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「いらっしゃいませ〜!うさぎ印の雑貨店にようこそ!

美容店はこちら、冒険店はあちらの入り口からお入りください!」


顧客層による店舗分けは見事に成功して、売上は鰻登りに上がっていた。

さすが辣腕モリソンである。


今日は、ロシナンテ公爵家に美容品を訪問販売する予定になっているので、お店をクロウらに任せて、モリソンと2人で準備をしていた。


すると、店で騒いでいる客がいるとの報告が入った。

見にいくと、1人のご令嬢がアニーに詰め寄っていた。


「だから、私は貴族なの!!こんな行列並んでいられないわ。

早く通しなさいよ!」


「申し訳ございません。貴族のお客様には、当店の貴族専門の訪問販売がございますので、店舗では身分による優先などは行なっておりません。もしよろしければ、貴族販売店の方の会員登録をなさいますか?」


「ふん、それでいいわよ。通しなさい!」


「いえ、貴族店への登録は訪問のみでお受けさせていただきます。お家のお名前を教えていただいた後、王妃様のお定めになった優先順位で対応させていただきます。」


「な、なんで、王妃様なのよ!」


「こちらのお店はナイトハルト殿下の経営するお店の姉妹店でございますので。」


「は?そんなの知らなかったわ!」


「では、こちらの申込み用紙にお名前をご記入いただけますか?」


「い、いいえ、もう結構よ。」令嬢は顔を真っ青にして慌てて帰っていった。


ーーー


「アニー、お疲れ様!」


「店長!モリソン様!お騒がせして申し訳ありません。」


「あなたが謝ることではないわ。それにあの方、随分傲慢な様子だったけれど、どこの家の方かしら?」


「あれは、グリーン男爵の妾の子供で、貴族ではありません。」とモリソン。


「さすがモリソン様ね!でも貴族ではないのに貴族のふりをするなんて、危ないことなさるのね。」


マリーナは心配になったが、裏ではモリソンが手を打っていた。

グリーン男爵家に抗議文を送ったのである。


夫人が激怒したのは言うまでもない。

隠れて妾を囲っていただけでなく、子供に大きい顔をさせていただことが判明した男爵は離縁され、

社交界で大きな噂となったのであった。


元凶となった令嬢もどきは貴族を騙った罪を犯したものの、家庭環境を考慮され、3週間の街中清掃が言いつけられたのであった。


マリーナはそこまでしなくても、とモリソンの報告に驚いたが、

「ここで甘い顔をすると他の家に舐められますよ」というモリソンの言葉に頷いた。


どこの世界も厳しいのね。

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