しりとり
登場人物は二人ですが、全て会話調で書いています。少し見づらいかもしれません。
「じゃあ、今日は《しりとり》でもして、遊ぼうか」
「は? 《しりとり》? そんな幼稚な」
「しりとりをバカにしたら、いけないぞ」
「でも、子供の遊びですよ」
「まあ、そう言うな。ほれ、始めるぞ」
「仕方ないですね。分かりましたよ。付き合いますよ。どうぞ、初めて下さい」
「では、オーソドックスに《しりとり》の《か》から始めるぞ」
「は? 何処がオーソドックスですか! 《し・り・と・り》の中に《か》なんて無いでしょ!」
「まあ、そう言うな。じゃあ、始めるぞ。それでは、いくぞ! 初めは《車》だ!」
「え!? 《か》じゃ無いじゃないですか! まったくもう! 車ですね! じゃあ、僕は《マリモ》です」
「《も》、か。では私は、《盲目》だ!」
「また、《く》ですか。それじゃあ、僕は、《鯨》で」
「ほう、なるほど。では、《楽》でどうだ!」
「また《く》ですか。……《果物》です」
「能力」
「《く》! ……苦楽!」
「ははは! 《く》返しか!? しかし、あまい! 《九九》でどうだ!」
「クソ! 《く》《く》《く》……薬で」
「リンク」
「クリック」
「苦」
「あ〜! 《く》から脱出したい! クリスマスだ!」
「スナック」
「熊」
「幕」
「草花」
「奈落」
「唇」
「ルクセンブルク」
「首輪」
「枠」
「あ〜! もう《く》ばっか嫌だ! クッソ〜! ………杭!」
「インク」
「……黒」
「六」
「国」
「肉」
「空気」
「禁句」
「クライアント」
「トランク」
「黒字」
「軸」
「管」
「堕落」
「くじ引き」
「気楽」
「食い倒れ」
「連続」
「クラブ」
「部落」
「薬箱」
「コルク」
「くっ! ダメだ! 《く》から抜け出せない。……そうだ!《九》」
「駄目だな。それは、さっき私が言っただろう」
「いえ、さっき言った《く》は何ですか?」
「苦しみの《苦》だ」
「じゃあ、僕は数字の《九》です」
「なるほど。そういう事か。では、私は《クイック》だ!」
「クソ! やっと形勢逆転かと思ったのに! じゃあ、区画で」
「ほう。では、空腹」
「鎖」
「リュック」
「空港」
「歌」
「やった! 《く》からの脱出成功! タンク!」
「宮内庁」
「海」
「ミンク」
「は!? また《く》!? ……草刈」
「リメイク」
「暗闇」
「ミュージック」
「空白」
「クラシック」
「組み合わせ」
「制服」
「クエスト」
「トラック」
「口」
「チーク」
「ハァハァ! もう《く》ばっかり嫌だ! う~ん! ………空室」
「対句」
「雲」
「文句」
「駆逐」
「口紅」
「ニューヨーク。へへっ! 今度こそ、形勢逆転ですよ!」
「やるなぁ。じゃあ《クロック》でどうかな?」
「えっ!? また《く》!? 組合」
「イラク」
「クランク」
「クリニック」
「靴」
「通学」
「《く》……《く》ぅぅ!? え〜っとぉ、草野球」
「ウサギ」
「逆! へへっ! やったぜ!」
「そんなに喜ぶ事かね。《く》なんて、いくらでもあるだろう。例えば、工夫とかね」
「《う》!? ……《う》で《く》に繋がる言葉が見つからない! クソッ! 浮き輪!」
「ワンピース」
「やっと、まともな《しりとり》らしくなってきましたね。じゃあ僕は、スイカで」
「そうだといいねぇ。……じゃあ私は、慣用句といこうかな?」
「そんなの大丈夫でしょ! 国々です」
「なるほどね。余裕が少し生まれたみたいだね。ニンニクなんてどうかな?」
「空爆です」
「供養だよ」
「ウナギです」
「牛肉なんてどうかな?」
「クラッシュ」
「輸出国」
「空気圧」
「梅雨」
「夢」
「メイク」
「くるぶし」
「ショック」
「訓練所」
「四駆」
「駆除」
「予約」
「クリーム」
「ムンク」
「よくもまぁ《く》に結び付く言葉ばかり思い付きますね。でも、負けませんよ! ……車椅子なんてどうですか?」
「数学」
「クローバー」
「クローバーって事は、《ば》だね。じゃあ、バイクだ」
「口コミ」
「ミミズク」
「クラスメート」
「東京」
「また《う》か……。《う》で《く》に繋げる言葉、思い付かないんだよなぁ。乳母でいいですよ」
「バンコク」
「いい加減も飽きてきましたよ。でも、絶対負けませんからね! じゃあ僕は、九十九里浜です」
「マイクだよ」
「クウェート」
「トライアルでいいよ」
「久しぶりに休憩ですね。じゃあ、ルールで」
「累計」
「移動です! 《う》なら《く》にされる事ないですからね」
「そうだね。じゃあ、裏腹で」
