第10話 映し鏡の試練
優菜が飛ばされた先は訓練所の模擬試合場であった。
優菜「ふええ!!! なんで私が訓練所に・・・・?」
??「フフフ、ここは作られた世界、いわば本物に良く似た偽者ってことですよ。」
優菜「だ、だれですかっ!!!」
??「え? ここにいるじゃない、私はあなたよ・・・・優菜。」
優菜が闘技場の反対側を見るとそこにはガラスのようなもので出来た『自分』がそこにいた。
優菜「え? 私と同じ顔? 髪型・・・・声?」
??「そうよ、あなたは私、今回の試練で倒すのも私よ!!!」
優菜「えええええぇぇぇぇぇ!!!!!」
~そのころ、残された6人~
剣徒「優菜さん・・・・大丈夫でしょうか・・・・。」
尚矢「ほんまにまともに戦ってるとこ見たことないからなぁ・・・・。」
??「そうだな、さ、次の試練を同時進行するぞ。」
尚矢「さらっと会話はいんなぁ!!!」
??「いいツッコミだ。 さて、次はどっちだ?」
剣徒「僕が行こう、尚矢さん、最後の試練頼みます。」
尚矢「わいの実力過信し過ぎちゃうかぁ・・・・? まぁ頑張るわ・・・・。」
??「では二人とも闘技場へ連れてゆく。」
そう聞こえるなり二人の体が光輝き、その場から消えた。
~優菜サイド~
先制攻撃は優菜だった。
【ウェイブモーション=ライトニング】
波動の力を纏った稲妻がガラスの優菜を襲う。
その瞬間、スキルを放った優菜自身にも稲妻に打たれたようなダメージが通る。
優菜「きゃあああぁぁぁ・・・・!」
優菜「な・・・・なんで私がダメージを・・・・。」
??「言ったでしょ? あなたは私、私がダメージを受ければ、それは自分に向かって放たれたのと同じなんです。」
優菜「私は・・・・私は私です、あなたなんかとは違うっ!!!」
優菜(魔法系統がだめなら物理攻撃でっ・・・・!!)
【ウェイブモーション=ブレイド】
波動の力を纏った剣が現れる。
優菜「これならどうだっ!!!」
駆け出すと、相手も同じような剣をガラスのような物で造りだす。
剣と剣がぶつかり合う・・・・。
優菜が放つ手放つ手全てに対して同じ行動を返してくる。
優菜(このままじゃ戦いは終わらない・・・・なにか・・・・なにか弱点はっ・・・・。)
剣を振っていると、半透明は相手の体の向こう側に何かが見えた。
優菜(あれは・・・・鏡?)
優菜(こうなったら・・・・最後の掛けですっ!!!)
思いっ切り力を込めて剣を弾く、その瞬間に間合いをとり、相手の頭上を弧を描くように剣を投げる。
高速に回転しながら波動の剣が奥の鏡に突き刺さる・・・・。
??「あーあ、ばれちゃったかぁ。 さすがに簡単すぎたですかね? でも楽しかったです・・・・。」
優菜「・・・・さようなら・・・・です。」
音を立ててガラスの優菜はそこに崩れ落ちた。
優菜「なんだか・・・・ちょっぴり寂しいですっ・・・・。」
小さな鍵を拾い、現れた光の扉を出るとそこには見慣れた4人の顔があった。
真癒「優菜っ!!! 無事試練をクリアしたのね!!! 大丈夫? 怪我は無い?」
優菜「はいっ! 全然大丈夫でしたよ!」
守武「なんかとても楽しそうだね。」
優菜「ちょっと戦うのが好きになっちゃったかもですっ!」
真癒「いったい・・・・なにがあったのよ・・・・。」
優菜「いろいろです!」
~剣徒サイド~
剣徒「ここは・・・・中々凝った作りですが僕の目はごまかせんませんよ。」
??「フフフ・・・・さすがに違和感があるかな? 若き剣士よ・・・・。」
そこは剣徒が小さな頃から通っていた剣道の道場であった。
剣徒「ヨタ話はいいです。 さっさと試練をはじめましょう。」
??「血の気があらいな。 どのようにして戦うかはもう察しがついているというところかな?」
剣徒「ええ、この場所で他になにかすることでもありますか?」
そう言って真紅に光る二降りの剣を出す。
??「なら話が早い。」
例の如くガラスのような物質でできた剣徒も剣を造りだす。
道場の中に入り、礼をする、三歩前へでて、蹲踞、立ち上がる。
一瞬の事であった、二人の立ち位置が入れ替わる。
遅れたように剣戟の激しい音が道場内に鳴り響く。
剣徒「私の実力をそのままにした人形ですか。 趣味が悪いですね。」
??「まぁそういうな、楽しもうじゃないか。」
幾多の剣戟が繰り返される。
どれも全く同じタイミングで、同じ速度で、同じ角度で剣と剣がぶつかり合う。
剣徒「やっぱりこのままじゃ勝てないんですね。」
??「自分を超えない限り私には勝てぬ。」
剣徒(このままじゃ前に進めないって言いたいのかな? 笑わせるなよ、次の一手で決めてやる!)
左に持っている剣を少し低めに構える。
右手渾身の力を振り絞り、面を狙った激しい斬激が相手を狙う。
咄嗟に左手でガードしたガラス質の剣徒は余りの威力に右手も添えてしまう。
剣徒「ここだっ!!!」
ガラス質の剣徒の右腕と左腕の隙間から、左に持った剣で相手の顎を狙った鋭い突きをかます。
突きは相手を直撃し斜め45°の角度で道場の端まで吹っ飛ぶ。
??「たいしたものだ・・・・戦いの中で新たな技を身に着けるとは・・・・。」
剣徒「いや、これは君がいたからこそできた技であった、君にしか通用しない技だよ。」
??「私専用か・・・・また剣を合わせられる日を楽しみにしよう・・・・。」
剣徒「そうですね。 ありがとう。」
ガラス質の剣徒は音を立てて崩れ落ちる。
剣徒は鍵を拾い、光る扉に入った。
もう優菜は帰っていたが、尚矢はまだのようだ。
討魔「おう、どうだった?」
剣徒「剣道の練習試合みたいなもんだったよ。」
真癒「なんかみんな楽しそうな顔してるー・・・・。 ちょっとうらやましいわ・・・・。」
剣徒「ははっ、いろいろ学ばされることがあったよ。」
優菜「私もですっ!」
~尚矢サイド~
尚矢「親父・・・・。 なんでお前がここにおるんや。」
??「これがお前に与えられた試練だからだ。 私を超えぬ限り、この試練は終わらぬ。」
尚矢「父さんは10年前に死んでる!!!」
尚矢「偽者なんかで父さんの真似事すんな!!!」
更新♪
今日も頑張りましたw