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宇宙の絆Ⅲ  作者: 秋華(秋山 華道)
21/44

告白

宇宙の絆Ⅲでは、攻撃側よりも防御側の方が有利だ。

理由の一つは、要塞などの防御システム。

近づく敵に自動で攻撃する。

要塞によっても異なるし、コロニーではこれがほとんど機能しないが、強固な要塞では要塞に近づく事さえ困難になる。

だからまず攻める側は、要塞の防御システム、例えば砲塔などを破壊していく事から始める。

次にハッチ(出入口)の破壊だ。

ハッチの無い要塞も存在するが、概ねこれを破壊しないと要塞内には入れない。

防御側の人型が出てくる場合そのハッチは開放されているが、出撃する人型の数が多いとそこから入るのは困難だ。

いくら喧嘩の強い人でも、満員電車内で全てを殴り倒すなんて事はできないだろう。

要塞内に入ったら、次は指令室を目指す。

要塞内にも防御システムがあり、これも破壊しながら進まなければならない。

中に戦闘フィールドがあったり、人型格納庫、艦船ドックもあるので、この辺りで人型と戦闘になる場合もある。

もちろん最初から人型で待ち伏せしたりもできる。

更に進むと防御システムがなくなり、ただの通路が続く、その終点が指令室だ。

通路は迷路のようになっている場合もある。

もちろんこの通路で防衛する人型もいて、それが得意なのがテストプレイで遭遇した紫陽花師団所属、今は777777要塞の防衛についているアブサルートだ。

指令室につくと、特定の操作をする。

この時にやる事はランダムで色々とある。

難しいものから簡単なものまであるが、時間さえかければ誰でもできる。

少し例を挙げると、パスワードを解いたり、簡単な謎解きやクイズだったりする。

これを得意とするのが、『絆Ⅱ』で紫苑軍にいた『美夏』って人らしい。

このように色々な防衛システムの存在が、防衛側が有利な理由の一つである。

そしてもう一つが人型を多くストックできるという事だ。

攻める側は当然艦船に搭載できる人型の数に限界がある。

俺の旅団だと全部で150機程度が限界だったかな。

一方ただの要塞でも100から500の人型が置いておける。

特殊な要塞や有人要塞では1000機可能だ。

ドッキングしたメガ要塞、つまりジークがいたスコーピオン要塞ならなんと5000機収容可能。

守りは当然固くなる。

しかしプレイヤーがいなければ戦いには出られない。

そこであのゾンビ戦法だ。

地上戦では死んでもすぐに復活できたし、戦闘不能となった人型が回収されれば乗り換えて出撃も可能だから、無限に予備機のある地上だと効果的だった。

宇宙でもストックさえ多ければ似たような事が可能で、死んですぐの出撃は無理だったが、人型の回収作業に力を入れる事で可能にしていた。


それで今回、このメガ要塞には多くの人型がストックしてあったと思うし、プレイヤーも多かったが、中国軍の方がそれを上回るだけの兵力を集めてきたわけだ。

それも圧倒的に。

ちなみに我が日本軍でも、今回の作戦で7000機の兵力が集められているが、数は中国軍の方が上である。


ここまで話したのでもう少し要塞戦の事についてルールの説明をしておこう。

今回ジークは脱出して逃げる必要があった。

普通のプレイヤーは、要塞を捨てるつもりなら逃げる必要が無い場合もある。

死亡扱いにならない条件は、1、要塞内にいる(要塞内でも艦船や人型に搭乗していない)状態で戦闘前からログアウトしている事、2、要塞内でも人型や艦船に搭乗している事、である。

