直前の休日
ちょっと10話までまとめてアップします
その後また、毎日1話更新に戻ります。どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
「よう。ちょっと待たせたけ?」
「5分ほどだし、そんなでもねえぞ」
今日は土曜日、テスト前の休日だっつー事で、弥勒と勉強会開く。
行き先は近くのファミレス、ドリンクバーの飲み放題を目当てだ。
「オレちょっと食う物頼んでもええけ? 寝坊したせいで朝メシ食うてへんし」
「だったら俺もちょっと食おう。弥勒、何頼む?」
俺はちょっとつまむのにポテト、弥勒はパスタとドリアとピザとサラダ…って食い過ぎじゃね?
腹いっぱいなって眠くならねえ?
「朝メシやし、こんぐらいが普通やろ。朝は1番食わんと」
「朝が1番なのか? 普通夜いっぱいじゃね?」
「夜は寝るだけであんま体力使わんけど、朝はこれから使うし、いっぱいいる」
「いつも昼休みにもいっぱい食ってるじゃん。夜もいっぱいだし」
「補充も必要やろ? 使った分の補充や。夜は身体が出来る時間や」
「通りでデケえわけだよ。弥勒は身長何センチぐれえなんだ?」
「去年は195やった」
「去年っつー事はまだ伸びてるのか?」
「あんま伸びてへんと思うで。さすがにそろそろ止まってくれんと不便なりそうやし」
「今でも教室の入り口とかぶつかるだろ?」
「まだ大丈夫や。でも日本は身長高いヤツに、優しない国やわ」
「弥勒ほどとは言わねえけど、もうちょっと伸びて欲しいな。いっぱい食ったら伸びるかな?」
「まだ間に合うやろ。今どんぐらいや?」
「176ぐれえだけど、180あるって言いてえ」
「それぐらいやったら食えばイケるやろ。オレ、過去最高で半年10センチ伸びたで」
「もはや別人っつーぐれえ伸びたんだ。…俺もちょっと何か頼んでいいか?」
「おう。食え食え。食うて身長伸ばせ」
俺も身長欲しいから、弥勒を見習ってトマトのパスタ頼んで、勉強始める前の腹ごしらえをする。
やっぱ食うのが成長期の基本だな。
「運動とかは弥勒、なんかやってたとかねえの? 部活とか」
「クラブで特別これっちゅうのは、特に何もしてへんかったけど…」
「でも体育とかん時、明らか運動神経いいじゃん」
「基本をちょっとかじったぐらいやで?」
「柔道やってたんだ?」
「いや、軍隊格闘技っちゅうやつ親にやらされてた。基本は似てるしな」
「格闘技か、すげえな。弥勒強そうだもんな。試合とか出たりして戦ったり?」
「試合出るほどはやってへん。ほんまの基本をかじる程度や」
「いいなー。強え男っていいよな。女も絶対強え方がいいだろうし」
「そうけ? …女な。やっぱ遥も女とか欲しいんや?」
「まあな。お年頃だし普通だろ? 弥勒は向こうでモテただろ?」
「普通や。モテたて言うほどはモテへんかったで。おまえこそモテるやろ?」
「モテはねえな。俺も普通だ。俺色は目立つけど、他はそうでもねえし」
「学年3位の頭脳があるやんけ。頭ええのって好かれるやろ?」
「えー? 頭脳ってさ…寄ってくるのは伊東藤本だぞ。嬉しくねえよ」
「あー…あれに好かれても別にやな」
「だろ? あいつらはカテゴリ女子じゃねえから嬉しくねえ」
ピルピルピルピル―――
「………何の用だよ。伊東」
『遥くん助けてーっ! もらった問題出来ない〜!』
「は? あれやんねえと間に合わねえだろ?」
『無理〜全然分かんないの』
「甘えんな。藤本といっしょに考えろよ」
『美香ちゃんに解決出来るわけないでしょー?』
「なんだ? 珍しいな、今日はいっしょじゃねえのか?」
『隣にいるよ。代表であたしがかけたの。助けて遥くんー!』
「ちょっと待っとけ」
しょーがねえから、2人をここに呼んでもいいか、一応聞いてみてやろう。
もしダメだって弥勒に言われたら、断りゃいいだけだしな。そう、思って聞いてみる。
「弥勒、悪いんだけどさ、伊東と藤本が今から来てもいいか?」
「ああ、ヘルプ入ったんや。あいつら来るんやったら、ここの分出せとか言えや」
「名案だな。そんで2人でいっぱい食ってやろうぜ!」
弥勒がいいっつったし、2人ともファミレス来いっつって電話切って、来るまでの間に急いで自分の問題を解く。
ったく、手間のかかる……
「ありがとね、遥くん」
「頼りになる、遥くん」
「喋ってねえで始めろよ。あと、弥勒と俺の、ここの分は奢れよ?」
「出す出す! 全然出すからっ」
「それより! 全然分かんない」
仕方ねえから昼から弥勒に詰めてもらって隣座って、前におバカ2人を並べての勉強会だ。
こいつらに比べて弥勒の相手はすげえ楽。
ちゃんと頭使ったあとで質問してくれるっつー良心を感じるしな。
それに比べてこの2人は…脊髄反射で分かんねえっつってるだろ。
「考えても分かんないんだよ」
「なぜか覚えられないんだよ」
「おまえら頼むから、これぐれえ覚えろよ…公式は覚えねえと使えねえだろ?」
「呪いだよねきっと」
「呪われてるね絶対」
何とか必要最低限の公式を詰め込んで、基礎問題だけでいいから解けるように教えてくと、2人にようやく光明が見えてきた。
「飲み物取ってきてあげるね。何がいい?」
「他何か頼んでもいいからね。何にする?」
「余計な事喋ってねえで問題解けって」
「いや、何とか間に合いそうやし、ちょっとぐらいええんちゃうけ?」
「ちゃんと問題解けたね」
「やれば出来るもんだね」
「普段からちゃんとやれよ…もー…」
「次からせめてノートは取れや」
4人で夕方までみっちり勉強やって、くたびれ果ててファミレスを出た。
疲れた…俺や弥勒が全教科やってる間に、数学だけって…
ほんとどうなってんだよ、こいつらの脳みそん中って。
一度開いて見てもらった方が こいつらのためにいいんじゃねえか?
「お疲れやったな、遥」
「いや、付き合わせて悪いな」
「おまえら他の教科は大丈夫なんやろな?」
「そっちは平気だよ」
「数学以外は大丈夫」
「とにかく月曜日まで記憶を維持しろよ? こんだけやって忘れたとか承知しねえからな?」
伊東藤本には、それだけ約束させて解散した。
これから家帰ったら俺は自分の分を、もうちょっとやんねえとだ。くそぅ。
こうなったら、彼方のムカつく勝ち誇った顔思い出して、奮起するしかねえな。