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この恋のために  作者: ひなた真水


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クリスマス計画

「母さん、ここの本ちょっと借りていいか?」

「遥が母さんの本を? 珍しいわねー、自分用?」

「違うぞ。弥勒、クリスマスが誕生日なんだ。いっしょに祝う約束してるしだ」

「あらそう。どれにするか、もう決まってるの? 母さんが教えてあげましょうか?」

「む。母さん教えてくれるか? 母さん教えてくれるなら、すげえ安心だ」

「ええ。彼方はこういう女の子らしいものに、ちっとも興味示めさないから、母さん寂しかったの」

「彼方彼氏出来たし、今なら誘ったらきっといっしょにやるって」

「そうかしら? だったらちょっと彼方呼んだきて、やらないか聞いてみましょっ」


 俺と彼方と母さんと、3人で本広げて載ってる写真から良さそうな物を探してく。彼方も今年はちょっとノリ気だ。恋愛パワーだな。

 特に金持ちじゃねえ俺らの小遣いは、バイトしてるヤツらに比べて、全然ちょっぴりだし、こういう工夫しねえと乗り切れねえ。

 む。これなかなかじゃねえか? こっちのも悪くねえ…むーチョコも抹茶いいけど、やっぱ、いちごがいっぱいがいいよなー


「うひょ。色々あるなり。キラキラかわゆす〜」

「彼方はこれがいいんじゃね? なんかこれ滝っぽいだろ」

「しかしこちらも捨てがたしなり。やはり1年目は白でなすか?」

「母さんのおススメはこれかな? これ父さんが好きなのよ。いっしょにこれも作ったら父さん喜ぶわよ?」

「靴下臭すの好みなど、かなタソどうでもよす。母さま適当しとくよろし」

「そうだそうだ。ヤツは絶対味をしめて、毎年要求してきやがるようなるだろうしな」

「そんなのダメよ、2人とも当日いないんでしょ? 何にもないとか、父さん絶対拗ねちゃうから」

「むー…仕方なす。ヤツが拗ねるは面倒くさす。母さま選ぶを作るなり」

「父さんの分は母さんが選んだのでいいだろ? それ手伝うから」

「しょうがないわねー。ほんと2人とも、最近父さんにちょっと厳し過ぎよ?」


 うちの母さんは、本気で料理が好きだから、時々バザーでケーキとか出してるおかげで、器具類揃える事考えねえでいいのが利点だ。

 知らねえ国のチャレンジ料理じゃねえ限り、おかしな失敗した事ねえし、母さんにクリスマスケーキ習うなら、絶対安心だ。


「むー母さま、このサンタさんかわゆすが、こちら乗っけてもおかしくなす?」

「あら、いいアイデアねそれ。組み合わせてオリジナルにしましょ」

「俺もこのサンタは使いてえ。これ、ろうそくサンタより絶対いい感じだぞ」


 俺と彼方の要望をまとめて、父さんの好みもプラスしてく母さんは、さすが主婦歴十五年以上のベテランっつー貫禄を醸し出す。

 最初バラバラのケーキ作るつもりだった俺らは、いつのまにか口車に乗せられて、同じケーキを3つ作ることになってたのも偉い。

 考えたら当たり前だけど3種類もケーキ作ったら、台所がしっちゃかめっちゃになるだろうし、それぞれは工夫で個性を出す事に。

 同じ材料使っても、飾りつけ変えるだけで雰囲気がガラッと変わるらしいから、そこに手間かけようっつー事で一致して考える。


「むむ。かなタソこれがよろし。この形したす母さま」

「お? ドーム型かー、いいじゃんこれ。俺こっちの三角錐のがいい」

「じゃあ母さんは普通のホールケーキにしましょ。スポンジや中身はいっしょのプレーンよ?」

「のんのん。母さま、中身いちごムースがよろしよ。いちごムースなりっ」

「俺もムース入れるのしてえ。ちょっと手間かかってもいいからさ」

「はいはい。それじゃいちごのムースの材料も追加ね?」


