AOI 第102話
お昼ご飯を食べて、サティをぐるぐる回っていただけなのに、お店の壁の時計が、4時を少し過ぎていた、私はバスに乗って帰るから、一緒にお店を回れるのもあと少しだなと思っていた。浩次君が、喉が乾いたというので、みんなで、1階のミスタードーナツへ行こうという事になった。行く途中の、エスカレーターで浩次君が、
「ドーナツ食べるよな。」
と、何度も振り返ってみんなに聞いている事が、おもしろかった。聞かれたみんなが、あぁとか、あまりにもちろんだよの感じではなくて、気が向いたらなという返事だったから、聞いた浩次君があせって食べる仲間に引きずり込もうとしていて。そこに、のあちゃんが、
「私、食べるよ。」
と、言って手をあげた。のあちゃんが、
「さっちゃんも食べるよね。」
と、聞いてきた。私は、
「もちろん。食べるよ。」
と、言った。それを聞いた浩次君は、少し照れているみたいに見えた。お店に入る第一歩が、なかなか使わない自動ドアからだったのでウキウキしてしまった。いつもは、外から入っていたから。目に入る景色が違うので、頭の中ですぐには変換ができなくて、ドーナツの陳列棚の前に立って、やっと、前にお店に来た時の感覚を思い出した。のあちゃんと何食べようかと、6人横並びで、右向いたり左向いたり、首をふっていた。いくら考えても、私の中の王道、結局はそこにたどり着いてしまう。冒険をしないと言われれば、その通りなのだけれど、他を食べたとしても、私の中の王道を食べないと、物足りなく感じでしまう、結局はもう1個と手を伸ばしてしまう。私の、ポンデリングとエンゼルクリーム。本当に大好きで好き過ぎて。陳列棚を見ると、あるある。よかった!2つともあるある。見上げて、飲み物を選んでいると、のあちゃんが、
「さっちゃん、決まった?」
と、聞いてきたので、
「ドーナツは決まってて、飲み物をどれにしようか、悩み中。」
それを聞いたのあちゃんが、
「1つしか食べれなそうだなぁ」
と、言ったのを聞いたので、私は心の中で、1つ?1つ?と繰り返した。のあちゃん、1つだけなの?私の頭の中では、王道の2つがお皿にのっているのに。その時、目の前の店員さんが、
「後のお客様、お決まりでしたらどうぞ。」
と、私の後に視線をむけて伝えていた。陳列棚ばかり見ていた私は、他のお客様の事をちっとも、わからないでいた。振り返ると、母くらいの人が立っていて、
「はい。」
と、そして、私に、
「先に注文してもいいかしら。」
と、声をかけてくれて、私は、
「あっすみません。」
と、男の子達の後に並んだ。女の人は、軽く会釈をして私の横を通って、陳列棚の前に立った。
「持ち帰りたいんですが。」




