014
ダンジョンに入ってすぐ、地下1層に降りる階段があった。
マリーナは灯りの魔法を使い足元を照らす。
少しずつ進んでいくと、前の方から複数の息遣いが聞こえた。
「マリーナ姉さん、誰かいるね。」
「そうね。息を潜めているような感じがするのと、少し陰湿そうな雰囲気を感じるから、警戒したほうがよさそうね。」
「ダンジョンの規則では人間同士の争いについて正当防衛だけ認められてたよ。もし攻撃されるようだったら、俺が反撃するからね。」
そんなことを話しながらさらに階段を降りていくと、1人の男が立ち塞がった。
「おい、ここはガキの遊び場じゃねーんだよ。命が惜しかったら、所持金と装備を置いてとっとと帰っんな。」
その後ろには、仲間とみられる複数人の男がニタニタと笑っていて、とても気持ちが悪い。
するとクロウが一歩前に出た。
「ダンジョンでは略奪は禁止されているはずだけど。こんな入り口で子供相手にそんなことして恥ずかしくないの?」
分かりやすい挑発である。が、効果は的面だった。
「ガキが生意気言うんじゃねーよ。おいお前ら、こいつ殺してもいいよな。女だけは後のお楽しみに置いとけよ。」
男たちは下品な声で高笑いをしながら、クロウに飛びかかったのであった。
◆◆◆◆◆
その頃、ナイトハルト殿下は、隣国のとある子爵家が、マリーナと言う黒目黒髪の少女を探していると言う情報を掴んだ。
黒目黒髪しか共通項がないが、もしかすると自分を口付けで救ってくれた美少女のことではないか?
確証はなかったが、隣国の王太子とは仲が良いので、彼の部下にマリーナの経歴を調べるようにお願いすることにした。
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