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この恋のために  作者: ひなた真水


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30/41

まだ動かない気持ち

 文化祭終了したら当然、あっという間に中間テストがやって来るから、俺は例によって例のごとく、伊東藤本の問題持ってきた。

 ほんとあの2人は手がかかってしょーがねえよ。

 なんで毎回毎回、俺が数字の問題なんか作ったりしねえとダメなんだよ…ったく。


「ほら、持ってきてやったから、おめえらしっかり解けよ」

「ありがとー遥くーん」

「ほんと感謝してるよ」

「お、今回も懲りずにやっとんなー。おはよう遥」

「あ、おはよ弥勒。おじさん大丈夫だったか?」

「おう。幸いな事にな、怪我は小指の骨折だけやったわ」


 土曜日、俺らが文化祭で楽しく過ごしてる間に、弥勒のおじさんは、バイクの運転中に単独ですっ転ぶっつーアクシデントに見舞われた。

 連絡受けた弥勒は打ち上げを放り出して、おじさんとこに駆けつけてて、日曜はずっと病院での手伝いに走りまわってたらしい。


「そか。小指っつーのは不便そうだけど、大ごとにならねえでよかったな」

「ほんま人騒がせなオッサンやで。そんでオレ、オッサンのバイクもらえる事なってん」

「は? バイクって…免許持ってねえだろ弥勒。免許取れるのまだ先じゃん」

「免許取ったらもらえるっちゅうか、引き取ってくれてオバハンに頼まれたんや」

「ええー? 免許取ったらおじさんのバイクもらえるっつー事か? おじさんも弥勒にあげるって?」

「オッサンはだいぶゴネとったけど、オバハンが激怒して大人しなったわ。転ぶようなヤツは乗るなて言われてな」

「まあ事故起こされたら、家族はたまったもんじゃねえだろーしな。でもバイクかーいいなー」

「ははは。ええやろー? オレが免許取ったら言うてた通り後ろ乗せたるしな」

「マジかよ。弥勒乗せてくれんのか? やた! 遠出とかしようぜ、デケえか? どんなバイクだ?」

「250ccのクルーザータイプや。えーと、日本やとアメリカンとかも言うやつな」

「うはーいいなー。それ弥勒に絶対似合うやつじゃん。転んで怪我したりだけは気をつけろよ?」

「おう。気ぃつける。オレはオッサンみたいにはならへん」

「遥くん、分かんない」

「さっぱりだよ遥くん」

「またかよ、おめえらーっ! 1問目が分かんねえって、どういう事だ? おかしいだろー?」

「諦めろ遥。こいつらが数学の授業内容なんか、覚えてるわけあらへんって」


 四苦八苦しながら俺は、伊東藤本に数学を教えつつ、弥勒の誕生日の事を考える。

 せっかくだし、俺もなんか弥勒にやりてえな。

 俺、今はバイトとかしてねえ小遣いのヤツだし、今からちゃんと考えとかねえと、間に合うかどうか分かんねえしな。


 つか、弥勒な…うーむ。

 今のままでも俺、けっこう楽しいんだけど、やっぱ弥勒は、その…ちゃんと付き合うってのしてえのかな?

 俺、弥勒の待つって言葉に甘えてるか?

 待たせてる間に弥勒が俺待つのがやになったら…それはやだ。

 でもさ、色々まだ怖えぞ。

 弥勒とキスしてえ種類の好きだとは思うけど、じゃあその先はどうなんだって言われたらさ…ムリだよ〜。

 セックスはまだ想像するのも怖え。

 知らねえで怖がっててもあれだと思って、色々調べてみてさらに怖くなったし…

 色んな準備が必要だとか、その時点でもう辛そうじゃん?

 ダメだ…まだ全然乗り越えられる気がしねえ。

 だいたい弥勒だって、その…俺をキスとか抱きしめてえは、思ったりするかも知らねえけど、それ以上してえとか思ってるのか?

 だって普通しねえ事するんだぞ? 逆流なんだぞ? ムリだろ? 汚ねえだろ?

 したくねえって思ってもしょーがねえよな?


