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  作者: えるま


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第一篇

 目を開くと、貴方の顔がみえました。

 窓から注ぐ光のレースに包まれた、貴方の顔を眺めました。

 瞳に光る雫を落とす貴方の顔をみつめます。


 どうして貴方は泣いている?

 重しが外れた貴方はもっと、笑っていい筈なのに。


 主のいない、がらんどうの部屋の窓辺、そこが僕の場所になりました。

 貴方は毎日来てくれるけれど、いつも顔は曇っています。

 ここしばらく、こんなに外は晴れているのに。


 ずっと貴方を見ていたら、雫が頭に垂れました。

 雫は、温度を冷ましながら輪郭をなぞります。

 くすぐったいと感じた刹那、それは地面に溶けました。

 

 カラカラと音を立てて開いた窓は、春風を通します。

 空にはゆっくり雲が流れています。

 風が優しく貴方の髪を揺らしました。

 けれど、その隙間から見えた、貴方の瞳には、やはり雫が垂れていました。


 あの白い部屋で、痛そうに、苦しそうに、笑っていた人はもういません。

 もう忙しくする必要は無いでしょう?

 取り繕う必要もありません。

 それなのに

 どうして貴方は笑っていないのですか?


 止まない雫を拭おうにも、僕には何もできません。

 春の優しい太陽が、貴方の心に寄り添うように。

 僕は祈る事しかできません。

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