもなく巨大な扉が現れた、その扉には巨大な鎖が幾重にも巻かれており、到底人の力で開けられるものではない。
すると突然、頭の中に声が響いた。
『よくぞ辿りついた、異世界より出でし剣士よ、入るがよい・・・・。』
その言葉とともに巨大な鎖が扉から外れ、巨大な扉が開く。
秋水は扉に入った、中は思いのほか明るく、部屋にはこれといって目立つ物もなかった。
『ようこそ優秀な剣士よ、我が名はネーベルヴェヒター、霧の門を守護するものなり。』
秋水は妙に落ち着いていた、頭の中に響く声に少しだが、敵意を持ったような響きがある、その時点ですでに警戒体制に入っていた。
秋水「お招きどうもありがとさん、でも姿くらい見せたらどうなんだい?」
『おぉ、これは失礼、我は霧なので実態は無いと言ってよいのだが、確かに声だけでは失礼だな、いま姿を見せよう。』
すると部屋の中心に光が集まり、そこにもう一人の『秋水』が現れた。
秋水「どういうことだ?」
『だから実態は無いって言っただろう? その代わりにどんな姿にでもなれるんだぜ?』
秋水「話し方まで真似する必要はねえだろう。」
『冷たいねぇ、いいじゃねーか! こっちのがお前も話しやすいだろう?』
秋水「まぁ、んなこたどうでもいいけどよ、俺はなぜこんな世界にいるんだ? 飛ばされたのはお前の仕業ってことか?」
『いや? わかんねえ。』
秋水「わからない? どういうことだ。」
『確かにこの世界に異世界の住人が来ることは本当に稀にだが、ある。 しかしどんな理屈で、どんなタイミングで、そして何故、この世界に来るのかは本当にわかんねえってことだ。』
秋水「そーか、知らないならしゃあねえ、じゃあ次だ、なんで俺をここへ導いた? 変な夢を見せたのはお前か?」
『あぁ、夢は見せたぜ? いきなりこの霧の森にへんな気が現れたもんだから気になってよ、ずっと見てたんだ。』
秋水「で、なんでここへ導いた?」
『え? お前が迷子になってたから、とりあえずここに来させてあげたってのにひでえ態度だなぁ。』
秋水「しらばっくれるのもいい加減にしたらどうだ? お前からは敵意のような気を感じるんだよ。」
『敵意って・・・・まぁ、そう思われるのはお前を試したいってのが原因かな。』
秋水「試す? どういうことだ。」
更新!
またまた誤字脱字見つけましたら言ってください!