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宇宙の絆Ⅲ  作者: 秋華(秋山 華道)
19/44

大規模作戦

日韓同盟締結から少し時が流れ、既に季節は春になり、ゲーム開始から1年が経過していた。

リアル世界では新型のウイルスが猛威を振るっているようだったが、俺達はゲームの中にいるので関係がなかった。

韓国と同盟関係となり共に中国に対峙したことで、なんとか第4エリアへの中国の進出は防ぐ事ができた。

とりあえず今の所は、日韓同盟は成功したと言えそうだ。


そして俺達の本拠地だったアウストラリス要塞も、第11メガ要塞『スコーピオン』へと進化を果たしていた。

そこで配置の変更をする事になり、俺たちの本拠地はアンタレス要塞となっていた。

みんなには内緒だが、これは俺の希望でそうなった。

第4エリアから遠い方が安全そうだし、アンタレス要塞の方が動きやすそうだったからね。


月読命「怖いよー!最前線はいやだよー!穴に籠りたいよー!」

天照皇大神「久弥くんならぁ大丈夫だよぉ。ほら、昨日も猫のみぃちゃんとの喧嘩に勝ってたしね」

悪即斬「猫と喧嘩とか、子供かよ」

呼んだでござるか?「ん?呼んだでござるか?」

カッチ「お前もか!ww」


俺達は割と楽しくやっていた。

とりあえず我が日本軍が中心の第4エリアは落ち着いている。

次の目標としては、残り2つの有人要塞をメガに進化させる事だが、一方は同盟国のイギリスが持っているので当面狙うつもりはない。

もう一方は中国が持っていて、こちらは同盟国ではなくむしろ敵国だが、せっかくこの所落ち着き始めた相手だし、我々としては力を蓄える時期と考えていた。

それに量産型機によるゾンビ戦法も、所によっては厳しくなってきている。

おそらくそろそろ攻撃に出る国が増えてくるはずだ。

戦略の切り替え時期が迫ってきていると言えよう。


第1エリアのアメリカとオーストラリアは、有人要塞の所有国は変わっていないものの、アメリカが徐々にオーストラリアを押してきている。

第2エリアのインドと中国は小競り合いがあるだけで、本気でぶつかっている様子はなかった。

で、最近最も動きが大きいのが第3エリアのロシアとEUである。

一時期ロシアがかなり押されていた。

それはそうだろう。

多数の国を相手にしていたわけで、いつ有人要塞が落とされても不思議ではない状況だった。

しかしEUが目に見える形で強くなってくると、その中で主導権を取ろうとする国が増えてくる。

気が付けばEU同盟は終わりを迎え、その機を待ってたとばかりにロシアが大攻勢をかけた。

狙われたのはイタリアで、なんとプレイヤーキルを躊躇なくやってくるロシアの猛攻に元帥がやられ、イタリアは滅亡、ベラトリックス要塞はロシアのものとなっていた。

他にも元帥がやられたり、拠点を失くしたりしている国が多数でてきていた。

第6エリアではブラジルとアルゼンチン、更にイランとサウジアラビアが全面戦争を始め、共に有人要塞を持たないアルゼンチンとサウジアラビアが負け、そしてゲームオーバーとなっていた。

第5エリアは南アフリカとイギリスの小競り合いが続いていたが、こちらも大きな変化はなく、そして中央エリアではモンゴルがゆっくりと勢力を伸ばしていた。


我が日本軍は、最も安全と思われるスコーピオン要塞に本拠地を移し、そこにジーク元帥軍を置いた。

ビスケス要塞は美菜斗師団、アルタイル要塞はそのままビューティフルベル師団が、ミアプラキドゥス要塞もそのまま紫陽花師団が、アルニラム要塞もそのままサイファ師団が管理していた。


