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宇宙の絆Ⅲ  作者: 秋華(秋山 華道)
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出遅れ

13時頃戻ってきた時、戦況は明らかに不利だった。

韓国が強いのも当然あるが、どう考えても守る側が不利なのだ。

かといって攻める利点なんてほぼ無いわけで、これは絶妙なゲームバランスと言えるのかもしれない。


サイファ「ジークどうする?このままだといずれ施設まで攻撃が及ぶぞ」

ビューティフルベル「別動隊をつくって韓国を攻撃してみる?」

グリード「もうそんな余裕ないだろ。既に押され始めている」

紫陽花「紫苑も今考え中ね‥‥」


3師団の大将と、サイファ軍の准将であるグリードって人が、何やら相談していた。

流石にこのまじめな話の中に、月読命は入れないようだった。

そしてもう一人の大将美菜斗の姿もない。


ジーク「なんとかこのまま守るしかないだろう。美菜斗の師団メンバーが集まればなんとかなるが、あいつには自由行動許可してるしなw」


確かに、美菜斗師団がいればきっと守れると思われる。

しかしここにはほとんどメンバーはいない。


和也「それにしてもジークは、割と余裕ありそうだな」

陽菜「多少宇宙に上がるのが遅れても、負けるわけでもないよね」

和也「どれだけボコボコにやられても、地球じゃそんなに大きな差は出ないからな‥‥」


そうは言っても、4ヶ月で宇宙に出るのと、6ヶ月で宇宙に出るのとでは大きな差があるだろう。

今回100万を超える拠点があるマップとは言え、2ヶ月もあれば占拠されてしまうかもしれない。

まあ今回だけの敗戦なら遅れは3日程度で済むだろうが、続けられたらかなりマズイ。


ジーク「そうそうみんなもう知っていると思うが、近場で同盟が結べなかったのは、中国、ロシア、韓国だけな。勝手に攻めるのも良いが、同盟国には攻められないのでよろしく。」


