1/1
1話 きづいた
「あなたが生まれたせいで!」
私とは血の繋がらない母が叫んだ。
私と半分だけ血の繋がっている兄弟が、私のことをかばった。
私と血の繋がった父は何も言わない。
私と血の繋がっていた母はここにいない。
まぁ、母はこの場にいることはできないんだけどね。
この時が、初めて自分が生まれてきた意味を考えた瞬間だった。
いや、前から気づいていたのかもしれない。
気づいていて、あまり深く考えていなかっただけ。
おかあさんに答え合わせをしてもらっただけ。
きょうだいが心配してくれた。ありがとう。
私は傷ついていないよ。大丈夫だよ。
きっと私は壊れている。ヒトとして何かが欠けているのだろう。
傷つくような心がないのだから、傷つきようがない。
なんで私は産まれてきたのかな。
死ぬまでに生まれてきた理由を知りたいな。
さて、私の話を始めるとしましょう。