「ランク!! 形勢逆転だぁ!」
「釧路かな」
「蝋燭」
「ほう! やるねぇ! クロスワード」
「ドラマチック」
「クールなんてどうかな?」
「今度は《る》ですか!? くそぉっ! 《る》で《く》に繋げる言葉が出てこない! くそぉっ! 僕は、ルアーフィッシングでいいです!」
「グラビアアイドルでどうかな?」
「また《る》ですか? これって、イジメじゃありません? 遊びですよね?」
「何故、私が君をイジメないといけないんだよ。遊びだよ。ただの遊び。『言葉遊び』というヤツだ」
「そうですよね。分かりました。続けましょう。じゃあ、《る》でしたよね? ……ルールブックです」
「なかなかやるようになってきたねぇ! じゃあ、組長ってのはどうかな?」
「裏です」
「ラジオ局だ」
「………。……!! 孔雀ぅ!」
「そんなに気合い入れなくても……。ふふっ、よっぽど負けず嫌いなようだね。では私は、食いしん坊でいいよ」
「裏切り者です」
「農薬。また、《く》に戻してしまった。ごめんだよ」
「いいですよ。返せばいいだけですから……。下り坂です」
「あまり《く》ばかりは可哀想だから、今回は蛙にしておくよ」
「えぇ〜!! また《る》ですかぁ!? じゃあ、留守番電話でどうですか?」
「じゃあ脇役にしておくよ」
「はぁ……。《く》になって返ってきたよ。……クワガタ虫です」
「写楽」
「空想科学です」
「やるじゃないか! 君主でいいよ」
「夕刻」
「ここにきて、《く》攻めに合うとは予想もしていなかったよ。でも、私も君に負けず劣らず、負けず嫌いなんだ。では、空前絶後といこうかな?」
「合格です」
「全く、私は合格ではないのだけどねぇ……。それじゃあ、蜘蛛といこうか」
「モザイクでは、どうですか?」
「私にモザイクをかけたくなってきたよ。でも! 鞍馬天狗でどうかな?」
「グアム島でいいですよ」
「有象無象といこうかな」
「右往左往で如何ですか?」
「ほほう! また《う》だな。今度は、ウィークといこうか」
「え! またここにきて《く》かよぉ! 負けたくない! 負けたくないけど、もう面倒くさい! あぁ〜!! ………クリスマスイブでいいです!」
「そんなに、ふてくされなくてもいいじゃないか。ただの遊びだよ。『言葉遊び』だ。まあ、とりあえず、続けるよ。文学といこうかな?」
「屈辱です」
「何! ここにきて! 私の方が屈辱的だ! そうだな、クナイで返そう」
「インストールでいいですよ」
「なんだか同じような文字ばかりが出てくるな。もう、この遊びをインストールしたくなってきたよ。まあ、冗談はさておき、ルービックキューブといこうかな?」
「ブラジルで返しますけど、いいですか?」
「ルミナリエでどうだ!」
「エルサルバドルといきましょうか?」
「ルノアール!」
「えぇ〜!! 《る》返しぃ! ってルナです」
「生ビールってどうだろう」
「はぁ。もう止めませんか? 僕、本当に今生ビールが飲みたくなりましたよ」
「そうだな。そろそろ終わるか。じゃあ、終わってくれていいよ」
「じゃあ、ルームメイトで」
「それじゃあ終われないじゃないか! 最後に《ん》の付く言葉を言うんだよ。分かってるよね?」
「はい、分かってますよ。だから、終わって下さいよ。どうぞ」
「なるほどな。そういう事か。じゃあ私は、トピックといこうかな?」
「あれ? 《ん》が付いてませんよ。しかも、よりによって《く》で返してくるし……。そっちがその気なら、百済といきましょうか」
「ライブハウスだ」
「睡眠妨害ですよ」
「インフルエンザだ」
「雑学でどうですか?」
「《く》? 今此処で《く》? あ〜! もう止めた! 口説き文句だぁ!」
「何が『もう止めた!』ですか!? しかも、《く》返し!! 本当に止めますからね! もう負けてもいいや……。ちくしょーー!! く、く、く……。……ねぇ、このまま終わりませんか?」
「ん? あ、あぁ、そうだな。このまま終わろか。なんだか二人とも負けず嫌いみたいだしな」
「じゃあ、これで終了ですね」
「よし! 終了だ!」
「じゃあ、この空腹感を満たしにいきましょうか!?」
「そうだな行こうか!! 私の勝利って事で」
「どうして、あなたの勝利なんですか!!」
「どうしてって。今、お前《空腹感》って言ったじゃないか。言ったよな。飯に行くぞぉ!!」
「え。えぇ〜!! それって、終了って言った後の事じゃないですか!? ねぇ! 聞いてます? あぁ、もう!!」
感想など頂けると、考えた甲斐があります。
読んで頂き、ありがとうございました。




