表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

薫風香る狭間に桃の華、見下ろす月は……

 漆黒の甲冑を身にまとった戦士が戦っていた。鬼の麺頬をつけた彼は、襲いくる悪鬼達を鬼神の如き力強さで次々と退けていった。


 やがて全ての悪鬼達がその身を地に伏せると戦士は自ら棺へと入り埋葬された。


 それから1400年後の札幌藻岩山。


「まさか日本の、それもこんな観光地でこんなものが見つかるなんてなあ……」


 古代遺跡発掘チームが巨大な石でできた棺の前に立っていた。棺の保存状態はすこぶるよく、当時に掘られたであろう古代文字も余すところなく読み取れた。


「撮影準備整いましたー」

 カメラクルーが棺の発掘作業を続けるチームに声をかける。

「よーし開けるぞ! 撮り逃がすなよー世紀の瞬間だ!」


 重たい棺の蓋が機械によって持ち上げられていく。次第に露わになったその中身には、一振りの日本刀を携えた古代人のミイラが埋葬されていた。


「すごいな……こんなにも保存状態がいいミイラの発見は人類史上初だぞ……」


 バツン!


 発掘隊の一人がミイラに触れようとしたその瞬間、周囲を照らしていた明かりが唐突に落ちた。


「なんだ、電気系統の不備か?」

 ややあって再び明かりがついた。

「世紀の瞬間なんだから頼むぞ、おい――」


 クルーにそう声をかけ男が振り返ったその先では、2本の角を持つ赤黒い鬼がカメラクルーをその鋭い爪でもって殺害していた。


「な、なんだありゃ…!」


 ――グオオオオオオオオオオオオ。


 耳をつんざく鬼の叫び声が遺跡に響き渡った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