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操り人形

作者: 雪帽子


人は笑い、悲しみ、涙を流し、怒る。

それが感情、気持ち。


私は笑い、悲しみ、涙を流し、怒る。

だが、私には分からない、理解ができない。私にとってはただの動作、行動。


ーーー


私は今日も笑い、悲しみ、涙を流し、怒る。

周りはそんな私をみて笑う。

何がおかしいのか。

私は周りが笑うので、口角を上げて笑う。

私は周りが悲しみ、涙を流すので、目から水を流す。

私は周りが怒るので、無になる。


そうして私は仮面を被る。

周りをみて仮面を付け替える。

ただそれだけのこと。

なのになぜ笑うのか。


ーーー


今日も音楽が鳴り響く。

悲しげな音楽。

そして、声。

この声は私の声。いや、私の口から発せられるものではないが私の声。

時に沈み、笑い、怒る。

私はこの声を聞くと心が温まる。

私を表してくれる。


私は偽物の月を見て、顔を少し上げ、首を傾げる。


「あら、ここはどこかしら?」


私の声、高いとは言えないがそこが心地いい。

声を聞けば周りは私しか見ない。

1歩、1歩、と歩けば場所が変わる。

「偽物だと」と周りは言うけれども、私にとっては本物だ。

私を1から作り上げて、ここまで私を立たせてくれた。

場所は山から海へ、栄えている街から寂れた村へ、はたまた空の果てから海の奥深くへ。

ここを離れられないが離れているような気になれる。

海、山、街など全て私のモノ。

その上を私は動かされる通りに動かされ、口角を上げ笑う、目から水を流し悲しむ。

生まれた時から決まっていて、いつまでもこれを続ける。

苦痛だとは思わない。

これが私の全てなのだから。

できることなら、このままずっとこうしていたい。

声、場所、動き。

1つでも欠けてはいけない。

全てが私を表す。


さぁ、今日も場所を動き、笑い、悲しみ、怒る。

それを続けよう。

次も、その次、そのまた次もずっとこのまま変わらずに。

これこそ私の幸せという気持ちなのかもしれない。

すなわち喜び。

いつの日か口角を上げて笑うのではなく、自然に笑えるようになれるようになりたい。


今日も私は私を表し続ける。


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