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月の斑(はん)  作者: エーテル
第一幕・隣接する夜: 『鋼鉄と月光の奔流』
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第52話「虚無の祭壇」

 ゴゴゴゴォォ……ッ!


 石の扉が開く重々しい反響音が広大な広間に鳴り響き、戦いが残した静寂の残滓を飲み込んでいった。


 数世紀の重みで膠着し、麻痺していたこれまでの通路とは異なり、この扉はドワーフの力強いひと押しによって、まるで歓迎するかのような滑らかさで開いた。ギィィィ……


 漆黒の闇が晴れると、壮大な上り階段へと続く狭い回廊が姿を現した。むき出しの岩壁に挟まれ、暗い深淵に隣接するその直線的な道は、未知への静かな招待状のように伸びている。


 タッタッタッ……


 ドワーフたちは短くリズミカルな足取りで行進を先導し、精霊の注意深い存在がそれにぴったりと続く。その後方で、先触れはゆっくりとした足取りで歩いていた。少女のメランコリックな視線は、両手の上に鎮座する砕けた結晶に釘付けになったままだった。


「そいつはネックレスだろ。なぜ身につけない?」ヴェルンの低い声が唐突に彼女の隣で響き、その内省を破った。「お前があの化け物を倒したんだ。その宝石を身につけるのが一番ふさわしい」


 フェンリーは躊躇し、銀の鎖を軽く握りしめた。「それなら、これはあなたのものになるべきよ。危険な役回りはほとんどあなたが引き受けてくれたんだから……」


「最後の一撃を決めたのはお前だ。戦利品の権利は完全にお前のものだ」


 少女の視線は再び、欠けた石の濁った紫の深淵へと迷い込んでいく。


(それでも、僕にはこれを受け取る資格なんて……)


 唐突に、傭兵の広く、たこのできた両手がアーティファクトを包み込み、思いがけない優しさでそれを奪い取った。


 ハッ!


 フェンリーは息を呑んだ。彼の無骨な指で、結晶が今ここで粉々にされるのではないかと恐れたのだ。だが驚いたことに、ヴェルンは銀色の鎖を少女の頭越しに通し、彼女の首の周りに注意深くネックレスを落ち着かせただけだった。チャリン……


「これでようやく、伝説のアーティファクトを手に入れた真の姿ってやつだな」


 彼は彼女の横を通り過ぎ、歩みを再開した。フェンリーは一瞬その場に立ち尽くし、胸元の紫色の結晶の不規則な表面を指先で探った。


「驚くほど似合ってるぜ」彼は肩越しに付け加えた。その唇には、珍しく穏やかな笑みが浮かんでいた。


 苦悩の重みが道を譲り、フェンリーの顔に柔らかな微笑みが浮かぶ。「ありがとう」


 階段は途方もなく巨大だった。計り知れないほどの古さで摩耗した石段を登る果てしない数分の後、一行はようやく構造物の頂上へと姿を現した。


 その過酷な登攀の代償は、静寂に包まれた高台だった。そこはただ一つの要素によって支配されていた――完全に空っぽの祭壇である。


「案の定、ここには何もねぇな」ヴェルンが深いため息をつき、明らかな失望で肩を落とす。ハァ……


「存在しない宝を探す旅、か」リリムドルが呟き、周囲の荒涼とした様を評価しながら眼鏡の位置を直した。クイッ


「戦の神が『セレストの王冠』を鍛造したまさにその場所じゃと、伝説がそう語っておるのなら……」グリュムが豊かな髭を掻きむしり、憤慨したように言った。「少なくとも欠片くらいのヒントは残っておるべきじゃろうが!」ポリポリ


 グンダーは、地下施設を形成するのと同じ素朴な岩で彫られた祭壇へとゆっくり歩み寄った。主石の中央には、正確な曲線で形作られた台座が鎮座している。その大きさと形は、王冠をミリ単位の完璧さで収めることができるものだった。精霊の猫のような瞳が、それに見覚えがあるかのように細められる。


「この広間に王冠が存在するなど、完全に非論理的だ」精霊は、太古からの権威をもって宣言した。「鍛造された後、アーティファクトは直接、月の女神の手に渡されたのだ。その後、女神はそれを用いて『月のはん』を創り出し、セレン人たちに与えた……」


 その言葉は神聖な部屋に響き渡り、即座にフェンリーとヴェルンの鋭い注意を引いた。ピクッ!


「世界中に月の女神に捧げられた神殿や、セレン人の文明の痕跡が残ってるわけでもねぇからな」ヴェルンは防御的に腕を組みながら考察した。


「それでも、私たちは本物の手がかりをたった今見つけたわ」フェンリーが口を挟む。彼女の言葉のトーンには新たな活力が宿っており、仲間たちの視線を釘付けにした。「この空の祭壇こそが、王冠がただの神話ではないという証拠。それは本当に存在しているのよ。そして、私にとっては、それを確認できただけで十分だわ」



(そうだ、これは作り話なんかじゃない。僕の呪いを解く希望は、確かに存在するんだ!)


 グンダーとヴェルンは、先触れから目を離さなかった。元騎士は、その言葉の深さを完全に理解していた。フェンリーはこれまで単なるおとぎ話に貶められてきたものに、必死にしがみついていたのだ。古く埃を被ったこの部屋が、『月の斑』を癒す希望、彼女の存在に根付いた呪いを引き剥がすという具体的なチャンスを具現化させたのだ。


「余も同意しよう。王冠は遠く離れており、この部屋の答えは尽きた」グンダーは判決を下すように言い、石の祭壇に背を向けた。「戻るぞ」

おはようございます、こんにちは、こんばんは、わるー……コホン! エーテルです!


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


もし物語を楽しんでいただけましたら、ブックマークや評価をいただけますと幸いです。皆様の応援が執筆の大きな励みになります。


またねー!! ヾ( ̄▽ ̄) Bye~Bye~

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