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「もうこの家にあなたの居場所はないわ。出て行ってちょうだい」
冷たい風が吹き荒ぶ中マリーナは立ち尽くしていた。
来年からの学園入学を控えたマリーナは入念に予習をしたり、文房具を準備したりと着実に準備をしていた。期待に胸を高鳴らせて。
家庭教師との勉強を終えて、お部屋に戻ろうとすると、応接間から見知らぬご令嬢が両親と共に出てきた。
ピンクの髪にぱっちり愛らしい瞳、庇護欲をそそる雰囲気の少女だった。豪華なドレスに身を包んだ彼女はミリアムと言って、新しくこの家の養女になったそうだ。
この家は歴史の長い子爵家で魔力が高いものが家を継ぐ決まりである。
マリーナも4年前、8歳の時に養女として迎えられており、その高い魔力から将来を期待されていた。
もともと控えめな性格のマリーナはあまり自分の魔法をひけらかす事はなく、貴族家の令嬢としての教育をしっかり受けておしとやかな淑女に成長した。
魔法もマナーも勉学も、精一杯努力したつもりだった。
「マリーナあなたは私たちの期待に応えられなかったわ。代わりに学園にはミリアムを入学させます」
目の前が真っ暗になる中、ふつふつとした怒りでマリーナの視界は真っ暗に染まっていくのであった。