ただし1の条件は、元帥と大将を除く。

だからジークは2の条件を満たせば死なないわけだが、その後脱出する必要はある。

要塞が占領された後でも脱出は可能だが、助け無しには事実上不可能だ。

確実に敵にやられるから。

つまり今回、敵が近づいてくる前に逃げるしか手はなかった。

しかしジークは、これほどの大軍で攻めてくるとは考えておらず、この要塞の防御力も高い事から油断していた。

目視してその数を確認してから逃げるのでは遅かった。

指令室から脱出艇、或いは人型や艦船まで移動し、それを発進させなければならない。

ここまで近づいている敵の前で、脱出艇単騎で逃げてもまずやられる。

護衛に人型を付けても、スピードで艦船が勝るので逃げきれない。

人型で逃げても同じだ。

艦船でなら逃げられるが、艦船は初動が遅いため発進に時間がかかる。

最初に要塞で敵機の襲来を見つけた時、直ぐに逃げていれば間に合ったが、まさかの大軍を見た時には遅かったのだ。


俺は敵のエースパイロット、関羽の攻撃にもうなすすべがなかった。

その時だった。

俺を守ってくれたのはチョビのガードナーだった。


和也「陽菜!」


チョビ「ここは私が食い止めるから、ジークさんをつれて早く行って!」

月読命「俺は死んでも大したことねぇぜ!死んでも食い止める!あれ?俺かっけぇー!」

天照皇大神「久弥くんかっこいい~」

じぇにぃ「私も援護するよぉ~」


俺は通信する余裕がなかった。

とにかく無我夢中でジークを守りながら、なんとか高天原に搭乗した。

俺は振り返って陽菜の様子を確認した。

向こうでチョビのガードナーが関羽にやられているのが見えた。


カッチ「チョビ!お前も早く来い!」

チョビ「もう戦闘不能状態だよ。発進させて」

月読命「俺もダメだ!行け!」


和也「くっそ!」


俺は少し涙がでてきた。

何故今回は別々の人型に乗っていたのだろう。

一緒ならもしかしたら関羽を押さえられたかもしれないのに。


カッチ「あとは沖田艦長頼む!アマテラス発進だ!」

天照皇大神「がってん!久弥くんたっしゃでなぁ」

沖田艦長「うむ。まかせておけ」

光合成「ログインしたらまさか戦闘中とはな。まあまかせておけ」

カッチ「お、おう!」


そういえばえり先生は、要塞に降りるのが面倒とかでいつも艦船内でログアウトしていた。

だからそのまま連れてきていたんだったな。

なんとなくえり先生がいるなら大丈夫な気がして、少し安心した。


その後はとにかく逃げる逃げる。

敵の追跡艇が追いかけてきていたが、とにかく高天原は速かった。

追跡艇はゲーム設定の仕様としては最速である。

その追跡艇と同じくらいのスピードがでる高天原は、自軍領内では逃げる事に関して無敵だった。

追跡艇すら振り切って、なんとか逃げる事に成功していた。


カッチ「どうやら逃げ切れたな。しかしアマテラスの逃げはすげえな」

じぇにぃ「すごぉ~い!」

天照皇大神「レースゲームしてるみたいで楽しいよぉ」

月読命「敗走させたらナンバーワンだからな!ってか死なずにすんだよぉーえーん!」

チョビ「こっちは光合成さんに回収されて無事だよ」

光合成「その他残っているメンバー、拾えるだけ拾った」


えり先生は『絆Ⅱ』の頃、どうにもならない上官の元で大活躍していたらしい。

第一線での活躍ではなかったので名前もあまり知られていなかったが、ギリギリの所で強い人だと陽菜が言っていたな。


カッチ「ありがとう。とりあえず何処に行こうかな。アルタイル要塞かビスケス要塞か‥‥」

チョビ「第2エリアに行った人たちの状況を聞いてみよう」

カッチ「だな」


こうして俺達は脱出作戦に成功し、アルタイル要塞で皆と合流した。


韓国が裏切り、中国にしてやられたあの戦いから、数日が過ぎていた。

俺達は自分たちの本拠地へと戻っていた。

このアンタレス要塞も中国に攻められていたが、呼んだでござるか?達がギリギリの所で守り抜いてくれていた。

しかしスコーピオン要塞、そしてミルファク要塞とアルニラム要塞も中国に奪われ、先ほど第7メガ要塞『キャンサー』が第2エリアに現れていた。


和也「中国にやられちまったな」

陽菜「うん。でもまだ勝負はこれからだよ」


陽菜の笑顔を、今日は何故か直視する事ができなかった。

あの時、チョビのガードナーがやられた時、俺は陽菜の存在の大きさに気づかされてしまったのだ。

俺は無意識に言っていた。


和也「陽菜、俺の彼女になってよ」

陽菜「良いよ」


陽菜の返事は何の迷いもなく、極自然な会話の中での一言のように感じられた。

俺達は何事もなかったかのようにその後もゲームをしていた。

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