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この恋のために  作者: ひなた真水


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目前

「ふむ…むー…うむむ…」

「はるタソーお邪魔するなりよ」


 俺がタブレット見て、うんうん唸ってたら、いつものごとくノックしねえで、彼方が部屋に入ってきた。何だよ、俺忙しいんだけど。


「はるタソ、明日かなタソ付き合うよろし。お買い物行くなり」

「む。買い物か? 放課後ちこっとなら、かまわねえけど」

「ちこっとなす。じっくりがよろし。タキプレゼント、ちこっとではすまなす」

「あー滝のプレゼントか。そんじゃ俺のも考えるの手伝うか?」

「む? はるタソまだ決まってなすのか? 目前なりよ?」

「決まってるけど、最後のセンスっつーのが重要だろ? ダサいのはやじゃん」

「ふむり。はるタソどれ選ぶしたか見せるよろし」


 彼方と弥勒へのプレゼントについて、最後の相談をしてみる。色がいっぱい過ぎて、取り合わせにすげえ迷ってるとこだったしな。


「やはり赤と緑は必須でなすか? クリスマスお誕生日なりから」

「いや、ガチャガチャしすぎじゃねえ? シンプルに紺とか茶色とか黒でまとめるっつーのは?」

「のんのん。華やか嬉しす。お目々ちなんで水色もよろしが」

「うーむ。金色も欲しくねえ? ゴージャスだしさ」

「むむ。金色なりか。金色かなタソも欲しすね。半分こするよろし」

「いいな半分こしようぜ。俺、年に数回しか使わねえから、無駄は少ねえ方いいし」

「しかしやはり、現地じっくりでなす?」

「だな。手に取らねえとやっぱイメージが足りねえ。よし、明日ちょっといっしょに選ぶぞ彼方」

「うむり。じっくりせねば決まらなす物なり」


 俺も彼方も、小遣いのヤツだから、誰かへのプレゼントっつーのは、ささやかな物に決まってるから、その分心を込めて贈る。


 プレゼント自体が安いから、その分頑張るのがカードだ。

 増えても邪魔ならねえし、既製品と違って自分らしく飾って贈れるからな。


 毎回毎回、頭悩ませるデザインだけど、それはほぼもう決まってる。


 ただ、やっぱペンの色はネットの画像だけじゃ足りねえ。

 普段から使う色っつーわけじゃねえから、買い足しは必須なんだけど、予算は抑えてえから、厳選してえし、そうなるとじっくりだ。


 特に俺の弥勒宛の誕生日カードは、今年初めて贈るからな。

 ダセえとか思われたくねえから、厳選した色でカードは書きてえ。


 ◆


「そんじゃ弥勒、今日は悪いけど、彼方と買い物だから」

「おう。車とかマジで気ぃつけろよ」


 カバン持って遥が颯爽と教室を出て行くのを見送る。今日は彼方の買い物に付き合うらしい。

 彼方も自分のツレがおるクセに、なんでまた今日に限って、遥を付き合わせるんやろな?

 2人してエラい楽しそうやったけど。


「…………楽しみだね、弥勒」


 遥を見送ってたら、慶太がボソっとそんな事を言うた。なんや?

 エラい嬉しそうやけど、遥が…いや、彼方が何かするとかけ?


「何がや? 慶太、何か知ってるんけ?」

「プレゼントだよ。彼方、今日はペン見に行くって言ってただろ?」

「そうやけど、慶太のプレゼント、ペンなんけ?」

「ふふ。彼方はね、大切な相手にプレゼント贈る時は、カード付けてくれるんだ」


 そう言うて嬉しそうに慶太が見せてきたのは、ロック解いた携帯の待ち受け画面。

 わざわざアイコンが無いページにしてあって、そこに映ってるのは。

 かわいらしい文字で精一杯きれいに飾って書かれてる“Happy BirthDay! K.ta♡16th”の文字。


 本職のデザイナーが書いたみたいに、きれいな縁取りがしてあって、カラフルなリボンも手書きの、心のこもった誕生日カード。

 彼方らしいっちゅうか、慶太のイメージにはちょっと合わへん、乙女チックなプリプリの装飾やけど、ゴッツきれいなカードやな。


 うわー…こんなええカードがもらえるなら、そらおまえも楽しみやろな。

 これプレゼントよりカードが嬉しいっちゅうやつや。


「まあね。手書きのカード、しかもこんなきれいな物もらえるとか、今から楽しみでしょうがないよ」

「ええなー。彼方もけっこう乙女なとこあるやんけ。これ下手な既製品のプレゼントもらうより全然価値あるで」

「彼方がって言うより、あの2人はいつもそうみたいだよ。お小遣いだから工夫するんだって」

「え、遥も、もしかして…」

「彼方から聞いたところによると、遥は家族と親友にしかあげた事ないらしいけどね」

「マジか? え、オレもらえるかな?」

「さぁ? いっしょにペン買いに行ったから、可能性大じゃない?」

「えーそれでもらえんかったらショックなんやけどー…っちゅうか、オレもカード用意せな!」

「おれは一応もうやってるよ。さすがに手書きでこのレベルっていうのは無理だから、PC使ってだけどね」

「あー…おまえの字、読みにくいもんなー。オレも人の事は言えんけど」


 遥も彼方も、中学入るまで習字習ってたらしくて、普段から字はきれいや。

 テストの時は伊東と藤本だけやなくて、オレも遥のノートには、けっこう世話になったしな。

 今からオレがどんだけ練習しても、このレベルの手書きのカードは用意出来んやろなー…

 クリスマスまで、もうあとちょっとやし。


「PC時代に字なんか適当でいいって舐めてたのが、恥ずかしくなったよ、ほんと」

「ほんまやな。オレ誕生日までに間に合うかなー?」

「お互い出来る努力はやろうよ。ペン習字でもなんでも、やらないわけいかないでしょ?」

「せやな。オレらだけカッコ悪いっちゅうわけいかん。今回はPC頼りでしゃーないけど、練習するわ」


 オレは立ち上がって帰り支度を始めながら、遥に贈るカードのデザインをさっそく考え始める。

 まず絶対カードに名前入れたろ。名前は入れんとやっ。

 今回は手書きのカードっちゅうのは、カッコ悪いのしか出来んし無理やけど、せめて精一杯心のこもったもん作らんと。


 …遥からカード、もらえるやろか? 

 欲しいなー、あいつの気持ちのこもった、手書きのカード、めっちゃ欲しい。

 親友には贈ったことあるって事は、琢磨はもらった事あるんや。

 きっとあいつの事やから、宝物にしてずっと残してあるんやろな。

 親友ぐらい仲良えともらえるやろか?

 オレも欲しい、遥の手書きの誕生日カード、プレゼントよりずっと欲しいわ。

もしよければ、ブックマークや⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を付けてくださると作者は泣いて喜びます(๑>◡<๑)ノ

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