ゲームが始まって、いきなり台湾とは同盟関係になったんだよな。

そこからインド、タイなど結構な数同盟が成立している。

ほとんどが宇宙戦が始まるまでで、実質地球上だけの同盟だ。

宇宙に出ても、全拠点がどこかの国に所属するまでは、宇宙での国同士の戦いはできない仕様になっている。

それでもなんとか邪魔しようとする人は出てくるとは思うし、取り合いにはなるんだろうけれどね。


とりあえず俺達はスサノオを再び出撃させた。

防衛ラインが、俺たちが寝る前よりも下がってきている。

このペースが続くと、夕方にはやられてしまいそうだった。


そんな時だった。

軍の情報を知らせるアラームが鳴った。


和也「美菜斗師団、韓国に侵攻中だと?」

陽菜「なんか美菜斗さんらしいや」


ジーク「美菜斗のヤツ、やってくれるわw」


これはもしかしたら助かったかもしれない。

流石に韓国も防衛に手を回さざるを得ないだろうから。

しかし期待通りとはいかなかった。

一向に韓国の攻撃は弱まらなかった。


ジーク「韓国、壊れてるなw」

サイファ「自国お構いなしでとにかく俺達をやろうってか」

ビューティフルベル「中国も韓国を攻めてるらしいよ」

グリード「全くなんて奴らだ」


この辺りが韓国の怖い所だ。

とにかく日本に勝つ事で勝利をつかめると考える。

むしろ今は中国を抑えないとまずいのではないだろうか。

美菜斗からの勝利宣言が出た後も、韓国の攻勢は止まらない。

18時を過ぎた頃、俺と陽菜は休憩タイムに入っていた。


和也「流石にずっとゲームするのもきついな」

陽菜「ここは一度やられてしまうのも手かもね」

和也「確かにこんな戦い続けていても、今の韓国の勢いならおそらく一旦やられてしまうだろうな」

陽菜「本当に、どうしてここまで攻撃を続けられるんだろう。疲れないのかな」

和也「韓国恐るべしだな」


とりあえず俺たちは夕食をとった。

戦況を確認すると、俺たちが戻る予定の22時まで持ちこたえられそうにない状況だった。

俺の手の疲れは尋常じゃなく、正直まだゲーム復帰できる状況ではない。

しかしこのままではヤバい。

画面には友軍の全体チャットのメッセージが常に流れている。

どうするかみんな悩んでいるようだ。

そんな時、美菜斗が全体チャットに入ってきた。


美菜斗「困ってるみたいですね。まあ守りに関しては任せていますが、たとえ負けたとしても、その分は僕が取り返しますよ」


美菜斗はどうやら今中国を攻めているようだった。

日本が遅れる分は他を遅らせる事で調整するという話か。


ジーク「期待していないが頼むわwでも全ての国を攻めるわけにはいかんだろ?」

美菜斗「有力どころだけでも抑えられればと思っています。それに多くの国が交戦していますよ。おっとロシアがウクライナに侵攻しているようです」

ジーク「ロシアも動いたか。とはいえロシアを攻める余裕なんてないがな。」


ロシアか。

ロシアはしたたかに戦ってくる国だ。

だからロシアが攻めたという事は、周りの国は交戦中か、或いは同盟を結んだか、攻められない状況を作ってから攻めていると思われる。

現に日本も全く手が離せない状況が続いている。

でもちょっと待てよ?

