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この恋のために  作者: ひなた真水


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32/41

一歩

 文化祭が終わってここ1ヶ月で、一番の変化っつーと、やっぱ福原だよな。

 女装コンテストで俺が最優秀賞取ったせいか、ようやくヤツは元々の色を隠せとは言わねえように変化した。

 もちろん、相変わらず口うるせえヤツではあるから、目立つ分色々言われがちなのは、あんま変わんねえけど、俺も彼方も校則違反だとかの、他の文句は言われねえようにしてるし、そっちは問題ねえ。

 その分、気合い入れて、他の生徒たちを注意しまくってるけど、俺には関係ねえし、お好きにどうぞっつー感じだ。

 その被害者が相沢であっても、そこはしょーがねえだろ。

 だって相沢、スカート丈は見るからに短えし、髪も絶対染めてるし、弥勒に教えられて雑誌チェックしたら、ピアスも開けてたしな。


「もー福原超ムカーっ。あたしピアス取られたの、これで10個目だよー?」

「いや、相沢? ピアスはダメだろ、ピアスは… 体育やる時、引っかけて危ねえから」

「ちゅうか、おまえは絡んでくんなて言うてるやろ」

「ちょっとぐらいグチってもいいっしょー。弥勒くん冷たいーっ」


 幸いな事に相沢は、俺が好きになれねえって断った後も、変に避けたりしねえで、こうして普通に話しかけてくるから、ホッとした。


「かわいくありたい女子の気持ちを、福原分かってないって思わんー? 出会いなんて、どこにあるか分からんのにさー」

「うん、まあ、あれだ。オシャレは許されてる範囲で楽しもうぜ?」

「オシャレしたかったんやったら、校則緩い学校いけばよかったやんけ。…てか、おまえ出会い探してるんや?」

「まーね。フラれたのに、いつまでもズルズルってのは、よくないっしょ? 次の恋いかなきゃ」

「そうか。ま、女磨いてる最中やったら、ある程度はしゃーないかもな」

「でしょ? 弥勒くん、次にあたしみたいの出現した時には、もういじめちゃダメだかんね?」


 言いたいこと言えたのか、それだけ言うと、相沢はさっさと廊下を歩いてったけど、えぇ〜? 俺、今から弥勒に説明すんのか?


「………遥、相沢フったんけ?」

「あーうん。俺の気持ちが付き合えねえってなったって、ちゃんと言った」

「そうか。オレが嫌がったせいやなく、遥の気持ちが決まったんや」

「うん。気持ち決まったのに、言わねえっつーのも悪いし、ちゃんとしておこうってな」

「気持ち、決まったんけ?」

「や、決まったのは相沢と付き合うのは出来ねえっつーやつで…ごめん」

「謝らんでええ。オレが出来る努力はするから、気にせんとゆっくり考えてくれや」

「むー…」


 弥勒の努力が足りねえっつーわけじゃなく、俺の気持ちが足りねえ、こんな場合はどうすりゃいいんだろうな…?

 デケえ弥勒の手で優しく頭撫でてもらいながら、俺は足りねえ自分の気持ちを見つめ直すけど、今んとこなんも思い浮かばねえ。

 俺、だんだん弥勒が、ちょびっとずつだけど、好きにはなってきてるけど、まだいっぱい好きっつーわけじゃねえし…むー

 誰かに話聞いてもらいてえけど、気軽に話せる内容でもねえし、こういう時、普通のマイノリティたちはどうしてるんだろうな?


「……弥勒、俺ちょっと話聞いてもらいてえ。放課後いいか?」

「ええで。外でが聞く方がええんか?」

「ううん。弥勒んちがいいけど、メシ作りながらとかじゃやだ」

「…分かった。でも何も食わへんっちゅうわけいかんやろ? 買い物は行こや」


 結局、俺は悩んだ末に、弥勒に話を聞いてもらう事にした。

 弥勒は当事者だし、これから色々向き合っていくなら、必要かもだしな。



 買い物で商品見ても、いつもみてえな食欲をあんま感じねえから、冷凍うどんと白桃ゼリーを選んで、弥勒もそれに合わせてくれた。

 弥勒、いつもはいっぱい食うのに、俺に合わせてもらうのが悪いなって思うけど、いっしょに食いてえ気分だったから嬉しい。


「お邪魔しまーす…」

「おう。上がれや」


 いつもみてえに弥勒んち上がったけど、買ってきた物は冷蔵庫にしまって、2人でお湯沸かしてパックのドリップコーヒーを淹れる。


「んで? 遥の話したい事って何や」

「うん…あのな俺…どうしたらいいか分かんねえ事があってな…弥勒の事、付き合うほど好きじゃねえのが」

「………そうか」

「琢磨に彼女いらねえの?って聞かれた時、いらねえって言ったら、やっぱ何で?って聞かれるじゃん? 相手がいる、弥勒だって言ったらさ…やめとけって言われると思う。弥勒、相沢と付き合うのやだっつって、俺がそれ聞いたの知ってるから…したら普通に女にしとけよって言われるだろ? 俺が男好きならきっと認めてくれるだろうけど、そうじゃねえならって絶対言われる。それ説得出来るほどの気持ちになってくんねえ…それがどうすりゃいいか分かんねえんだ」


