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宇宙の絆Ⅲ  作者: 秋華(秋山 華道)
17/44

カッチの作戦

作戦決行の日、又も何故か幼子先輩とえり先生がうちにきていた。


和也「なんで家にきてるんだよ!」

リナ「いいじゃんいいじゃん!祭りじゃないぃ~!」

えり「お土産も持ってきてやったろ?」


そう言ってえり先生は北海道土産として有名な木彫りの熊をモニターの前に置いた。


和也「邪魔だって!つかそれ貰って俺にどうしろと?」

えり「えー可愛いじゃん!」

和也「ああもう。とりあえずモニターの前からどけてよ!」


俺の部屋は賑やかだった。

21時までは風呂に入ったり、飯を食ったり、急襲してきた2人は我が家のように遠慮なくくつろいでいた。

しかし21時が近づくにつれ、徐々に意識がゲームに集中していくのが分かる。

そして21時少し前に777764要塞を出発し、デブリ帯の前で待ち構えた。


えり「確かに何か違うわね」

リナ「はっきりとあやしぃよぉ~」

陽菜「でもこの距離まで近づくとちょっと分かりづらいかも」


韓国軍はまだアルタイル要塞には現れていない。

しかし既に我が領内に入ってきており、行動は手に取るようにわかる。

そして21時を少し過ぎた時、軍内情報として左上にメッセージが出た。

『アルタイル要塞で韓国と激突』

さあいよいよだ。

俺は状況を確認する。

全体チャットで尋ねた。


カッチ「アルタイル要塞はどんな感じ?」


するとビューティフルベルさんが返事をくれた。


ビューティフルベル「いつもより気合が入っている気がするわ。数がいつもより多い。人型ももうすぐ全て出撃を終えそうね」


人型の出撃情報を教えてくれる辺りから、俺がやろうとしている事を理解していると判断できた。

俺はすぐに旅団チャットに切り替えた。


カッチ「全艦、デブリ帯に突撃せよ!」

沖田艦長「全乗組員に通達する!ヤマトG発進!」

天照皇大神「壁に突っ込むなんてぇ通れないとどうなっちゃうのかなぁ楽しみだわぁ」

クシナダヒメ「たすけてー!(笑)」

このみ「団長!了解であります!」

町田中尉「チュー!」


俺たちの作戦が始まった。


予想通り、デブリ帯は抜ける事ができた。

僅か10秒で俺達旅団は第4エリアへと移動していた。

さてここからアルナイル要塞まで15分ほどかかる。

スピード重視の我が旅団じゃなければ、20分はかかる距離だ。

この5分はきっと大きい。

ただ、普通に戦えば艦船がほとんど戦力にならない。

どちらが良いかは使う人の作戦次第だ。


おそらくそろそろ韓国には知られているだろうが、今の所状況に変化はない。

領域に入ったからと言って必ず捕捉されるわけではないが、この辺りの領域は全部韓国だから、俺たちは見つかりやすいだろう。

アルタイル要塞は韓国の猛攻を受けているか。

紫苑に連絡を入れたら、既に退路を断つ準備は万端のようだった。

さてこの作戦は上手く行くのだろうか。


俺たちはアルナイル要塞の領域に入った。

しばらくしてモニターにアルナイル要塞が映る。


カッチ「さて、どれくらい戦力が残ってるかな」

月読命「ベルちゃんの感じから、こっちはゼロだったりしてぇ~きゃっほーい!!」

カッチ「流石にそれはないだろうけど、人型が100機くらいならこのまま押し切る。1000とかだったら即行逃げるw」

クシナダヒメ「どっちだろ?」

カッチ「おっ!出てきた!」


リナ「これは多そうだねぇ~」

えり「攻撃している韓国が撤退する気配を見せていない。つまり守れる自信があるって事」

和也「確かにな‥‥早まったか?でもちょっと作戦もあるし、俺達は出撃するぞ!」

リナ「ほんきぃ~?でも楽しそうだけど。むふふふ‥‥」