そこまで考えて俺はひらめいた。


和也「そっか。今だったらロシアは手薄だよな」

陽菜「うん。だけど今はどの師団も手が離せないよね‥‥」

和也「まあな。だけどうちの師団は自由行動が認められている。全員で行くわけにはいかないけど、俺達の部隊だけならいけるんじゃないか?」

陽菜「私たちだけじゃ流石に勝てないでしょ」

和也「いや、そうとも言い切れない気がする。相手はロシアだし、美菜斗の言い方も引っかかる」

陽菜「やってみる?」


俺はとりあえず師団チャットを送った。


カッチ「月読命いるか?ちょっと俺の部隊だけでロシアを攻めようと思うんだけど良いか?」


少しして返事が返ってくる。


月読命「あー‥‥カッチ‥‥好きにして‥‥俺は今寝てる‥‥グー‥‥」

カッチ「悪かったな。じぇにぃと光合成はいるか?あと少し休んだら出ようと思うんだが?」

じぇにぃ「面白そぅ~わたしわぁ~大丈夫だよ~先生も一緒にいるからだいじょうぶいだよぉ~」

カッチ「じゃあ19時に出発するから準備よろしく!あと他のメンバーも参加できるヤツは参加してくれ。おっと沖田艦長は絶対なw」


沖田艦長とは、俺が乗る旗艦の艦長だ。

第3回大会の時も艦長をしていて、なかなかの艦船使いである。

ちなみに階級は少将で、艦船指揮は任せてある。


沖田艦長「了解した。全艦に通達しておく」


正直、ずっと守る為の戦いに飽きていた。

守る戦いというのはなかなか思うような戦いができない。

味方との連携が必要になるからだ。

しかし今回は攻撃に行く。

少しワクワクしてきていた。


陽菜「かっちゃんは攻撃が好きだもんね。私は守りだけどー」

和也「ああ」


俺は19時が待ちきれなくて、既に沖田艦長の操る旗艦、ヤマトGに搭乗していた。


19時きっかり、まだ手の疲れは残っているが、俺はメンバーの確認をしてからロシアに向けて発進した。

ほぼ全員が集まっていた。

ゲームプレイ時間を合わせて部隊が構成されているわけで、この時間なら集まれるメンバーが集まっているのだから当然と言えば当然だ。


カッチ「一応言っておくけど、ロシア軍が大量に残っていたらすぐに撤退する。そこは見てから判断するので、撤退となっても怒らないでね」

じぇにぃ「えぇ~戦っても勝てそうにないならしようがないよねぇ~」

沖田艦長「了解した。全艦に通達しておく」


さてしばらくはロシアに向けての航行タイムだ。

と言っても、ゲームだしそんなに時間はかからない。

本来ならモスクワまでかなり遠いはずなのだが、とりあえず領内に入ればそこはもうどこでも拠点戦マップになるのだ。

ロシアは攻めるには有利な国かもしれないが、守るには不利と言えるかもしれない。


そんなこんなで15分もしない間に俺たちは到着した。


カッチ「さて敵はどんな様子だ?」

沖田艦長「思ったよりも残っているな。勝てるかどうかは微妙な所だ」

じぇにぃ「せっかくきたんだからぁ~とりあえず試してみちゃおうよぉ~」

カッチ「そうだな。みんなもそれで良いか?」

悪即斬「うちの艦は了解」

町田中尉「チュー!」


どうやらとりあえず攻撃する事で異論はなさそうだった。

ちなみに悪即斬は我が部隊第2艦船の指揮官で中佐、町田中尉は我が部隊第3艦船の艦長で大尉である。

町田中尉は既に名前の階級を上回っており、ネタとして面白くないと嘆いていたのは先日チャットした時の話だ。

それとチャット通信での『チュー!』は、今回は多分『了解』の意味である。

大抵返事は『チュー!』なので、その場の雰囲気で判断するしかない。

艦長と指揮官は常に同じではなく、指揮官は一般的にその艦船に乗る最高位のプレイヤーが行っている。

つまり我が艦の艦長は沖田艦長であるが、指揮官は俺である。

ただ、そうではない部隊や艦もあるので、一概には言えない。

例えば紫陽花の艦船では紫陽花が最高位であるが、指揮官は紫苑が行っているという話だ。


そんな中、既に俺達は人型に乗り、出撃の準備を整えていた。


カッチ「では俺達部隊の初陣だ。勝つぞ!」


正確には既に戦闘をしてきたわけだから初陣ではないかもしれないが、部隊揃って戦うのはコレが初めてである。


じぇにぃ「当然だよぉ~」

沖田艦長「了解した。全艦に通達しておく」

悪即斬「了解」

町田中尉「チュー!」


俺たちは出撃した。


戦いはかなり辛いものとなっていた。

パイロットの技量では我が部隊優勢なのだが、如何せん敵の数が多い。

量産機を大量に投入されれば、倒すのもしんどいし、エンドレスで出てくる。

この地球戦、オリジナル機は破壊されると修理等必要になり、コストや時間がかかる。

しかし量産機はいくらでも出撃が可能なのだ。

当然のことながら攻める側は艦船に乗せて持ってきていなければいけないが、拠点ではそんなの関係ない。

プレイヤーが準備するまでにいくらか時間を要するが、何時間かですぐに戦場復帰できるのだ。

プレイヤー人数が多ければ、ゾンビのように敵は復活してくる。


カッチ「量産機の使い捨て戦法だな」

じぇにぃ「守る側はどこもやる事でしょ~でもプレイヤー人数が多い国わぁ~凄く効果があるよねぇ~」


ロシアは人口の多い国だ。

もしかしたら日本よりもプレイヤー人数は多いかもしれない。

これをやられると一部隊でダメージを与えるのは難しい。


和也「潮時かな」

陽菜「そうだね。勝てなかったのは悔しいけど、これを続けても意味なさそう」


俺は撤退命令を出そうと思った。

その時だった。

状況報告のアラームがなった。


和也「美菜斗師団が来た」

陽菜「中国を倒してこちらに来たって事?」


おそらく陽菜の言う通りだと思う。

何者なんだこの人。

俺は少し感動していた。


その後は美菜斗師団の物量作戦で一気にロシア拠点にダメージを与えて勝利していた。

物量には物量で対抗するのが効果的だった。

というか、やはり兵力というのは数で決まる所があるのだな‥‥


美菜斗「ご苦労様です。カッチ部隊のおかげで楽に勝てました。感謝します」

カッチ「あっいえ、こちらこそ助かりました。ありがとうございます」


俺はそう返事を返したが、少し悔しかった。


美菜斗「では我々は次に行きますので、失礼します」

カッチ「はい、ご苦労様です」


和也「さて俺達はとりあえず本国に戻るか」

陽菜「かっちゃんが敬語なんて珍しいかも?」

和也「いや、なんか美菜斗に助けてもらったし、向こうが敬語だと、なんとなく?」

陽菜「だよね。助けてもらちゃったからね。所で日本の状況はどうだろう」


陽菜が調べようとしたその時、俺達の本国が負けたという報告が入った。

世界チャットでハングル文字のコメントが流れていた。

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