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第10話 最初の目的地、モネンへ

……あれから、どれくらい歩いただろう。

草原地帯の真ん中に、街が見えてきた。


「もうそろそろ、モネンですわよ」

そうベネが言った。


空は茜色になりつつある。

―――ここまで来たのは、長かったな。


「もうちょっとだ、頑張ろうぜ」

ジェミロンが言うと、二人は頷いた。


▪▪▪


モネンの街中へと入っていく。

ゼノラよりは街が小さいが、そこそこの人達が行き来している。


「ここは昔から農業が盛んでして、お野菜が美味しいのですよ」

ベネが言う。


「この国の野菜は、大半ここの産地と聞いている。手厚い支援もあるって聞いたことあるぞ」

ジェミロンが横から言う。


それを聞いたナナミは少し考える。

「でも、天候悪化とかで採れない時期があるんじゃないかな」


「それは安心してください。ここは天候を司る神様を祀っていて、天候悪化による不安定な収穫にならないようにしていますわ」

ベネがそう説明する。


(そこら辺は日本と一緒だけど、効果は違いそうね)

そうナナミは思う。


その会話をしていると、今回泊まる宿のところへ着いた。


「それでは、部屋を取ってきますわ。御二人は、そのまま待ってていただけるかしら」

そう言って、ベネが宿の中へ入っていく。


二人が外で待っていると、「……なあ、最近天候がおかしいと思わないか」と言う声が聞こえた。


声のする方を見ると、この街に住んでいる何人かが立ち話をしているようだ。


「ああ、適度な雨が降らないって話だろう。ジャン米を作っているヨロガから聞いたよ」


「そういや、神殿の方から何か怪し気な声がするってのも噂で聞いたことあるなあ。それから雨が降らんな」


そう会話が続いた。


「ねえ、あの話気にならない?」

ナナミが小声でジェミロンに話す。


それにはジェミロンも頷く。

「確かにな」


「お部屋、取れましたわよ」

その時、ベネが戻ってきた。


「あの、ベネさん。少しお話があるんだが……中で話しても良いか?」

ジェミロンが言う。


「ええ、何でしょうか」

そうベネが言い、三人は宿の中へ入っていった。


▫▫▫


二人はさっき聞いた話をベネにした。


「……成る程、雨が適度に降らないと」

そうベネが呟く。


「もしかしたら、魔女と関係があるのなって」

ナナミが言う。


「まだ魔女が関わっているとは限りませんが、(ひず)みが起きているのかもしれませんね」

ベネがそう返す。


「なあ、僕達で何とか出来ないかな。このままじゃ、飢饉(ききん)が起きそうな気がする」

ジェミロンが言う。


「……ジェミロンの言う通りだと思いますが、本来の目的と外れてしまいますわ」

ベネがそう渋る。


それを聞いたジェミロンは、俯いた。


「あの、ベネさん」

ナナミが口を開く。


「確かに、本来は魔女の事を対処するのが目的です。でも、それだけをやるのと危機を見捨てるのは違うと思います。人助けに、目的はありませんから」


「『人助けに、目的はありません』……ですか。それもそう、ですわね」

そうベネが呟く。


「それじゃあ……」


「分かりましたわ。今日は流石に遅いので、明日の朝一に神殿へ向かってみましょう」


▪▪▪


「……なあ、ナナミ」

夕飯を食べて宿の部屋へ戻る途中、ジェミロンが話しかける。


「何?ジェミロン」

「さっきは、ありがとうな」


ナナミはジェミロンを見つめる。

「あれは、当たり前の事を言っただけだし……それに」


そして、ジェミロンの手を握る。


「私はジェミロンの事、あの時助けてくれた時から信頼しているよ」


その言葉に、ジェミロンは少し顔を赤らめた。


「そ、それじゃ……明日、頑張ろうな」

「うん!」


こうしてまた部屋へと歩き始めた。

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