階級決定
先日テストプレイ期間が終了していた。
俺達は一度もミッションを失敗する事なく、チームとしては全勝だった。
まあ一度やられはしたが、全ミッションコンプリートはそれなりに評価されるだろう。
さて、今日決まるのはテストプレイに参加した全プレイヤーの階級と、それによる師団部隊分けである。
師団部隊編成は後に変更も可能だが、階級はその後もゲームシステムによって自動で決められるからプレイヤーの意思では変更はできない。
部隊の集まりである師団の所属を変更できるのはこの後に決まる元帥のみとなっている。
元帥は、今回決定される大将6人の内1名が、立候補者の中から投票によって決められる。
大将はこれまでの宇宙の絆の成績等も加味され、24時間プレイが可能な人に限られていた。
アンケートでプレイ時間を登録する必要があったのはその為でもある。
そして最初の部隊編成でもその辺りは考慮されるわけで、つまり俺が乗り込む事になる艦船が師団長(大将)の旗艦である可能性はゼロと言える。
師団は、旗艦部隊といくつかの部隊の集合体であり、おそらくは夕方から夜にプレイ可能な人たちが集まる部隊に配属される事になると思われる。
一応分かりやすく説明をまとめると、軍には6つの師団があり、その中には旗艦部隊を含むいくつかの部隊があり、部隊は部隊長旗艦といくつかの艦船によって構成されている。
規模を今までの『絆Ⅱ』の時と比べると、終盤の大きな軍が師団、小さな軍が部隊となるのだろう。
和也「いよいよ時間だな」
陽菜「うん、ドキドキするね」
発表は午後7時。
サイトに全員の階級所属が一気に表示される。
俺は陽菜と共にその時を待った。
7時になった瞬間、俺はパソコンのマウスを操作し、サイトアドレスへのリンクをクリックする。
アクセスしている人が多いのか、読み込みがなかなか進まない。
それでもなんとかエラーになる事なく、少しずつ読み込んでいるようだった。
上位階級者が表示され始めた。
和也「大将は誰だ?」
陽菜「ジークさんと、サイファさんと、ビューティフルベルさんと‥‥この辺りは順当ね」
俺は正直よく知らない人たちだが、噂は聞いている。
陽菜「あとわぁ、えっ!美菜斗さんも選ばれるのかぁ。紫苑さんの名前が出てこない」
和也「紫苑さんって一応社会人なんだろ?プレイ時間に問題があったんじゃないかな?」
陽菜「確かに、だったら後は誰だろう」
なかなか読み込みが進まず表示されないのがもどかしい。
和也「表示された!紫陽花?さん?よくは知らないな」
陽菜「紫陽花さんは紫苑さんの奥さんだよ!実質紫苑さんと考えていいんじゃないかな」
和也「なるほど。ここまでは全て第1回で活躍した人ばかりか‥‥」
俺は少し悔しかった。
第2回第3回と俺はやってきたが、そこで活躍していた人は誰も選ばれていない。
やはりそれだけレベルが違ったという事なのだろう。
かろうじて最後に俺が第3回で優勝した時の実質大将であった『月読命』が選ばれていた。
ちなみに実質大将というのには訳があって、形の上での大将は『天照皇大神』だったのだが、取り仕切っていたのは月読命だったという事だ。
次に中将が表示されていく。
ここからが実質、テストプレイでの結果という事になる。
さて俺は、いや俺達はどれくらいの評価をされるのだろうか。
中将一人目が表示された。
そこに記された名前は、なんと俺だった。
その後も順に階級が表示されていく。
どうやら俺が中将だった理由がわかった。
師団は元ジーク軍、紫苑軍、サイファ軍、美菜斗軍、ダイユウサク軍、そして俺が所属していた天照皇大神軍の元メンバーがだいたい集まっていた。
よく知ったメンバーで師団を組んだ方がゲームも楽しめるだろうし、運営側の配慮だろう。
美菜斗軍は他に新規ユーザーも多く集まっているようで、その他の人たちと言った感じ。
そして天照皇大神軍は、第2回と第3回の参加ユーザーが集まっているようだった。
和也「つまり、俺が中将だったのは、所属師団の中ではトップクラスだったという事か。まあそれも陽菜のおかげと言えばそうなんだけどな」
陽菜「それでも中将は凄いよ。部隊長だし、かなり責任重大だね」
和也「他人事のように言ってるけど、陽菜も一緒だからな」
陽菜「私は中将じゃないもん」
陽菜は少しすねたフリをしたが、特に階級にこだわっている様子はなかった。
ちなみに陽菜は准将で、俺の部隊では部隊旗艦艦長に次ぐ三番目の階級だった。
部隊長は少将以上がやる事になり、艦長は少尉以上でないとなれない。
他にも、階級以外にゲーム説明が色々と発表されていった。
ゲーム開始は日本時間で5月1日の0時から。
そこからしばらくはメンバーで相談したり、師団部隊の再編を行ったり、とにかく準備をする為の時間となる。
その間戦闘はできない。
そして日本時間の5月3日の午前4時から、本格的に戦闘が始まる。
まずは地球でのバトルだ。
地球マップはリアルマップそのままで、宇宙船をとにかく早く完成させて宇宙に上がる為に戦う。
戦闘は、相手の研究と製造を邪魔したり、相手の攻撃から施設を守る事が目的となる。
この間は戦闘にやられて死んでもすぐにペナルティー無しに復活できる。
ただし賞金査定にはおそらく影響するだろう。
予想では4ヶ月を超えたあたりから宇宙に上がる国が出てくる。
そして6ヶ月くらいすれば半分以上は宇宙に出ているだろう。
宇宙に上がれば、とにかく宇宙の拠点を占領し、今後の対戦への準備をする。
宇宙マップは、前回101×101の平面マップだったが、今回は更に101倍で3Dマップとなる。
隣接する空域への移動は、前回は全て可能だったが、今回は通過できないエリアも設定されており、八隅にマップ的有利があるとも限らない。
実際に上がってみるまでハッキリとは言えないが、何にしても早く宇宙に上がる事が大切だ。
拠点は、前回は色々とあったが、今回は3つに絞られる。
要塞、コロニー、そして有人要塞だ。
地球と月も有人要塞となる。
ただしこの2ヶ所の生産能力は高く、特に地球は桁違いだ。
そしてその地球を最初に拠点とできるのは、地球以外宇宙の全ての拠点が埋まった後、最初に宇宙に出てきた国が得る事となっていた。
当然それ以降の国は拠点を得られないので、そこでゲームオーバーとなる。
その時全ての国が宇宙に上がっていたら、最後から2番目に宇宙に上がっていた国の拠点として、地球はスタートする事になっていた。
他にも色々とルールはあるが、細かい事はおいおいその時にでも話していこうと思う。
とにかく当面は、他国の宇宙進出を邪魔する為に攻めまくり、邪魔されないようにしっかり守る事だ。
5月1日が楽しみだ。
おっとその前に、元帥は誰になるのだろうか。
月読命はよく知っているけれど、正直この中だときっと見劣りすると思う。
陽菜の話から考えると、シミュレーションゲームの天才と言われた美菜斗か、それともこのゲームではジークか。
この後立候補を受け付け、明日中の投票によって決まる。
まあ誰になっても俺は、俺達は勝つだけだ。
今日は興奮しまくって眠れそうになかった。
ちゃんと眠れたけどね。




