新生スサノオと俺達のやり方
時は少し前にさかのぼる。
俺達が中国にコテンパンにやられた直後、ロシアのプレイヤーたちは悩んでいた。
第3エリアは膠着状態だし、このまま中国だけ抜け出すのも面白くないと。
時を同じくしてドイツのプレイヤーたちも悩んでいた。
フランスとの闘いが徐々に本格化し、今ロシアに介入されたらマズイと。
そこでドイツが、ロシアに話を持ち掛けた。
中央エリアでの侵攻をサポートするから、日本を攻めたらどうかと。
ロシアは第3エリアでは強いが、その他での領域は無きに等しい。
今弱っている日本を倒せば、第4エリアもロシアが手に入れられる可能性があるのではないか。
そしてドイツは第3エリアでの一時休戦を提案したのだ。
ロシアはそれを受け入れ、同盟関係はないが密約が交わされていた。
そんな事を知らない日本は色々と策を練っていた。
美菜斗「ドイツには断られてしまいました。お互い良い関係を築けていると思っていたんですがね」
ジーク「この前はなんとかロシアを追い返したが、再び戦力を増やして侵攻してくるという話がある。」
サイファ「中国も気になるし、早急になんとかしなければならないんじゃないかな」
グリード「対ロシアでドイツと協調できないとなると、フランスも無理だろうな」
紫苑「エリアは違うがイギリスはどうだ?」
ビューティフルベル「最も現実的な線かと思うけど、あそこはプレイヤーキルをやり始めた国だし、深くかかわらない方が良いかもしれない」
サイファ「確かにスキを見せたらやってくる連中だと思う。だったら、行動は共にしないが対ロシアで緩く協力するというのはどうだろうか」
ジーク「その辺りが落としどころだな。よし美菜斗、イギリスと上手く話してみてくれ。お互い少し助けられる所があれば助ける、その程度でいい。」
美菜斗「イギリスもそろそろ他に進出したい時だし、それくらいなら可能性はありますね」
この相談をした次の日、既に同盟関係ではあったが、一段上の日英同盟となっていた。
ちなみに同盟は色々な条件で結ぶ事ができるが、総じて言えるのは『お互いを攻められない』という『不戦条約』であるという事。
共に何かをしようというのは、直接交渉の口約束に過ぎない。
『絆Ⅱ』では同じ軍として共同戦線も張れたが、言葉の壁などがあるためゲーム仕様としては無くされていた。
この日の会議も終わり、今度は俺達の作戦会議の時間になった。
カッチ「えっと、ちょっとうちの旅団も色々パワーアップしていこうと思っている」
じぇにぃ「なにすんのぉ~」
月読命「あてにされていない俺らだ。この士官の数でなにができるんだよー!イジイジ」
カッチ「俺達の旅団は確かに士官が少ない。でも資源は豊富に持っている。今までは活躍できない分資源をできるだけ他の師団で使ってもらおうなんて思っていたけど、俺達も強くなって良いんじゃないかな?」
月読命「これ以上は艦船も増やせないし、この要塞の人型所持数も限界まで増やした。他に何に使うんだ?」
俺は先日のロシア戦で気が付いた事がある。
太郎くんがとにかくコストのかかる人型に乗っていたが、決してスピード機や瞬発力機に乗った時よりも弱くなっているとは思えない。
むしろコスト相応に強くなっていたのではないだろうか。
確かに得手不得手もあるから無理強いはできないが、得意な中で最高の装備ってのがあるような気がする。
テクニックを持ったパイロットでも、重火力機や防御機に乗っても良いのではないだろうか。
カッチ「これはあくまで俺からの提案なんだが‥‥」
俺は思う所を話した。
まず旗艦のヤマトGは今の機動性を維持しつつ、資源をかければ搭載人型50機くらいまで増やす事ができるだろう。
ついでにレーザー砲の威力も増やせそうだ。
天照皇大神の艦船高天原は、軽量化とパワーアップで更に速くできるかもしれない。
他の艦も最大の100機搭載にしても、資源をかければ今と同じパフォーマンスは維持できるだろう。
次に人型だが、得手不得手はあるが、もっと資源をつぎ込んで色々試してみたらいい。
もしかしたらもっと自分にあった愛機になるかもしれない。
じぇにぃ「そぉ~だねぇ~しばらく色々試して模擬戦大会でもするぅ~」
爽真「いいですね。じぇにぃさんの提案に賛成です」
月読命「どーせ俺は量産機だよー!メソメソ」
カッチ「割と早く昇給してるじゃん。この前の時に一等兵に上がってたんだろ?きっともうすぐだ!頑張れww」
天照皇大神「わたしもぉ~人型に乗っちゃおうかなぁ~」
月読命「止めてー!」
カッチ「いいじゃん!どうせ資源は余ってるし、模擬戦くらいやってみようよ」
月読命「どうなっても知らんからな」
ちょっと月読命の言葉が怖かったので、天照皇大神には辞退してもらった。
