009
マリーナは拾った少年を置いて去ろうとしたが、必死についてくる。
「ねぇ、あなたにあげる仕事はないわ。帰ってくれる?」
「いやだ!何か役に立ちたいんだ!」
「どうして?自分の気持ちのため?だったら迷惑よ。帰りなさい。」
「うぅぅ、帰るとこなんかない。
一緒に居たいんだ。役に立ちたいんだ!」
(寂しがりの自己中なの?)
「それも自分のため?迷惑ね。
ねぇ、もしあなたが強くなったら、どうする?」
「スラムのみんなを助ける!!」
(余裕がないのに人助けなの?)
「自分の食べ物が減っても?」
「減ってもいい!みんなで生きたい!!」
(そう言うの嫌いじゃないかも)
「あなた、なかなか面白いかもね。てっきり勇者になるとか言うと思ったわ。
いいでしょう。雑用として雇ったげる。
名前は?」
「クロウ!」
「じゃあクロウよろしくね。」
マリーナはクロウを洗浄魔法で清潔にすると、宿屋に連れ帰り、宿屋の主人に声をかけた。
「もう1人一緒に泊まっていいかな?雑用係を雇ったのよ」
「あいよー
・・・お客さん、お部屋を汚さないで下さいね」
宿屋の主人はニンマリしている。
(勘違いすんなよ、クソオヤジ!違うからな!)
◆◆◆◆◆
その頃、騎士団には、褒賞目当ての市民に黒髪黒目の女性がたくさん連れてこられていた。