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宇宙の絆Ⅲ  作者: 秋華(秋山 華道)
28/44

休息

8つの要塞誕生イベントによって、宇宙の地図は一気に整理された。

多くの国が脱落し、その後も有人要塞を持たない国は排除されていった。

中国とロシアが弱っていた事もあり、他の国が動きやすかったのも理由だろう。

中国が台湾を滅亡させた後、我らが日本の攻撃によって、中国は壊滅的な被害を出した。

主力プレイヤーの4人は階級を落とし、4人の大将を失う事になったのだ。

師団の再編や戦略の見直しなど忙しくなり、自分たちの領域どころか有人要塞を守るので手一杯だった。

とは言え中国はプレイヤー数ではどの国よりも多いわけで、この程度で優勝争いから脱落してはくれないだろう。

それでもしばらくはロシアを含め、こちらに攻撃してくる余裕はないはずだ。

ジークの判断で、日本軍の面々はしばらく休憩を取る事になった。


和也「いやっほーい!」

陽菜「かっちゃん子供みたい」

リナ「子供みたいじゃなくてぇ~子供なんだよぉ~」

えり「私には負けるがな」

太郎「リナさん、今日も素敵です!」


そんなわけで俺達は、夏休みでもあるしみんなで海に遊びに来ていた。

久しぶりにゲームを忘れてリア充の満喫だ。

陽菜は昔マラソンでかなりの選手だった事もあり、引き締まった体に水着はなかなか‥‥

おっと、危ない危ない。

危うく見とれてヨダレをたらしている(気持ち的に)所を見つかってしまう所だった。

俺は平静を装って陽菜をチラチラと見ていた。

まあ俺が陽菜に見とれている所を見つかったとて、か、彼女なのだから問題はないはずだ。

だったら凝視しても大丈夫なのではないだろうか。

陽菜と目があった。


陽菜「どうしたのかっちゃん?」


のぞき込むのそ顔は凶悪なくらいに可愛い。

とは言えそれをそのまま言うのも男としてどうかと思うので、俺は平静を装って伝えた。


和也「いや、あまりに水着が似合っていて可愛いから、つい見とれちまった」


しまった!

平静を装う事に必死過ぎて、伝える言葉がそのままじゃないか!

でも陽菜の反応を見て、そんな事はどうでも良くなった。


陽菜「あ、ありがと‥‥」


照れる陽菜が凶悪過ぎるくらいに可愛い。

俺達はお互いに照れて、その後の会話は続かなかった。

他の3人がいやらしい目で見ている事も全く気が付かなかった。


この後も陽が赤くなるまで俺達は海で遊んだ。

ずっとゲームばかりしていたので、なんとなく夢のような時間だった。

まあ夢のような時間といっても、ずっと海で泳いだりボールを追いかけたりして体を動かしていたわけで、帰る頃には流石に疲れはピークだった。

気持ちの良い疲れではあったが、家についたらそのままベッドに倒れ込み、俺は眠りについた。


次の日、目が覚めたのは既に陽が頂点に達しようかといった時間だった。

俺は軽くシャワーを浴びてから、朝昼一緒の食事をした。

13時には陽菜やいつものメンバーが家に来る事になっていた。

別に宇宙の絆Ⅲをする為というわけではないが、みんな暇だからどうせする事になるのだろう。

この部屋に5人は結構狭いが、もう何度も集まってゲームをしているわけで、それなりに部屋も居心地よくいられるような物の配置に変わっていた。

後1人くらいなら増えても大丈夫なくらいだ。

俺のゲーム機、陽菜が持ってくるゲーム機、そしてここで集まる時はえり先生がゲーム機を持ってくる。

1つのゲーム機で2人プレイするわけだから、あと1つスペースが空いた状態だった。

そんな事を考えていた12時55分、そろそろ皆がやってくると思われる時間に、なにやら家の前で陽菜たちが話す声が聞こえてきた。


陽菜「お兄ちゃん久しぶり~」

えり「うわっ!坂本じゃん。相変わらず冴えない顔してるな」

直也「陽菜ちゃん!大きくなったねぇ~つかなんで高橋がこんな所に?」

陽菜「え?お兄ちゃん、えりさんと知り合いなの?」

えり「知り合いも何も、こいつおな高だし」

直也「うむ。昔共に戦った盟友じゃ」

陽菜「何それ~?」

直也「ほら、陽菜ちゃんと一緒に走り始めた頃、リアルRPGってゲーム流行ってたでしょ。あのゲーム仲間だよ」


そういえば昔、リアルRPGなんてゲームが流行っていた事があった。

確か陽菜や俺も少しやっていたんだよな。

でも体力使うゲームだったし、俺は早々にリタイアしたんだっけ。

陽菜は結構やっていたみたいだったけど、俺がどうしてもバトルグリードの方がやりたかったから、それで陽菜もほとんどやらなくなって、バトルグリードに付き合ってもらっていた気がする。

