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後妻はもう恋をしない。愛をくれたのは、この子だけでした  作者: 秋月 爽良


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第18話 刺客?冗談でしょ?旦那の反撃開始!

 カイの報告を聞いて、レオニスはすぐに軍内部に伝令を走らせていた。


「調査に必要以上に干渉してくる兵士たちがいるらしい。あれは……、叔父の指示かもしれん」


 鋭い目をした彼は、低い声で吐き捨てるように言うと、腹心の部下に命じて密かに監視をつけさせる。

 これは現実に起こっていること――。淡々と指示を出す彼に、私はその横顔を見つめるしかなかった。


(まさかレオニスの叔父が、リオンを殺そうとしているの? しかも先妻が亡くなったのも、彼が原因かもしれない。

それを今、私たちみんなで暴こうとしているのよね……?)


 ここまで来たら、もう引き返せはしない。覚悟を決めるしか――。


 私は震える胸を落ち着かせたくて、小さな息を吐く。机の上に置いてある資料を、ぎゅっと握りしめた。


「おい! 使用人の方はどうなった?」


「はい。以前から請求を水増しして、浮いたお金を懐に入れていたようです。

それを先ほどの業者の男が気づき、協力するよう脅されていたと供述しています」


 兵士の言葉に、レオニスは眉間にしわを寄せる。


「これで、繋がったのね……。レオニス」

「ああ、さらに、厳しく尋問させるよ。あいつがどこまで知っているか、確かめさせるんだ。

……だれか、そいつを地下牢に放り込んでおけ!」


 皆が不安げに見守る中、レオニスは冷徹に言い放った。

 

 ◆


「ねぇ、どうしたの?」

「あっ……、奥様」


 リオンの様子を見に行こうと少し席を外した私は、オロオロと落ち着かない様子のメイド達が気になって声をかけた。


「実は先ほどから、不審な人物が屋敷の周りをうろついているんです」


 話を聞いてみると、屋敷の外で不審者の影がちらつき始めたということだった。夕暮れ時、風が少し冷たく感じる。


「大丈夫よ、安心して。レオニスに言って警備を強化してもらうわ。……でもなるべく外出しないで。みんなにも伝えてね?」

「は、はい! あの……、ありがとうございます!」


 普段話すこともないメイド達は、嬉しそうに頭を下げる。

 私は微笑むとすぐに踵を返し、レオニスの元へ向かった。

 

 ノックをして返事を聞く前に部屋へ入ると、彼は目を細めて窓の外を見つめていた。

 その目は普段の冷静さに加えて、警戒心を強く帯びているように見える。


「レオニス……!」

「分かっている。すでに報告は受けて、対策済みだ」


「……何か仕掛けてくると思う?」

「表だって何かするとはさすがに思えないが、証人をこちらが押さえているのは、気付いているだろうからな……」


 私は、窓から見える屋敷の門の方に目を向けた。よく見ると、1台の馬車から降りた女性が警備と言い争っている。


「レオニス、あれ見て」


 彼は私の側に来ると、目を凝らす。


「何だ? 口論しているようだが……」

「屋敷に用事でもあるのかな? ……入れてあげたら駄目よね?」


「むう、しかしな……」

「貴方がいるから、大丈夫でしょ? それとも私が行ってこようか?」


 結局女性は護衛達に周りを囲まれ、屋敷内の応接室へ連れてこられた。我ながら、何て無謀なことをしたんだろうと思う。

 女性は顔色を赤くしたり、青くしたり忙しかった。


「こんばんは。どうされたんです?」


 レオニスとふたり並んで、ソファに腰掛ける。彼は難しい顔をして、彼女を見据えていた。

 恐ろしかったのか、女性はしばらく言葉を絞り出すことができなかった。


「た、助けてください……!  彼らが、私たちを監視して……」


 彼女は震えながらも、言葉を続ける。


「……誰に監視されているんだ?」

「い、言えません……。夫が軍へ商品を納めに行ってから、まだ戻ってきていないんです」


「レオニス……。もしかしてこの女性、あの男性の奥さんなんじゃないの?」


 彼女は男性の名前を口にする。妻というのは間違いないようだ。


「彼は保護していますから、心配しないでください」

「ありがとうございます、本当に。あの人が無事でいてくれて安心しました。……あの、夫に会わせてはいただけないでしょうか?

無事を確認したいんです」


 その言葉に、私は一瞬女性の目に浮かぶ何かに違和感があった。

 けれど、それはただの勘違いだと思った。


 許可するかどうかはレオニスが決める。私は彼の方を窺うように見た。


「……いいだろう。準備をするから少し待ちなさい」


 彼は執事のエルマーに何事か囁くと、テーブルの上に用意されていたお茶を飲んだ。

 女性は凄く喜んで、何度も私達にお礼を言う。


「ご用意できたようです……」


 エルマーに案内され、護衛も含め数人で男性がいるという部屋へ向かった。

 私の隣にはレオニスが張り付き、さらに数名の護衛がその周りを固めていた。


「さあ、こちらでございます」


 執事によって扉が開かれると、ひとりの男性がこちらを振り返る。


「えっ? あれ……」


 私が口を開こうとすると、すぐにレオニスに手で塞がれ、後ろへぐいと引っ張られた。


「あなた! 無事だったのね!」


 そう言いながら女性は駆け出すと、男性に飛び付いた。手にナイフを持って――。


「……うぐうっ!!」


 彼女は男性をナイフで突き刺すと、身を翻して素早く部屋を飛び出す。


「追え! 追うんだ!」


 レオニスの命令を聞いて、周りの護衛達も彼女を追いかける。

 私は呆然とその光景を見つめることしかできなかった。

※感想欄は、一部の読者様との認識の違いによる混乱を避けるため閉じております。

ご理解のうえ、お楽しみいただければ幸いです。

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