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この恋のために  作者: ひなた真水


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対策会議

 琢磨んちの前で手を振って別れて、ちょっと考えてから俺は携帯から電話かける。

 今ちょっと俺、弥勒に話し聞いてもらいてえ。


「───弥勒? あのな、俺。琢磨と弥勒は仲良しがいいぞ」

『どうしたんや急に。琢磨になんか言われたんけ?』

「そうじゃねえけど、弥勒と琢磨は仲良しがいいって思った」

『そうか。オレは仲良くしたいて思ってるで』

「弥勒はきっとそう思ってくれるだろうって思ってた。でも琢磨は弥勒の気持ち知らねえ」

『はー…やっぱそこは難関やとオレも思てた。いつか遥がそれ言い出すやろなって』

「琢磨、弥勒の事嫌いになんねえかな? 琢磨が嫌いって思ってるのは俺…」

『遥、今からそっち行ってええけ? 顔見て話したい』

「俺が行く。俺も弥勒の顔見て話してえし、俺んちじゃ彼方も親も寄ってくるし」

『分かった。待ってる』


 電話切って俺はトボトボ弥勒んちに歩いて向かう。

 こゆ時、自転車にあんま乗れねえっつーのは、やっぱちょっと不便だな。

 20分ぐれえトボトボ歩いて、弥勒んちのマンションの前着いたら、弥勒がマンションの下に降りて待っててくれた。


「ごめんな弥勒。せっかく楽しく遊んだあとなのに、こんな…」

「かまへん。ええからオレの部屋来いや」

「うん。お邪魔する…」


 弥勒んち上がって出してもらったお茶飲んだら、なんか自分の心が迷子になってる気がして、何考えていいか分かんなくなった。

 しょんぼりする俺の頭に、弥勒のデケえ手が乗っかって、優しくゆっくり撫でてくれる。

 ごめん弥勒、俺すげえしょんぼりだ。


「帰るまでは楽しそうやったけど、何があったか教えてくれるけ?」

「弥勒が相沢気に入らねってしたの、最初はどうかと思ったって琢磨言ってさ……」


 俺は弥勒に琢磨と話した内容を言ってみる。

 友だちが好きなのがよくねえ相手だったら、誰だってあれこれ言うっつー話を。


「直接なにか言われたんやないんや?」

「うん。琢磨は弥勒の事、思ったより悪いヤツじゃねえって。でも俺、考えちゃって」

「琢磨がオレを嫌いになったら、やっぱオレは断るけ?」

「分かんねえ。2人が仲良くなれねえってなったら、俺どうすりゃいいか…むー」

「オレと相沢みたいに、どっちかと仲ええのがええって言わんのや?」

「だって俺、琢磨は大事だし、弥勒もちょびっと好きだし…そんなの選べねえよ」

「そうか。………よかった。フラれるわけやないんやな、オレ」

「なんでそうなるんだよ? 困ったから電話したんだぞ?」

「いや、オレと相沢の時は、サクッとオレ取ったし、琢磨とオレやと負けるかなと」

「えーだって弥勒はちょびっと好きだし、そこ相沢とは違うじゃん」

「せやな。選べへんなら、琢磨と仲良く出来る方法、いっしょに考えようや」

「むー考えたらいいの思いつくか?」

「考えんと思いつかんやろ? いっしょに考えたら、2人分の知恵や」

「2人分の知恵か。それもそだな、知恵は多い方がいい。いっしょ考えてくれるか?」

「おう。まずオレが考えるんは、オレと琢磨がいっぱい仲良なる事かな? オレと仲ええなら琢磨も嫌いになりにくいやろ」

「それは大事だな。仲良しっつーのは好感度が高え、嫌いになりにくいヤツだ。俺協力するぞ」

「他にも、オレが悪いヤツでは嫌らわれる。オレは色々努力するで」

「弥勒、いいヤツだぞ? ちょっとヤキモチ妬きだけど」

「人として、文句つけられるようでは、あかんやろ」

「む。人として文句つけられる」

「高校生のやれる事、出来なあかん事、いっぱいあるし、それ怠けるのは、文句つけてくれて言うてるようなものやろ?」

「たしかに。成績…弥勒はいいけど、成績が悪いヤツとか、ケンカする不良とかは文句の素だな」

「おう。琢磨も言うてたけど悪役レスラーではあかんな」

「それ気にしすぎ。琢磨はそういう事言うヤツだ。俺も数学野郎って言われるぞ」

「でも言われるなら料理人とか帰国子女の方がええやん?」

「そりゃそうだな。印象が天と地ぐれえ違う。料理人は琢磨言ってたけど」

「最後に遥にええ影響するヤツっちゅうのも重要ちゃうけ? 今思いつくんはこの3つぐらいやな」

「弥勒は料理教えてくれるけど、それじゃ足りねえか?」

「今はそれでええかもやけど、この先成績落とさんとか、いっしょで悪い事ないのは大事やろ」

「それもそうか。弥勒と遊び呆けて、俺が悪くなるようじゃダメだ」

「この3つ、オレといっしょに頑張ってくれるけ?」

「頑張ろうぜ! は〜弥勒と喋ってよかった俺。なんか、なんとかなりそうな気がするぞ」

「オレもよかったわ〜…おまえが協力してくれんと出来ん事も多いし…」

「でも弥勒の知恵だぞ? すげえな弥勒、こんなのよく思いついたな」

「そら話聞いてからずっとオレ考えてたし、当然やろ。琢磨には認めてもらえんとって」

「ずっとか、弥勒はそんなにいっぱい俺のために考えてくれたのか?」

「おう。好きなヤツといっしょにいるための方法や。考えるって」

「えへ。嬉しいぞ弥勒。俺すげえ嬉しい」


 あんなにしょんぼりだった俺の気持ちが、いつのまにかすっかり元気になって、俺の心はふわふわ嬉しいがいっぱいになってた。

 弥勒といっしょにいっぱい頑張れば、琢磨もこんな頑張る弥勒を、認めねえわけいかねえって、希望が出てきて嬉しい。


「弥勒、俺、弥勒とずっといっしょに仲良くしてえから、いっぱい頑張るぞ」

「そうか。オレも頑張る。めっちゃ頑張るからな」

「あ、撫でられた」

「おう。撫でんとやで」

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