そういやあの頃からなんだよな。

陽菜が真剣にマラソンランナーなんてやり始めたの。

そんな事を考えながら、俺は部屋にある道側の窓を開けた。

そこには既にみんなが集まっていて、それ以外に坂本さんらしき男性が陽菜やえり先生と楽しそうに話していた。


和也「って、えー!坂本って、オリンピック金メダリストの坂本直也じゃん!!」


俺は驚いてついうっかり叫んでしまった。

間違いない。

この近所に住んでいるという話は昔から聞いていた。

でも近所だからと言って10分も離れていたら、もう付き合いなんて普通はないし、そんな事を意識する事なんて普通ない。

ただ陽菜がマラソンをしていて、坂本直也と知り合いって事は、もしかしてそういう所でつながりがあったって事だろう。

えり先生と知り合いなのは、まあ完全に偶然なのだろうけれど、本当に世の中というのは狭いものだ。


直也「あー‥‥あんまり大きな声で名前を言わないでくれると助かる‥‥」

和也「す、すみません。」

直也「いやいや‥‥」


何を話していいのか分からない。

でも流石にこういう時のえり先生だ。

俺の想像を超える事を言い出した。


えり「今からゲームすっけど、坂本も一緒にこいよ」

直也「えっ?」


なんでえり先生が勝手に誘ってるんだ?

ここ俺んちなんだけど。

いや正確には両親の家だけど、自分の家のように簡単に誘うとか、しかも相手はオリンピックの金メダリストなんだけど?


陽菜「お兄ちゃんそうしなよ。久しぶりにゲームしよ!上がって上がって!」


あれ?

陽菜まで自分の家のように誘ってるんですが?

いや、陽菜は彼女だから良いというか嬉しいというか‥‥

ああもうどうにでもなれだ!


直也「ゲームとな?ふふふ‥‥久しぶりに全員揉んでやるか」

えり「胸を揉んでくれるらしいぞー!」

リナ「キャ~!変態!(ハート)」


何故か離れた所で太郎くんと話していた幼子先輩が反応していた。


直也「変態!大いに結構!」


マラソン金メダリストだからもう少しまともな人かと思っていたけど、案外とっつきやすい良い人かもしれないと思った。


部屋に集まった6人は、自己紹介もそこそこに、ずっと仲間だったかのように普通に宇宙の絆Ⅲについて話していた。


直也「俺は今美菜斗師団にいるよ。階級は既に大尉だ!えっへん!」

和也「もしかしてテストプレイ無しでもうそこまで上がっているんですか?」

太郎「それは凄い。僕よりも早いですよ」

直也「え?テストプレイで少尉から始めたんだけど‥‥」

えり「ま、坂本ならそんなもんだよね」

直也「いやちょっと待て!大尉って凄いだろ?士官だぞ士官!オリジナル機にも乗れるんだぞ?」

陽菜「あははは‥‥」

えり「この人中将でかっち旅団の団長なんだけど?陽菜だって既に少将だし、こっちのちっこいのだって少将だぞ?」

リナ「そうなのだぁ~ってちっこいのってなんじゃぁ~」

えり「ついでに私も准将じゃ」

太郎「僕だって訓練兵から始めて既に中尉ですよ。追い抜くのは時間の問題です!」

直也「えっ‥‥くっそ!マラソンなんかしてるからダメなんだ!明日からトレーニングなんかしねぇ!俺はゲームがしたいんだぁー!」


どうやらこのオリンピックマラソン金メダリストの坂本さんは、マラソンよりもゲームを愛する人のようだ。

雲の上の人って思いが強かったけど、好きになれそうな身近な人だと思った。


えり「ふっ‥‥だったら時間がある時は此処に集合だから」

直也「うむ。しかし流石にそんなには来られないと思うから、無理な時は代わりの者をこさせる事にしてもいいか?」


えり先生は俺の方を見た。

俺がオッケーを出せば、これからこの坂本さんか、或いは代わりの者が此処に遊びに来るというわけか。


和也「みんなで集まる時なら別にかまいませんけど、代わりの者って誰ですか?」

直也「ふっふっふ‥‥それは!」

和也「それは?」

直也「俺の分身だ!」


えっ?

言っている意味が分からないのですが‥‥


えり「ああ、息子か。そういえばそろそろ小学生だっけ?」

直也「うむ。来年から通う事になっているが、今はまだ5歳だ」


いやちょっ!

これって俺達に子守りをさせるって事じゃないかな。

まてまてまて。

そんな事になったらまともにゲームできないかもしれないじゃないか。

それだと他のメンバーが反対するに決まって‥‥


陽菜「わー!直幸くんだよね。会うの久しぶりだなぁ~」

えり「父親に似ずとても優秀な子だって聞いてるわ」

リナ「きゃぁ~!5歳の男の子ってぇ~!会いたい会いたいぃ~」


みんなかなり乗り気だった。

もうどうにでもなれだ。

そんなわけで、俺達に新たな仲間が加わる事になった。

ゲーム名『俺』の坂本直也&直幸は、後日ジークと美菜斗に話を通して、我が旅団への移動が決まった。

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