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半分、猫。

作者: 雨世界

 半分、猫。


 にゃお。(恥ずかしがりながら)


 みゅう ぐーたらしている少女


 みゅうは猫になりたいと思いました。

 猫に生まれて、らぶ(みゅうの家の子猫)みたいに一日中、誰にも文句を言われないままで、のんびりとして暮らしたかったのです。

 みゅうは一年中、ずっと猫みたいな生活をしていましたが、らぶとは違って家族からは愛のある言葉でちゃんと文句を言われていました。(それがみゅうは嫌だったのです)

「お前はお気楽でいいよね。らぶ」

 白い子猫のらぶの頭を撫でながら、ベットの上でごろごろとしている(大きく足を広げてだらしない格好の)ふかふかの桃色のパジャマ姿のままのみゅうは言いました。

 みゅうの部屋はみゅうの大好きな色の桃色でいっぱいでした。

 ベットも、枕も、カーテンも、床の上にひいてあるマットも、桃色でした。

「いた!」

 ごろごろしてベットから床の上に落っこちてみゅうは言いました。

「らぶ。いたい。助けて」

 と手を天井に向かって伸ばしながらみゅうは言いました。

 みゅうは家族のみんな(お父さん、お母さん、妹)と以外は、あんまり人と会話をしていないので、よく子猫のらぶとお話をしていました。(ひとりごともいっぱいしていました)

 でも、すやすやと眠っているらぶはみゅうのことを助けてくれませんでした。

 みゅうは諦めて、ぱたんと天井(もしかしたら、空かもしれない)に向かって伸ばしていた手を床の上に投げ出しました。

 みゅうの部屋の中では、音楽を聴いたり、動画を見たりしていなかったので、とっても静かでした。

 天気は晴れ。空は真っ青で、大きな白い雲があって、開けている窓からは気持ちのいい風が部屋の中に、桃色のカーテンを揺らしながら吹き込んでいます。

 みゅうは床の上に転がったままで、じっとしながら、ああ、私はとっても幸せだな、と思いました。

 テーブルの上に置いてある丸い時計を見ると、時間はお昼でした。(お昼だ、とみゅうは思いました)

 ぐーっとお腹が小さくなりました。思っていたよりもずっとお腹が空いていたので、みゅうはお昼ご飯を食べることにしました。

 みゅうは元気よく立ち上がると、部屋のドアを開けて、キッチンに行きました。

「お母さん。お腹すいた」

 みゅうはキッチンでお昼ご飯を作ってくれているお母さんにそう言いました。

「みゅうの大好きなカレーがあるよ」

 とやってきたみゅうを見て、にっこりと明るい顔で笑ってお母さんは言いました。

「え、本当!? やった!」

 カレーはみゅうの大好物でした。

 それですっかりみゅうはとっても明るい気持ちになりました。

「いただきます」

 そう言って、みゅうはお腹いっぱいカレーをたくさん食べました。(すっごく美味しかったみたいで、みゅうはずっとほっぺたを緩ませたような笑顔でした)

 みゅうと一緒にカレーを食べていたお母さんはそんなみゅうを見て、幸せそうな顔で微笑んでいました。

 部屋の中に戻ると、らぶは起きていました。

 元気に部屋の中を駆け回っていて、やってきたみゅうに甘えるように抱きついてきました。

「よしよし。相変わらず甘えん坊だね。らぶ」

 らぶにキスをしながら、みゅうは言いました。(らぶはちょっとだけ、キスを嫌がっていました)

 らぶと遊んでから、お腹いっぱいのみゅうはいつの間にか、またベットの上ですやすやと眠ってしまいました。

 それは、みゅうのいつも通りの一日の風景でした。

 みゅうはそのらぶを抱きしめながらの優しい眠りの中で、猫(らぶみたいな白い子猫でした)になる夢を見ました。

 それは、本当に、とっても幸せな夢でした。


 ……、目が覚めると、いつの間にか夜になっていました。

 星の美しく輝いている夏の夜でした。

 みゅうは、そんな美しい星を見ながら、……、生きるって、なんだろうって、そんなことを、思いました。

「ね、らぶ」

 そんな風に胸に抱いているらぶに聞いてみても、らぶはなにもみゅうには言ってはくれませんでした。(だからみゅうは、時間はいっぱいあったので、ちゃんと自分で考えてみることにしました。えらいですね)

 

 らぶ、みー。


 半分、猫。 終わり

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