表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/12

非戦闘員の矜持

「まず魔物の出現頻度は」

と私は尋ねた。


「おおよそ1週間に1~2度ですね」

と副団長は答えた。


「指揮系統があるのでしょうか?」

と私は尋ねた。


「明確にあるのがわかるものと、指揮系統があるのかどうか不明なものがいます」

と副団長は答えた。


「魔物は何を食べていますか?」

と私は尋ねた。


「人も含む、生き物全般ですね。穀物を食べるかどうかはわかりません」

と副団長は答えた。


「行動パターンに特徴はありますか?」

と私は尋ねた。


「だいたい集団で襲ってきます」

と副団長は答えた。


「我が国は、どのような武器で戦っていますか?」

と私は尋ねた。


「剣と槍、弓矢、投石機。

あとは武器ではないですが、魔法です」

と副団長は答えた。


「投石機というのは、馬車くらいの巨大なものですか?」

と私は尋ねた。


「そうですね」

と副団長は答えた。


「魔法というのは?」

と私は尋ねた。


「魔法というのは、火・水・風・土の属性の攻撃魔法です」

と副団長は答えた。


「その魔法は誰でも使えるものなのですか?」

と私は尋ねた。


「一部例外を除いては、誰でも使えるものではありません」

と副団長は答えた。


「例外とは?」

と私は尋ねた。


副団長は少し困った顔をしている。


「それは、私が答えましょう。

例外とは、基本的な手続きを踏んで、供物を捧げる場合。

魔法が使えることもあるのです」

とヒナは答えた。


「使えることもあるというのは、

条件がまだハッキリとわからないということなのかな」

と私は尋ねた。


「恐らく、そうだと思います。

私を拾ってくださった賢者様が、そう言われていました」

とヒナは答えた。


「つまり、

その基本的な手続きや条件が、

明確になれば、素人でも使える可能性はあると」

と私は尋ねた。


「理論的にはそうですが、

いまだ誰もなしえていません」

とヒナは首を横に振った。


「私を召喚した際も魔法が使われたのだよな」

と私は尋ねた。


二人ともうなずいた。

そうか……、

この魔法の解析ができれば、元いた世界に戻れるのかもしれない。


しかし、そうなった場合、

この世界の住人はどうなる。

さすがに、見捨てるのは、気が引ける。

それにヒナはどうなるだろう。

お世話係として責任は問われないだろうか。

なら、可能性としては、こちらと元いた世界の掛け持ちだろうな。

それしかないだろう。

まぁ良い。

とりあえず、この戦力不足を埋めないとどうにもならない。


「剣、槍、弓矢の訓練に要する時間はどれくらいですか?」

と私は尋ねた。


「剣は3年、槍は1年、弓矢は3年くらいかけないと、実戦では使えません」

と副団長は答えた。


これを非戦闘員にやらせるのはムリだろうな。


「金属は足りていますか?」

と私は尋ねた。


「常に物資不足です」

と副団長は答えた。


だめだ。物資不足ならムリだ。


「投石機は量産できないのかな」

と私は尋ねた。


「投石機は大きいものなので、扱いも大変なのです。量産できなくもないですが、兵の数が沢山いります」

と副団長は答えた。


ちょっと待て、

ダビデ像。

ダビデって巨人に小さい投石機で勝ったんじゃなかったっけ。


「小さい投石機とかはないの?個人で持つタイプの」

と私は尋ねた。


「少数民族が使ってると聞いたことがあります」

とヒナは答えた。


「たしか村が壊滅して、貧民街に逃げてきた連中が50人ほどいたかと思います」

と副団長は答えた。


「その連中と会える?」

と私は尋ねた。


「では、今から向かいましょう。お供いたします」

と副団長は答えた。


私たちは、貧民街に向かうことにした。

想像通り衛生状態が悪く、いずれここもテコ入れしておかないと、きっと疫病とか起こって面倒な事になる。

そう思った。


その少数民族の連中はすぐに見つかった。

私はそのリーダーの男と話を始めた。

投石機を見せてもらうと、非常に簡単なものだった。

私は投石の実演をしてもらう。

その威力や命中精度は、副団長も驚くほどだった。


「この投石機は、素人でも作れるか」

と私は尋ねた。


「初めは上手くできないが、練習すれば、できるようになる」

とリーダーは答えた。


「では、この投石の技術はどうだ。すぐに身につくか?」

と私は尋ねた。


「教えれば1週間くらいで、まぁ上手くなる奴もいる。人によるな」

とリーダーは答えた。


「副団長。仮に村人たちが、この投石の技術を彼の半分程度でも身につけたとしたら、君らの負担はどうなる」

と私は尋ねた。


副団長は腕組をし、目を閉じて、じっと考えている。


「魔物をかなり削れるから、かなり楽ではあるだろうね。

しかし、どうなるかは未知数だ。

正直想像もできない」

と副団長は答えた。


「調整が必要だから、今はなんとも言えないが、あなた達を雇用したい。投石の先生として、可能か?」

と私は尋ねた。


「魔物に復讐ができるなら、お安い御用だ」

とリーダーは答えた。


「しかし、非戦闘員を戦闘に巻き込むことなどできない。危険だ」

と副団長は私の肩を叩いた。


「そうだな。危険だ。

しかし村人の気持ちになって考えてみろ。

なにもせず騎士団が勝つ方に命を賭けるのか。

それとも自分達が投石を覚えて、安全圏から石を投げることで、

賭けの勝率を上げるのか。

どっちを望む」

と私は尋ねた。


「俺なら、安全圏から石を投げるね」

とリーダーは答えた。


「ふっ、私もだ」

と副団長は笑みを浮かべた。


私は、ヒナ、副団長、騎士団長、リーダーとで会議をし、

・少数民族を投石の先生として勇者直轄として雇用する。

・少数民族は戦争には駆り出さない。

・少数民族を村々に派遣する。

という事を決めた。


また投石を戦争の道具としてではなく、娯楽として普及させる事で、長期的に防衛システムが安定すると考えた私は、定期的に投石大会を開き、受賞者には賞金を与える事を提案した。

これについては、騎士団長が王に提案すると言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