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宇宙の絆Ⅲ  作者: 秋華(秋山 華道)
18/44

日韓同盟

結局の所、俺の作戦は失敗していた。

勝てると思っていたのだが、俺達だけでアルナイル要塞は落とせなかった。

なんとあのデブリ帯を抜ける穴は、どういう条件なのかは分からないが、再び閉じる事もあるようなのだ。

だから人型の輸送が何度目かに止まり、攻略に時間がかかっている間に韓国軍が戻ってこようとしていた。

僅かに早く紫苑師団とジーク元帥軍の援軍が駆け付け、アルナイル要塞を落とすことには成功したわけだが、素直には喜べなかった。


和也「なんでだろうなぁ?また研究費に戻ってるぞ?」


俺は月曜日の昼休み、保健室で777764要塞のデータを確認していた。


えり「んー‥‥時間制限か、回数制限か、本当はまだ完成していないか‥‥」

和也「向こうの777746要塞も手に入れておいたから、これで安定するとかないかなぁ」


777746要塞は、ジークによって占領され、今は重要な要塞の一つとして管理されている。

当然向こう側の経費も『研究費』として少し多くコストがかかる要塞だった。


リナ「何度かテストで通り抜けてぇ~、それから安定するって事も考えられるねぇ~」

和也「とりあず、待ってりゃその内経費は『維持費』に変わるだろう。それからまた試してみるしかねぇな」


戦いの後俺達は、デブリ帯を抜けられなくなったので、帰ってくるのにかなり時間を要した。


和也「沖田艦長にはかなり悪い事をしたな」


同盟していない国の領域も通過しないとダメだったから、自動航行で戻ってくる事ができなかったのだ。

人型乗りは艦長に任せて寝る事もできたけど、きっと沖田艦長は徹夜だったろう。

ちなみに仕様上自動航行ができないわけじゃない。

危険があるからしなかったわけだが‥‥


リナ「気にしないぃ~気にしないぃ~気にしないぃ~」

えり「一休さん、今日は夜ONしてこないかもね」

和也「でも流石だな。ちゃんと帰投してるもんな。一休さんじゃなくて、沖田艦長」


まあなんだかんだとトラブルはあったものの、俺達の戦況はかなり良くなった。

韓国軍の大将2名の死亡は大きい。

今後韓国は日本だけでなく、他からも狙われる事になる気がする。

その他大勢の勢力になってしまっている国々は、その他大勢の勢力同士かなり激しい戦いをしていたりもする。

韓国はそこに落ちてしまったのだ。

しかも大将2名の死とくれば、俺なら間違いなく狙う。

第4エリアは日本の友好国も多い。

きっとその内のどこかの国が韓国を攻める、俺はそう思っていた。


しかし韓国に猛攻を仕掛けていたのは中国だった。

第5エリアをイギリスに追われたと言っても、まだまだ第5エリアの領域の多くは中国領だ。

その周りを南アフリカが囲う形で領域を広げている。

中国をバックにした南アフリカがイギリスと対峙しているようだった。

何にしても第5エリアで安定した領域を確保した中国は、第4エリアへの進出をうかがっていたようなのである。

そこに第4エリア第2位の韓国の失墜。

中国にとってはチャンスだった。


この日の時間はただいま午後7時。

全体チャットで日本軍の面々は、その中国への対応を議論していた。


サイファ「中国を恐れる国が多く、このままやらせたら中国にやられる」

ジーク「中国は敵も多いし、そう簡単じゃないだろwそれに韓国には俺たちかなりやられたからな。ざまあごらんあそばせ、だ!」

グリード「そうは言っても韓国が味方となれば、あの『キング』が味方だぜ!あの力は欲しい」

ビューティフルベル「その『キング』にうちはかなり殺されてるのよね。中には士官もいるのよ」


ビューティフルベルが感情で話すのも珍しい気がする。

これはそれだけ難しい問題なのかもしれない。

今話しているのは、韓国と同盟するか否かだった。

美菜斗の情報によると、韓国は日本との同盟を望み作戦を模索しているとの事。


和也「しかし、韓国が日本との同盟を望んでいるって本当だろうか」

陽菜「たぶん本当だと思うけれど、あれだけやった手前、言い出しにくくはあるよね」


だからこちらから同盟を持ちかけたらどうかと美菜斗が言うわけだけど、完全に意見は二つに割れていた。

確かに美菜斗のやり方は正しいと思う。

全部と仲良くして徐々に勢力を伸ばし、残り2国になるまで粘って最終決戦をするってのがシナリオだと聞いた事がある。

そこまでいけば優勝しなくても賞金は結構貰えそうだし、堅実なやり方かもしれない。

でも俺は同盟するべきではないと思ってしまう。

根拠はないんだが、嫌な予感しかしない。


最後は師団長プラス旅団長の投票で決める事となった。

賛成はサイファ、美菜斗、そして紫陽花も賛成した。

紫苑は反対だそうだが、ここは大将である紫陽花の投票が有効となった。