そんなわけで皆試行錯誤してできた機体で、模擬バトルをする事になった。
俺達の機体は、パワー型から防御型ベースに変更し、パワーアップは右腕と移動系に集中させ、盾も一回り大きな拡散ビーム付きに変更した。
陽菜が絆Ⅱ時代に使っていたのに似ているが、それよりも一回り大きい。
そしてフェンネルを7機積んでおく。
操作担当も変更し、陽菜には防御(盾)と移動を担当してもらう。
俺は攻撃のみで、主にフェンネルの操作とそれによる攻撃に集中する。
そして基本的には他の人型の援護を中心に戦う。
ファンネル7機は集めて同じように動くよう設定し、俺が操作してそれにより攻撃。
それで周りの仲間を助ける。
美鈴のように全体を見て支持を出すのは難しいし、あまりみんなの行動を制限もしたくない。
ただ気づいた所で助ける戦いはできるはずだ。
機体のベースを防御機にしたことで、少々の攻撃ではペースを乱される事はない。
今までは陽菜の防御も一度攻撃を食らうとペースを乱してダメになる事があった。
しかしこれでそれは無くなると思う。
更に盾へのダメージも減らせるので、陽菜の防御力が加わればおそらく俺達が落とされるなんて事はまずないだろう。
それを試す為に、俺は太郎くんに頼んで、瞬発力型の機体で対戦してくれるようお願いした。
カッチ「模擬戦はやられようが何しようが関係がないただのゲームだ。全力でかかってきてくれ!」
爽真「それじゃいきますよ。俺の楽勝です」
相手はバトルグリード4で優勝している太郎くんだ。
その時ドリームやカズミンも破っている。
一生くんとどちらが強いかは分からないけれど、他国のエースと比べても遜色ない強さを持っているはずだ。
何処まで通用するか。
模擬戦が始まった。
俺達の機体はさほど速い機体ではないので、まずはフェンネルだけを発射し様子をうかがう。
太郎くんは速いというよりは精密機械のような正確な動きで徐々に近づいてくる。
こちらは基本ミドルからロングレンジで戦う機体と言えそうだが、しかし接近されても守りは強い。
正面に来た太郎くんの機体は、急に動く速度を上げて視界から消えた。
和也「はっや!」
陽菜「でもこれだけこっちの機体が安定していたら、盾でどんな攻撃も止められるよ!」
陽菜の言う通り、後ろを取られたにも拘わらず、盾がビームソードを止めていた。
すぐに俺はソードで斬りつける。
そんなに速い攻撃ではないが、相手は速い攻撃でまだ機体が安定していないのか、太郎くんはかろうじてギリギリの所で俺の攻撃をかわした。
すかさず陽菜が拡散ビームを放つ、更に太郎くんは後ろへ回避し、再び機体の間合いは広がった。
俺は連続してフェンネルで攻撃する。
又も交わされたが、お互いの距離はドンドン開いていた。
和也「どうやら攻撃と攻撃がぶつかった時、或いは攻撃と防御がぶつかった時は、パワーの無い方、或いは両方に操作ブランクがわずかに生まれるみたいだな」
陽菜「攻撃により盾が押される状況だと五分なんだけど、これだけ盾が安定すると向こうだけブランクが生まれるみたい」
和也「でもそれでもかわしてくる辺り、太郎くんはやはり上手い。伊達に量産機で死ななかったわけではないという事だな」
再び太郎くんが襲い掛かってきた。
模擬バトルの結果は時間切れ引き分けだった。
どちらも無傷、とは言わないが、盾への蓄積ダメージ以外のダメージは両者存在せず、俺達は負けなかった。
むしろこれは勝ちと言ってもいいくらいだったと俺は思う。
何故なら、おそらく今の太郎くんはかなり疲れているだろう。
しかし俺達にはまるで疲れはなく、余裕の戦いだったのだ。
2対1だと言ってしまえばそれはそうなのだが、おそらく2対2であったとしても、この結果は変わらなかったと思う。
他の仲間も、色々な組み合わせでバトルした。
みんなパワーアップ効果を感じられる程度には強くなっている気がした。
それでも俺達は誰からも攻撃を食らわなかった。
カッチ「そろそろ12時か。じゃあみんな、今日の模擬戦を踏まえて、好きな機体を完成させてくれ。艦長は艦船をよろしく」
じぇにぃ「なんかぁ~とってもいい感じかもぉ~」
月読命「ああ、俺も3倍強くなった気がするぜ」
天照皇大神「流石久弥く~ん 戦ってないのに凄いよぉ~」
悪即斬「本当に悪即斬できそうだぜ」
爽真「くっそ!僕が全くダメージを与えられないなんて初めてだ」
クシナダヒメ「ぐふふ、私の山田のお餅が大きく膨らみます」
このみ「団長!了解であります!」
町田中尉「チュー!」
沖田艦長「了解した。全艦に通達しておく」
カッチ「爽真はもしかしたらラブリナの方があってるのかもな。では俺達は俺達のやり方で、楽しんで強くなろう!」
新生カッチ旅団がスタートした。




