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023

マリーナは思わぬ申し出に少し戸惑ったが、ナイトハルト殿下の側近の方々が少し申し訳なさそうな顔して会釈しているのを見て、仕方なくそのまま同行することにした。


「あまり土地勘がないので、あちこち歩きまわってしまうかもしれないですけれど、それでもよろしければご一緒にどうぞ。」


「うむ。我々はこの辺の土地には詳しいので力になれよう。


良き商売をする不動産関係の商会も紹介しようぞ。」


殿下に紹介された不動産屋を頼って、いくつか条件をつけて見繕ってもらった候補地を見て回ることにした。


1つ目は、中心街のそばにあるものの隣が廃屋で少し不気味だったので却下した。


2つ目は、冒険者ギルドの向かいで賑やかな雰囲気ではあったが、夜はお酒を飲んで酔いつぶれる人が多いと殿下の側近が言っていたのでやめておいた。


3つ目は、冒険者ギルドから少し離れており、喫茶店などが立ち並ぶ静かな場所にあった。

ここは良い雰囲気だわ。ここにしましょう。


すぐに土地を買い取ろうとすると、殿下が声をかけてきた。


「よければ、私と一緒に店をやらないか?

そうすれば、出資もできる。


実は隣の喫茶店は私が経営しているのだ。


運営は部下に任せているが。」


折角の申し出だったが、お金には困っていないことや身分が違い過ぎることを理由に丁重に断った。


「偶然にお隣どうしですし、友好店にしていただければありがたいです。」


実は、殿下経営のお店の隣ばかりを不動産屋は紹介していたのだが、マリーナはまだそれを知らない。


「私はそなたに興味がある。身分を隠して、市井を歩きまわることも多いし、友人にならないか?」


マリーナは少し驚きながらも、肩書を気にしない友人であれば、ということで了承した。


お昼まわったので、そろそろクロウら合流しなければ。


「ダンジョンに弟子を待たせているので、私はこちらで失礼しますね。ごきげんよう。」


マリーナは貴族であった頃の振る舞い方で、丁寧なカーテシーをすると、ダンジョンに向かって歩き出した。


その後ろ姿を、頬を赤く染めた殿下が見つめているのであった。

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