第4話 霧の法則
秋水「絶対おかしい・・・・何回同じ方向に歩いてもこの小屋に戻ってくる。」
秋水はあれから三度、小屋の前に戻ってきた、さすがにおかしいと思い、小屋の前に座り込み地図を見ながら考え込んでいた。
秋水「この地図通りに行けば必ず森を出るはずだよな・・・・。」
ここで秋水はあることに気づく。
秋水「あれ? そういえば小屋を出たのは朝早くのはずだ・・・・太陽はもう昼くらいのとこにあるのに・・・・どんどん霧は濃くなってるじゃねえか!」
そう、ここは霧の森 、Nebel Wald、陽が登れば登るほどその霧は深くなり、日が沈むに連れ霧は薄くなる。
しかし深夜の森には昼間霧の中に潜む魔物が徘徊する。
秋水「これじゃあ進めねえなぁ・・・・でも朝の方が霧は薄かったよな・・・・もしかしたら夜には晴れるのか?」
そんなことをぶつぶつ言いながら次は地図の西にある湖を目指し始めた。
しかし霧が余りに深く、もはやどちらに進んでいるかもわからなかった、5分ほど歩いたところで、また小屋の前に戻ってきた。
秋水「だめだな・・・・こりゃ・・・・この調子だとどの方角を目指してもここに戻ってきちまう。」
そこで秋水はあることを思い出す、昨日の朝早く狼チックな魔物に追いかけられたときは迷わずこの小屋にたどり着いた。
逃走の最中、小屋以外の景色も見たので道に惑わされてはいなかったということだ。
ということで秋水は昨日追いかけられた時の獣の足跡と自分の足跡を辿ってみることにした。
秋水「えーっと・・・・この小屋に飛び込んだのは視界の左端に小屋の入口が見えたからだから、小屋の正面の道ってことか。」
勝手に結論に行き着いた秋水は小屋を見つけた辺りに立って足跡を探し始めた。
探し始めてすぐに自分の足跡と魔獣の足跡は見つかった、ただかなり視界が悪く足跡の続きを辿るのに結構な時間がかかった。
足跡を辿り始めて10分ほど歩くと足跡の始まりの部分には自分が寝ていたであろう場所にひときわ太く巨大な木があった。
秋水「ここで寝てたのか・・・・しかしでけえ木だなぁ・・・・太すぎて囲もうと思ったら両手を広げた大人が何人いるかわかんねーくらい太い。」
と、謎の感想を述べていると少し眠くなってきた。
秋水「あぁ~・・・・朝早起きしてずっと歩き回ってたから眠くなってきたわ・・・・ちょっと寝るかな。」
そう言って秋水は大木の根元で仮眠を取りはじめた。
寝ている間に秋水は不思議な夢を見た。
森の中に忽然とそびえる巨大な『門』その近くには巨大な湖があり、門の正面、湖の対岸には天を貫こうかという大木が立っている。
そこまで見たときに秋水は目が覚めた。
仮眠始めた時には陽が高かったが目覚めた時はかなり陽が傾いていた。
周りを眺めるとあることに気づく。
秋水「あれ? かなり霧が晴れて・・・・あれは・・・・湖じゃねえか!」
そこには地図に記されていた湖があった。
秋水はそこで仮眠で見た夢を思い出す。
秋水「あれ・・・・そういや夢ででっけえ門があって・・・・湖もあったな・・・・あと・・・・。」
ここで自分が寄りかかっている巨大な大木を見上げる。
秋水「おぉ~・・・・理解。 夢が正しいかわかんねえけど、いまんとこ手がかりはこれだけだし、反対側にある門を目指してみるか。」
霧はかなり薄くなったといっても、湖の対岸が見えるほど綺麗には晴れていない。
ただ徐々にだが、霧は確実に晴れてゆく。
そして同時に夜の闇も訪れる。
秋水は暗くなる前に夢で見た門になるべく近づけるためにまた歩き始めた。
更新!
あ、そうそう最近、誤字、脱字の見直し作業を始めたんですが、どうやら1話につき2~3個しょうもない誤字があったりします。
作品クオリティ向上のため、なにか気になることなどございましたら教えていただければ幸いです(´Д`;)