そんな中、ある日突然仕様変更が発表された。

プレイヤーキルの減点ポイントを廃止するというのである。

その代わり、24時間後の復活に際して訓練兵から始めるというルールは廃止され、二階級降格に留められた。

1ヶ月後なら同じ階級でスタートというルールも廃止される。

大将が死んだ場合のルールに変更は無いが、それ以外は『死んだら二階級降格で24時間休み』というわけだ。

師団長や旅団長が死んだ場合、後を別の人に引き継ぐルールに変更はない。

仕様変更は1週間後と定められた。


サイファ「絆Ⅱの時とは逆だなw」

紫苑「あの時は色々ギリギリだった(^0^)」

グリード「そういや何かやってたんだったな」


和也「何かあったのか?」

陽菜「うん。実はプレイヤーキルをする作戦、紫苑軍でやったの」

和也「マジか!でもそれにしては紫苑軍メンバーは賞金をしっかり貰っていたように思えたが?」

陽菜「ペナルティが作られる前にね。それが原因でペナルティができたの」

和也「そうだったんだ。しかしよく反感を買わなかったな」

陽菜「結果的にやられた人とウィンウィンになるよう考えてたからね」

和也「それでその時できたペナルティが、今また廃止という事か。やるやつ増えそうだな」

陽菜「多分それが狙いだと思う。流石に世界戦だとプレイヤーが多すぎるし、それでもプレイヤーキルする勢力は有利になるから」

和也「現にプレイヤーキルをやっているイギリスとロシア、まあ韓国も入れて勢力を伸ばしたもんな」


まあしかし、俺達には大して影響がないと考えていた。

ただ少し攻撃側が有利になって、守るのが難しくなるというだけだ。

いやむしろスッキリして守れるから良いかもしれない。

今はキルしてくるかしてこないかを考えないといけないわけだが、今後はするものだと割り切って考えられるからだ。

そもそも要塞戦なら守る方が有利なのは変わらないし、俺はあまり気に留める事はなかった。

しかしこの後、この決定が俺達に大きく影響してくるのだった。


次の日、韓国から大掛かりな大作戦が持ち込まれた。

それはそう簡単に決められる作戦ではなかったので、夕方集まったメンバーでどうするか議論されていた。

極秘作戦となる可能性もあり、メンバーは極一部に限定されていた。


美菜斗「韓国の作戦ですが、第2エリアの中国への大攻勢です。作戦の詳細はこれから話しますが、成功する可能性はかなり高いでしょう」

ジーク「何故今なんだ?もうすぐプレキル解禁されるわけだから、この1週間は何処もおとなしくなると予想するが?」

美菜斗「韓国軍の某将官の話によると、だからこそ今だという事です。つまりプレイヤーキルの効果が一番高いのが今なんです」

グリード「なるほどな。流石に今はやってこないと思っている所でやるわけか」

サイファ「それなら確かに今である理由は分かるが、とりあえず作戦詳細を聞いてからだな」

美菜斗「では説明します。まず‥‥」


美菜斗の話だとこういう事だった。

日本のほぼ全軍でミアプラキドゥス要塞付近の777742要塞のデブリ帯を突破し、レグルス要塞を攻めるフリをする。

当然中国は慌てて守りに入るだろう。

中国の戦力がレグルス要塞に集まったタイミングで、韓国軍が全軍で、ミルファク要塞付近の777762要塞のデブリ帯を突破しアダーラ要塞を攻め落とす。

日本はまじめに戦う必要がなく、被害を最小限にして、ある程度時間を稼げれば後は撤退してもいい。

帰りはデブリ帯突破ができない可能性があるが、中央エリア経由でも第4エリアまで戻るのに2時間もかからないだろう。

韓国が果たしてアダーラ要塞を落とせるのかどうかは分からないし、もしかしたら韓国軍の壊滅すら考えられる。

韓国のリスクは高いが、日本のリスクはほとんどなさそうだ。


和也「ちょっとマップを確認してみる事にしょう。今回は3Dでややこしいからな」

陽菜「そうね。今回は101エリア×101エリア×101エリアの立体マップだからね」

和也「一つずつ整理していこう。まずサイコロを27個用意して考えると分かりやすい」

陽菜「3×3×3で積み上げて出来上がった立方体を宇宙全体として考えるのね」

和也「上を1、手前を2、左が3、右が4、奥が5で、下が6になるように置く」

陽菜「この時、上に乗ってる9個のサイコロが、だいたい第1エリアだね」

和也「その分のサイコロをそのままの形で取り除こう。そして次に手前にある6個のサイコロが第2エリアだ」

陽菜「それを取り除き、左側の4個が第3エリア、右側の4個が第4エリア」

和也「それらを取り除き、奥の2個が第5エリアで、最後に残った上の1個が中央エリア、下の1個が第6エリアだ」

陽菜「まず第1エリアの有人要塞の位置を確認すると、真ん中のサイコロの6の目の真ん中が第1有人要塞『アケルナル』」

和也「手前真ん中の6の目の真ん中が第2『スピカ』、左真ん中の6の目の真ん中が第3『ポルックス』、右真ん中の6の目の真ん中が第4『フォーマルハウト』、奥真ん中の6の目の真ん中が第5『デネブ』だな」