「…つまり、その、気持ちが」

「うん。足りねえ…弥勒と付き合うには気持ちが足りねえ。他にも色々男同士は問題あるけど…」


「えーと…それ、オレも断るって事やんな」

「はぁ? なんでそうなるんだよ! ちゃんと付き合うには、どうすりゃいいか分かんねえっつってんだろ?」


「え? ぁ…え? 付き合うには…? ちゃんと付き合うためにどうするかっちゅう事け?」

「俺らは色々、いっぱい乗り越えねえとムリだろ? でも乗り越えるには足りねえから、俺考えてるのに!」

「そっち? 乗り越えるには気持ち足らんから、無理やとかやなくて?」

「ムリだったら聞いてくれとか言わねえで、ムリって言うだろ! むーっ!」

「すまん。そっちか…オレてっきり説得出来んし、付き合うん無理っちゅう話かと…よかった〜…」

「よくねえ。全然よくねえぞ。それまず解決しねえと付き合えねえんだぞ?」

「そうやけど、よかった。フラれるんかと思た。マジで一瞬息とか止まるかと思た」

「むー酷え勘違いだそれ。俺頑張ってるのに…むー」

「悪かった。でも、オレと付き合うために、いっぱい考えてくれてるんやな」

「うん…でも考えても分かんねえ。気持ち増やす方法とか分かんねえ。いっぱい好きじゃねえとダメなのに…」

「それ、まだいっぱい好きには届かんだけやないんけ?」

「まだ届かねえだけなのか? 待ってたら届くか?」

「オレが前に聞いた時は、ちょびっと好きっちゅうてたやろ? そん時から増えてるやんけ」

「うん。あれから増えたぞ。まだ足らねえけど」

「時間かけるんはあかんのけ? 増えてるなら、乗り越えられるまでオレが口説くし」

「協力してくれるか? 俺が乗り越えられる気持ちになれるように。俺、自分じゃ気持ち増やすとか分かんねえし」

「当たり前や。協力するに決まってるやんけ。オレがもっと口説いて、遥が乗り越えられる好きに届いたら、付き合うんやろ?」

「うん。俺そのつもりで頑張ってるけど…」


「ん? 他に何かあるなら言うてみ? オレが遥と付き合うために、頑張れる事があるなら、聞きたいで」

「むー」

「言うてくれんと、いっしょに頑張れへんやろ?」

「キス…の先は、怖え。どう考えたって怖え…受け入れるの怖え…」

「あー…」


 これが俺の最大の問題だよな。そこクリア出来ねえのは致命的だと思うっつーぐれえ、解決しねえとならねえけど、超絶難問だ。

 キスしたり、ぎゅってするのは、俺もしてえけど、そこまでしか想像が働かねえし、怖えしか思えねえのが今の俺だし…


「………その…キスはええんや?」

「む。まだダメだぞ? そういうのは付き合ってからだからな?」

「……………いや、そうやなくてな」


 なんか弥勒が両手で顔覆って背中丸めちゃったぞ。やっぱしてえんだよな? 男だし、当たり前だけど、俺はムリだけどさ。


「…………………遥の気持ちは、キス、したいて思う好きなんや?」

「そう言ったじゃんか」

「聞いてへんっ! 全然聞いてへんし、それ!」

「言ったじゃんか。ちょびっと好きって前にも何回もっ」

「あれそういう意味で好きて言うてたんけ? オレ最初おまえにキスしたいの好きやないって聞いたで?」

「最初からキスしてえの好きなわけねえだろ? でもちょびっと好きって違う種類もちょびっとじゃんっ!」

「えー? そういう事なん? オレ今までずっとそうやないと…えー?」

「えーじゃねえ。俺はちゃんと言ってただろ。それより、この超絶難問をどうしてくかだろ」

「待ってくれ。ちょっとだけ待ってくれ。確認させてくれや」

「何をだよ?」

「キスしたいの好き、なんやな?」

「だから、さっきからそうだっつってるだろ。弥勒と付き合うって考えるんだし、当然じゃん」


 キスしてえとも思わねえ相手なら、こんないっぱい考えたりしねえっつーの。

 今さらなに当たり前の事で確認とか取ってんだ?