反対はジーク、ビューティフルベル、そして俺だった。

ここでジークは元帥特権を主張したが、階級で票に差をつけるなら俺の票が無効ではないかと主張され今日は投票では決まらなかった。

ジークは割と人の意見を尊重する人なのだと思った。

元帥なんだから決めてもいいんだけどね。


次の日、中国が第4エリアの日本領に攻めてきた。

特に重要な拠点でもなかったが、中国がいよいよ日本にも攻撃をしかけてきたわけだ。


サイファ「一刻の猶予もないんじゃないかな」

美菜斗「既に中国は敵となりました。敵の敵は味方ですよ」

紫陽花「難しい選択だけど、中国以外とはなるべく仲良くするべきかと」


ここでとうとうビューティフルベルが折れた。


ビューティフルベル「私はみんなに結論を任せるわ。ただしうちのメンバーは韓国と行動を共にするような事はできないと思う」


和也「まあそうだろうな。何ヶ月も攻められ続け、最後はプレイヤーキルだからな」

陽菜「それだけじゃなくて、キルされる時かなり嫌味なやられ方したらしいよ」

和也「感情的に嫌いにもなるわな」

陽菜「かっちゃんは反対だけど、やっぱりどうしてなの?」

和也「何度も言っているけど、勘としか言えないな。ただ、勝つためにはこれで良いと思う」


理屈で考えたら仲良くした方がいいのだ。

ただ‥‥そう、面白くないんだ。

ゲームを楽しむならこれは止めた方がいい。


ジーク「では決まったな。まあこれは俺も分からなくはない。美菜斗、後の交渉は頼む。」

美菜斗「承りました」

ジーク「それとそうそう、サイファ、グリード、説明してやってくれ!」

サイファ「了解。とうとうあのデブリ帯を抜ける領域の謎が解けたぞ。というか通路が完成したというか」

グリード「あの通路は両方の要塞を手に入れた時に開く」


和也「しかし今うちの要塞の方はまだ研究費に予算を使っている状態だぞ。それに一度は開発に成功していた」

陽菜「両方の要塞を持った状態で完成させないと、通れば再び閉じてしまうってことなのかも」


サイファ「エルナト要塞付近の777741要塞と、フォーマルハウト要塞付近の777714要塞は戦闘が始まる前から所持している要塞だ」

グリード「その両方所持したまま、おそらくはある期間研究を続けると通路が造れるようになる」

サイファ「そしてその時、先に手に入れた要塞側に新しい選択肢が用意されるようだ」

グリード「現在777741要塞には、『統合』というコマンドが用意されている。これで何かが起こるはずだ」

サイファ「それを今から行ってみるから、まあ確認したい人は要塞をチェックしてみてほしい」


和也「陽菜、そっちを要塞画面に切り替えてみてくれ」

陽菜「うん。ちょっと待って」


ゲーム画面に要塞と要塞の主なデータが表示された。


サイファ「では統合してみます」


その言葉の後、少しすると要塞データが更新された。

しかしそこに大きな変化は見受けられなかった。


和也「何も変わらないな‥‥」

陽菜「調べてみるね‥‥研究費も維持費も無く、だたの要塞に変わってる‥‥」


どういう事だ?

統合というからには何かが一緒になっているはずだ。

普通に考えれば777741要塞と777714要塞が一緒になっているはずなのだ。

他に統合される要塞なんて‥‥


和也「もしかして有人要塞がドッキングって事ないよな。ほら半球状の形してるし」

陽菜「もしかするかも‥‥」


半分冗談のつもりで言ったのだが、陽菜の反応を見てその可能性が高いと感じた。

と言うかそもそも、半球状の有人要塞同士で合体する可能性は広く言われていた事だった。

それなのに近くの別の要塞が特別な仕様だった為、元々言われていた可能性を頭から除外していたのだ。


ジーク「おいおい、有人要塞が一緒になってるぞw」

サイファ「結局こっちかよ」

ビューティフルベル「統合コマンドを実行した側の領域にドッキングした有人要塞ができるのかしら?名前は第3メガ要塞『ビスケス』だって」

グリード「この調子で全部統合すれば第12メガ要塞までできるな」

美菜斗「全体的に資源が消費されていますね。もしかすると一定量資源に余裕があって、統合に関係する4つの要塞を全て手に入れたら統合コマンドが現れるのかもしれません」

紫苑「反対側の領域には普通の要塞ができてる(^0^)」


和也「しかしこれは、どっちが良いか考える所だな」

陽菜「規模は月に近いわね。統合によって資源が半分程度まで減っている。つまりこの倍くらいないと統合はできないって事か」


という事は、こちらの統合はしばらく先になりそうか。

その時、俺達もほぼ第4エリアにいるのと同じって事になる。

個人的には正直面倒な事になりそうだなと思った。

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