 むー。ダメだなー俺、ここでいつも思考停止してるな…

 他の事考えてみようか…俺の周りの事とか、やっぱ認めてもらいてえしな。

 なぜか彼方と滝は認めてるっつーか、弥勒を応援してるみてえだけど、普通は反対するだろうから、そっちも考えねえとだ。

 言いふらす気はねえけど、俺が彼女作らねえってなったら、なんでって言うヤツは出るよな。

 父さん母さんとか琢磨はさ…今はねえけど、いずれは言う。

 彼方がいるから、孫が見れねえわけじゃねえけど、それでも隠し通すのは辛そうだし、バレたらどうしようっつーのはあるな…

 琢磨とかも絶対言いそうだ…彼女作らねえのっつーのだったら、琢磨が一番最初に言うかもしんねえ。

 だって高校生だし俺も琢磨も、彼女欲しい年頃だもんよ。

 彼女いらねえって言ったら、なんで? ってなるのが普通だ。琢磨にそんな事聞かれたら、なんて言う?

 そん時、俺は実は彼女じゃなくて、彼氏いるっつーのか?

 むー。弥勒が彼氏だっつったら、どう思われるかなー…むー

 弥勒、相沢とのこと邪魔したっつーのがあるから、琢磨は反対するかもしんねえよな。

 男が相手っつーのは引かねえかもだけど。

 下心があって、彼女が出来そうなの邪魔するような男はよくねえっつーかもしんねえ。

 俺が性的少数者っつーのは許せても、そこは怒るかもしんねえな。

 琢磨からしたら、それは弥勒が俺を引き込んだっつーことになるだろうし、目ぇ覚まして女と付き合えって言われる可能性はある。


 俺、別に他の男を魅力的に感じたりしねえもん。

 今でも俺は、自分が男を好きなヤツだとは思ってねえ。

 弥勒以外のヤツとか絶対やだって思ってるし、普通にグラビアアイドルは好きだ。

 弥勒が特別だっつって、琢磨に分かってもらえる自信はねえ。

 俺がどうしても好きだって言ったら、そっかってなるかもだけど、今はまだ、琢磨説得するぐれえは好きって言えねえし、そんなじゃダメだ。琢磨説得してやるって思わねえと、付き合えねえよな。

 父さん母さんは…あとでいいか。琢磨説得出来るぐれえ好きなら、きっと父さん母さんも説得するだろ。

 そこは未来の俺に期待だ。

 むー、弥勒は別に、2年のガチ男の娘の先輩みてえに、なんでこいつに、おっぱい付いてねえんだ?ってタイプじゃねえし…

 195以上ある格闘技経験者だし、弥勒におっぱい付いてたら気持ち悪いし、むー

 見た目だとどこがいいんだ? だよな。

 いや、弥勒はカッコいいんだけどさ、それは女子が男に美形でカッコいいって言うっつーより、男が男を見てうわーって思うカッコよさ?

 男なら誰でも1回ぐれえ、こういうヤツになりてえって思うようなカッコよさで、女っぽいとこなんか全然ねえんだよな。

 実際それなりにモテるヤツだし、女子に告られたりもしてるし…なんで弥勒は俺なんか好きなんだ? 分かんねえ。

 俺がなんで弥勒好きかも分かんねえし…むー…分かんねえけど好きだって思うな。

 好きだって思うけど、付き合うのは、まだむーだ。

 だったら今後の方針はどうしていけばいいかだ。

 これ以上好きになんねえで、こっそり気持ちがなくなるよう努力するか、もっと弥勒をいっぱい好きになって、みんなを説得するか。

 好きにならねえように努力して、弥勒の悲しい顔見るのはやだから、きっとみんな説得するの大変だろうけど、そっちしかねえか…

 でもいっぱい好きになるっつーのは、まだ出来ねえな…もうちょっとまた自分の気持ちが動くまで、俺も待つしかねえか。


「弥勒、頑張れよ」

「? おう。テスト頑張るわ」


 俺は弥勒の頭を撫でて応援する。

 弥勒の悲しい顔は見たくねえけど、自分じゃどうにも出来ねえから、弥勒と俺をこっそり応援だ。

もしよければ、ブックマークや⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を付けてくださると作者は泣いて喜びます(๑>◡<๑)ノ

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