「頼むからちゃんと答えてくれ。……オレが好きか?」

「好きだぞ。これから乗り越えねえといけねえ事でいっぱいなの、どうしようっつーぐれえ、弥勒が好きだ」

「オレも好きや。めっちゃ好きや。たまらん好き……っ すまん、ちょっとたんま…」

「弥勒?」

「胸がいっぱいで、オレ……いっぱい過ぎて、ちょっと無理……休憩させてくれ」

「うん、休憩はしていいぞ。コーヒー、も一杯飲むか?」

「頼む」


 なんかよく分かんねえけど、一人であーとかうーとか唸りながら弥勒が悶えてるから、その間に俺はお湯沸かしてコーヒー淹れる。

 紙パックのドリップコーヒーの香りが、ふわっと部屋に漂って、なんかほっとするな…さっきは考え込んでたから余裕なかった。


「弥勒、コーヒー入ったぞ、ちょっとは休憩出来たか?」

「まだ無理。まだ頭からなんか出そうや。ぴゅーとか言いそうでヤバい」

「大げさだぞ。前から何回も言ってるのに」

「そこ、オレの認識とは全然違ったから…いきなり道のりがめっちゃ短なった気がする」

「早死にするみてえに言うんじゃねえ。まだ何も乗り越えてねえじゃん」

「この状況にたどり着くまでが、もっと長いて思てたんや。告った時は全然そういう意識されてへんかったし」

「そこから俺もちゃんと考えた。いっぱい、色々。いっしょにいてえかとか色々な」

「めっちゃ嬉しい。ちゃんとオレの気持ちと向き合って考えてくれたん、めちゃめちゃ嬉しい」

「えへ。そんな嬉しいか。弥勒は俺の事がほんと好きだな」

「おう。めっちゃ好きやで、遥。 ……さっきの話やけどな、オレ別にええで。受け入れでも」

「は? いやいやいやいや待て待て。それはダメだ。弥勒がされてえならともかく、そうじゃねえんだろ?」

「まあ…いやでも、それやと遥が負担負う事になるやんけ。それでは…」

「ダメだ。弥勒がそう言うなら最終どうするかは置いとくにしても、その覚悟がねえのはダメだろ」

「そうなんけ?」

「俺と弥勒は男同士だ。負担を負う気もねえっつーのはダメだろ。最終どっち選ぶにしたってそれは絶対ダメ。せめて弥勒みてえに、さらっと大丈夫って言えねえとだ。俺は男だからこそ、そこは譲れねえ。2人で負う責任だろ?」

「オレらが精神的に対等であるためにか。そうかもしれんな」

「まだ全然大丈夫じゃねえけど、それでもなんとかしねえとって思う。怖えけど…思う」

「ほなそれ、付き合ってく間に考えるっちゅうのはどや? 急ぐ必要はないし、その…触れたら分かる事もあるかもしれんし」

「む。すげえ時間かかるかもしんねえぞ」

「時間かかるんなんか全然かまへん。いっぺんに何もかも乗り越えるより楽やろ?」

「でも待たせたあげくにっつー事もあるかもだぞ?」

「キス以上せん高校生カップルもザラにおるし、だいたいオレは遥がええんであって、出来んでも他のをとは思わん」

「付き合ってから考える、でいいのか? また俺、弥勒に甘えても怒んねえ?」

「怒るわけない。オレの事ちゃんと考えててくれたやんけ」

「ん。じゃあ一旦保留にしとく。まずは自分の気持ちがいっぱいになる方目指すな」

「おう。オレもそれ目指すわ。好きやで遥。めっちゃ好きや」

「俺も好きだぞ。まだいっぱいじゃねえけど、もうちょびっとじゃねえ好きだ」


 弥勒に話聞いてもらってよかった。弥勒が頑張ってくれるなら、きっと俺の好きはいっぱいになれるはずだ。

 気持ちがちょっと軽くなったな。やっぱこういう時は話聞いてもらって、いっしょに考えるのが一番近道なんだ。

 一人でじっくり検討するのも重要だけど、2人の事なんだから、煮詰まった時は2人で考えよう。

 弥勒と2人で冷凍うどんと白桃ゼリー食って、やっぱこれだけじゃ全然足りねえっつって、もう一度買い物に出かける。

 今度は何かちょっとした物でいいから、いっしょに作って食おうって、笑いながら2人で出かけてった。

もしよければ、ブックマークや⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を付けてくださると作者は泣いて喜びます(๑>◡<๑)ノ

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