 台所、母さんの城で俺と彼方と母さんの3人で、クリスマス攻略の作戦会議、母さんっつー料理上手の参謀がいるから会議も順調。



「タキ、かなタソかわゆすクリスマスケーキご用意するなりから、期待しとくよろし」

「ええっ。彼方がケーキ用意してくれるの? 楽しみだねー、おれ超楽しみっ」


 昼休みに弁当食う時、さっそく彼方は滝に報告してやがる。サプライズとかにするつもりはねえのか?ってちょっと思った俺。


「ミロク、はるタソもごいっしょご用意なりよ」

「へえ、オレほなケーキは用意せんで遥」

「うん。ケーキ余るとか始末に困りそうだし、1個にしとこうぜ」


 そか、そだな。彼方みてえに甘い物大好き系ならともかく、俺、そんな大して好きっつーわけじゃねえし、2個もあったら余るか。


「当日は泊まってくんやろ? 楽しみやな〜」

「映画、何観るか、厳選しとこうぜ」

「彼方、おれクリスマスプレゼント張り切っていいかな?」

「うひょ。タキの張り切りなりか。楽しみなりのー」

「当日、オレも色々用意してええけ? なんせ初めていっしょに過ごすクリスマスやし」

「ふふ。いいぞ弥勒。俺もクリスマスはちょっと色々頑張るからな」


 弥勒と過ごす初めてのクリスマス、弥勒の誕生日。ケーキとチキンのまる焼き食うの楽しみだ。俺、すげえ楽しみだから、頑張るぞ。



 夜、自分の部屋で深呼吸して、最後のボタンを押すと、少しの無音のあとに始まる呼び出しコール。1回、2回、3回目で途切れた。


『───ヘロヘロ遥? どした元気ー?』

「元気だぞー琢磨。選手権本番、もうすぐだな。頑張ってるか?」

『ハードな練習でぐったりなのいるけど、おれはけっこう平気。元々それなりに自分でやってたし』

「俺、絶対近えスタジアムには応援行くから、琢磨も当日は張り切って声出せよ?」

『もちのロンロン。おれがレギュラーなったら、来られるのは観に来いよ? おれ絶対2年でレギュラー入りするし』

「行く行くっ! 俺テスト超絶頑張って小遣いもらうからな。レギュラー入ったら絶対行くぞ」

『んで? 遥の方はどんな感じ? 彼方は彼氏に振られてないか?』

「あはは。不思議な事に相変わらず超絶愛されてやがるんだ。クリスマスは2人でデートだって」

『あの彼方がデート…ヤバい、サンタ着ぐるみパジャマしか思い浮かばないぞ』

「なんと、クリスマスケーキ焼くっつー女子っぽい事しやがるんだ。信じられるか?」

『マジか⁉︎ それ明日天変地異が起こっても、地球が破裂しても不思議じゃない異常事態じゃん』

「マジだぞ〜。母さんおかげでウッキウキに準備してるからな。俺もいっしょにやるけど」

『へえ、遥もいっしょにケーキ焼くのか? 世間はもうすぐクリスマスっだな』

「うん。琢磨、聞いてくれるか? 俺クリスマスいっしょに過ごしてえ相手が出来たんだ」

『ウソマジ⁉︎ 今冬なのに遥だけ春かよ。相手どんな子? いい子? かわいい子?』

「琢磨も知ってるヤツ、弥勒だ。俺、弥勒と付き合いてえって思ってるんだよ」

『………は?』

「えーとな。俺、弥勒にだいぶ前、告られてて…んでずっと保留にしてたんだよ。どうしようかってな」

『弥勒から告られたのか? いつ頃?』

「正直に言うな。前に彼女になりてえっつー子が現れた時だ。そん時、弥勒が俺のこと好きだから彼女出来るのやだって」

『だから、遥が告られたのに、断ったって事か? それってただの嫉妬じゃ…?』

「それでも俺、弥勒がやだっつーのがやだったから、その子は断った。そっからいっぱい考えて迷ったけど決めた」

『それさ、遥が、男が好きな性質(たち)ってわけじゃないよな? 告られたせいだろ? そんなんで遥…付き合うって? そんなのダメだろっ』


「琢磨がそう言うっつーの予想出来たのが、俺が1番迷った理由だ。男が好きっつーわけじゃねえのにって言われるって。弥勒が俺の彼女作るの邪魔したせいだって言われるってな」