カッチ「全艦プレイヤーに通達する」

沖田艦長「全機、発進せよ!」


沖田艦長に良い所は譲ってあげた。


カッチ「では作戦を伝える。まず地上戦でやっていたアレを使う」


リナ「人型の回収を邪魔するのね」

和也「まあそういう事だ」

えり「でも、何処も回収要因を厚くしていると思うけど」


えり先生の言う通り、地上だけでなく宇宙でもゾンビ戦法が続けられているのには理由があった。

最初に韓国がアルタイル要塞に攻めてきた時、ビューティフルベルの指揮の元、見事な回収作業が行われた。

そうする事で地上戦のゾンビ防衛が宇宙でも可能だという事が証明されたのである。

もちろんこの先ずっと続けられるものではない。

軍が強くなるにつれ、逆に資源が足りなくなって、この戦法は使えなくなってゆく。

ただ今はまだまだ使える状況だ。

数ヶ月後は分からないが、現状は問題がない。

そしてそれは既に周知の事となっている。


カッチ「それともう一つやってもらう。とにかく身を守る事を優先し、中破とまではいかなくていいから、とりあえず敵を手負いの状態で残していく」

月読命「ほう~」


陽菜「出撃できる数はパイロット数だけだから、それを弱い状態のまま残しておけば、戦力的にこちらが有利になるもんね」

リナ「でもぉ~、ライトユーザーには難しいんじゃないかなぁ~?」


カッチ「そういう調整ができない人は、強い人の影で逃げ回っているだけでもいい。とにかく機体と燃料を大切に」


俺は幼子先輩の疑問に旅団チャット通信で答えた。

そしてここからがポイントだ。

どうやら韓国は過信している。

実は昨日イギリスがプレイヤーキルで勝っているニュースを見た時、こうなる可能性をかなり期待したのだ。

韓国は今日、日本のアルタイル要塞を必ず落とせると思っている。

おそらくプレイヤーキルを考えているはずだ。

ビューティフルベルさんもその辺りはきっと考え、いつも以上にしっかりと準備しているはずだが、守れるかどうか難しい所だろう。

更に韓国は守りに不安が出てきた事もあり、攻めるならいつも以上に守りの準備していたはずだ。

自信が持てるくらいにはね。

それができたからこそ、韓国は今いつも以上の戦力で攻めてきている。

そして撤退はしない。


つまり何が言いたいかというと、この作戦には時間的猶予が生まれたという事だ。

時間があるのなら、こちらもやれる事があるのだ。


カッチ「そしてこれが最大の作戦だが、俺のヤマトGだけをこの場に残し、出撃を終えた艦から順に777764要塞に戻って人型を持ってきてくれ」


敵がゾンビ戦法で守るのなら、こちらもゾンビ戦法で対抗するまでだ。

攻撃対象であるアルナイル要塞に近い要塞で出撃準備ができたから可能な作戦。


カッチ「目には目を!ゾンビにはゾンビを!」

リナ「そりゃそうだぁ~」

えり「これだけ前線基地が近ければ可能だな」

月読命「どおりで777764要塞が騒がしいと思ったわ」


もっとも、これは本筋の作戦ではない。

本当は韓国軍が戻ってくる事を想定し、その中で最善を尽くすつもりだった。

ただ、想定していた中で良い方に転んだだけだ。

俺は通信を全体チャット通信に切り替えた。


カッチ「紫苑、そろそろ大丈夫そうだ。韓国の後ろからやっちゃってw」

紫苑「(^0^)/もう向かってるぞ!」


和也「流石紫苑だな。これで韓国軍は挟み撃ちにあってかなりヤバいだろう。逃げるに逃げられなくなるし」

リナ「でもこの敵を微妙に生かす戦いは、爽快感に欠けるのらぁ~」

えり「ま、こういう戦いができるのもこれが最初で最後でしょ」


友軍艦船が人型を乗せて戻ってきた時、俺は勝ちを確信した。

韓国軍の大将2名の死亡が表示されていた。

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