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男爵の言葉は、自分が無能だと言っているようなものね。言葉から敬語も消えているし、本性が現れてきているようだわ。

「では、あなたはそもそも領主になる資格がないのですね。王国法に、成人貴族としての基礎的な素養がない者は領主を引き継いではならない。と明記されていますよ。それに、貴族であれば最低でも16歳までに基礎学院を修了しているはずですが。」


男爵は苛立ちを隠せない表情で食い下がる。

「爵位と領主は先代から譲り受けた。私は貴族として暮らしてきたし、基礎的な知識はある。それに書類と基礎知識とは無関係だろう。」


「いいえ、成人貴族であれば主要な業務は領の経営や王宮の事務でしょう。いずれも書類仕事ができなければ務まりません。書類仕事ができないことは、成人貴族の業務をできる資質がないことと同じ意味ですわ。」


男爵は少し焦りながらも言い逃れをする。

「他の貴族も代理を立てているではないか!うちだけ代理を雇っていけないわけがない!」


「代理は、所詮は代わりなのですよ。代理に責任はなく、ご本人の確認をもって成立するのです。あなたは確認を怠り、いえ、確認する能力がなく、そのせいで多くの犠牲が出ました。それでも責任がないと言えまして?」


男爵は顔を真っ赤にしながら震え始めた。

「うるさい!余所者が口出しするな!小娘風情が子爵位を得たからといっていきがるな!」


男爵の狼藉を諌める従者はいない。男爵の機嫌伺いが得意なものばかりで周りを固めているのね。

「では、あなたの処遇は王家にお願いしましょう。言い忘れましたが、私はこの国の宮廷魔法師団に移籍予定なので、先に領税の監査官の権限を認められています。

屋敷を洗いざらい調べさせてもらいますよ。」


男爵は驚愕の表情を浮かべる。

「なっ!」


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