『当たり前だ、言うに決まってるだろ! 遥が幸せになる邪魔したような、しかも男だろ⁈ 反対するに決まってるよ!』

「だからいっぱい俺考えた。琢磨に反対されるのやだし、認めてもらえねえのも、祝福されねえのもやだから」

『無理だよ! 反対するし認められないし、祝福なんか出来るわけない! 遥目を覚ませよ!』

「好きの気持ち足りねえ間だったら、俺が琢磨に説得されて諦めたかもしんねえ。でも俺、琢磨説得するって決めた」


『おれが反対しても認めなくても祝福しなくてもいいってのか!』

「よくない。でも俺は諦めねえって決めたから、だから俺が琢磨を説得する」

『おれは反対だ。絶対認めたりとか祝福したりしないぞ。それでも説得するってのか?』

「うん。琢磨が反対やめて認めて祝福してくれるまで説得する。何年でも頑張るって決めたから」

『ずっと認めなくても諦めないのか? おれが絶対祝福しなくても?』

「そだぞ。俺、琢磨が認めてくれねえ限り諦めねえ。死ぬまででも諦めねえ。琢磨に認めてもらえねえとダメだ」

『そんなに弥勒がいいのか? 弥勒じゃないとダメなのか?』

「うん。俺、弥勒が大好きだから、琢磨説得するって決められたからな。他のヤツじゃダメだ」

『彼女欲しいって言ってたじゃんか。遥はかわいい女子がいいんじゃないのか』

「俺がかわいい女子がいいのは変わんねえぞ。男はむさ苦しいしな。弥勒は特別なんだ」

『おっぱいついてないんだぞ? 代わりにちんこついてるのに』

「ぷ。弥勒におっぱい付いてるのはキモいじゃん。ビジュアルヤベえだろ」

『どこがいいんだよ。あんなヤツ…彼女出来そうなの妨害するようなヤツだぞ?』

「分かんね。理由はいっぱいあるような気がするけど、どれも正解じゃねえ気もするしな」

『見た目悪役レスラーで、中身嫉妬深いなんて、好きになるのおかしいって』

「それでも好きだ。イカつい見た目もヤキモチ妬きなとこも好き。琢磨の試合観に行った時も、俺が他校の女子にドキドキしてたら、プンプン妬いてたから頭撫でた。きっとアバタもえくぼなんだよ」

『あんなヤツ絶対苦労するに決まってる。もっと条件のいい相手、遥ならいっぱいいるはずだよ』

「他のヤツはやだ。弥勒がいい。弥勒じゃなきゃやだ」

『男同士は子ども出来ないんだぞ。年取ったら寂しくて泣くぞ』

「俺はまだ子どもは実感ねえけど、弥勒は養子取ったっていいって言った」

『親も絶対反対するのに、あの親泣かせるのか?』

「俺は琢磨が説得出来るなら、親だって弥勒となら説得出来るって思う。親戚だって2人で説得する」


 俺、聞かれるまで琢磨に黙ってて、こっそり付き合おうかなんてズルい事も考えたりしたけど、黙ってたら俺が幸せにならねえ。

 それもちゃんと説明しとく。琢磨は俺ん中で超絶重要人物だから、琢磨に黙ってたら絶対幸せはこねえから、正直に話す。


『そんな重要人物の頼みでも聞けないのか?』

「残念ながら、俺は幸せになりてえからそれは聞けねえ。琢磨こそ俺の幸せを願うなら祝福しろよ。むー」

『………無理だよ。幸せになれるわけない。遥を幸せにするヤツじゃない。おれは認めないから』

「むーだったら認めるまで説得する。俺は絶対祝福してもらうの諦めねえぞ琢磨」

『じいさんになるまでだって、おれは折れたりしないからな』



 琢磨とやり合った電話を切ってちょっとひと息、反対されるの分かってたから、それはしょーがねえけど、今の感触はどうかな?

 とりあえず大反対だったよな。琢磨は友だち思いなヤツだし、下手したら長引くかもしんねえな…間に合わねえとかじゃねえかもだ。

 それでも頑張るって決めたから、分かってもらえるように精一杯頑張ってみようか。弥勒、待たせてばっかでごめんな…

もしよければ、ブックマークや⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を付けてくださると作者は泣いて喜びます(๑>◡<๑)ノ

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