陽菜「第1エリアの有人要塞は綺麗な十字に配置されているから分かりやすいね」

和也「次に第2エリアは、上真ん中のサイコロの5の目の真ん中が第1『ハダル』、1の目真ん中が第2『ミモザ』、左上5の目真ん中が第3『トリマン』、右上5の目真ん中が第4『レグルス』、下の真ん中の5の目真ん中が第5『アダーラ』だ」

陽菜「1つのサイコロエリア内に2つの有人要塞があったりするのね」

和也「第3エリアは、手前上のサイコロの4の目真ん中が第1『アクルックス』、1の目真ん中が第2『カストル』、2の目真ん中が第3『シャウラ』、奥の上の4の目真ん中が第4『ガクルックス』、手前下の4の目真ん中に第5『ベラトリックス』だ」

陽菜「ここは1つのサイコロエリア内に3つの有人要塞があったりする。これは第4もそうね」

和也「第4は第3と鏡に合わせた感じだから省略するよ。名前は順番に『アルタイル』『エルナト』『ミアプラキドゥス』『アルニラム』『アルナイル』だ」

陽菜「ただ厳密にはデブリ帯は真っすぐじゃなく、やや第4エリアより第3エリアの方が広いから、あくまで分かりやすくだいたいだね」

和也「第5エリアは上のサイコロ2の目の真ん中が第1『アルデバラン』、1の目真ん中が第2『レゴール』、3の目真ん中が第3『アリオト』、4の目真ん中が第4『アルニタク』、下の2の目真ん中が第5『ドゥーベ』だ」

陽菜「今度は1つのサイコロに4つの有人要塞があるね」

和也「最後に第6エリアは、サイコロ一つ分のエリアで、6以外の全ての目の真ん中にそれぞれの有人要塞がある。名前は順番に『アンタレス』『ミルファク』『ウェズン』『アウストラリス』『アルカイド』だ」

陽菜「一番分かりやすいエリアだね」

和也「これを見て分かる事は、中国の有人要塞、そして勢力を伸ばす第5エリアは離れているから、援軍を送るのに時間がかかるって事か」

陽菜「つまり中国は同時に攻撃された時に弱いともいえる‥‥」


サイファ「しかしこれだけ大規模となると、中国に作戦が洩れるリスクが高い」

グリード「韓国が裏切る可能性はないか?」

美菜斗「同盟は破棄に1週間を要しますから、この隙に韓国が攻めてくるなんて事はできません」

ジーク「情報はむしろ漏らしてもいいんじゃないか?それで韓国が滅んでくれたら俺としてはアリだな(笑)」

ビューティフルベル「インドはどうするの?第2エリアを荒らされるのは困るんじゃない?一応話は通しておくべきだと思うけど」

ジーク「インドに協力を頼むのもありかもな。トリマン要塞を攻めてもらえれば、中国の戦力が分散して、ガチでレグルス要塞が取れる可能性がある」

グリード「そしたらまたメガ要塞が増やせるな」

紫苑「しかし韓国を信用しすぎるのも何か怖い。インドには話を通しておくだけで良いと思う」


和也「陽菜はどう思う?確かに上手く行けば中国が一気に戦力ダウン、或いは滅亡の可能性さえあると思う。でもそんなにうまくいくかな?」

陽菜「どうだろうね。中国は第5エリアに2師団いるから、3つの有人要塞を4師団で守る事になる。こちらはインドが協力すれば、戦力は3倍を超えそうだけど‥‥」

和也「日本は別に勝つ必要もなく、最悪逃げればいい‥‥逆に中国が第4エリアに攻めてくる可能性はないかな」

陽菜「攻略の時間を考えると、最低でも2:1の交換、インドも参戦すれば3:1の交換になるから、やらないと思うけど‥‥」


机上では上手く行きそうな作戦だ。

でもなんだろうか不安が残る。


サイファ「やるとしてどういう編成になるんだ?」

ジーク「そうだな。最低限の守りだけ残して、5師団全てで行ってもいいかもな」

グリード「逆に中国が攻めてきたら守れないんじゃないか?」

美菜斗「その分中国側も落としやすくなっているわけで、取り合いならこちらの方が有利ですよ」

ジーク「よし、この話を持ってきたのは美菜斗だ。お前にも参加してもらうぞ」

美菜斗「それは当然です」


こうして今週末、韓国と共に中国への大規模作戦が実行される事となった。

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